バイデン米大統領は4月28日、初の施政方針演説で、「米国の反対側に賭けることは良い賭けでは決してない」と主張した。韓国への警告と読むべきだろう。韓国が、インド太平洋戦略対話の「クアッド」(日米豪印)への参加を曖昧にしていることへの痛烈な批判だ。
クアッドの一員であるインドのモディ首相は4月26日、医療物資の支援についてバイデン米大統領と電話会談を行った。その直後、モディ首相はツイッターに投稿し、米に感謝の意を表した。この謝意表明に中国メディアが猛反発している。中国が、インドへ3万台以上の酸素濃縮器を送ったにも関わらず、モディ氏は今まで『ありがとう』と言ったことがない」というのだ。『大紀元』(5月1日付)が報じた。
インドによる米国への対応は、クアッド一員という仲間意識の表れであろう。翻って、米韓同盟を結ぶ韓国が、クアッドに加わらないとすれば、米国にとってはインドの方が「仲間」と言える。韓国は、親近感という肝心部分でインドよりも低く扱われるだろう。
『東亞日報』(5月1日付)は、「3週間後に韓米首脳が初対面、同盟『声を一つに』化学的結合を果たさなければ」と題する記事を掲載した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン米大統領が21日にワシントンで首脳会談を開くと、両国が30日、同時に発表した。バイデン氏の就任から121日が経って実施される初の韓米対面首脳会談だ。大統領府は、両首脳が対北朝鮮政策の協力と経済・通商の実質的協力、気候変動や新型コロナウイルスといったグローバルな課題を深く議論すると明らかにした。ホワイトハウスも、「文大統領の訪問は両国の堅固な同盟と広く深いきずなを示す」と明らかにした。
(1)「韓米首脳の会談日が決まったことで、今後具体的な日程と議題、特に両国が導き出す合意内容をめぐって両国の本格的な実務協議が行われるだろう。だが、韓米が調整しなければならない課題は容易ではない。両首脳が考える最優先議題から異なる。文大統領は、米国が北朝鮮との対話を通じて平和プロセスを再稼働することを、バイデン氏は韓国が日本と共に米国の側に立って中国を牽制する一軸としての役割を果たすことを望んでいる」
米韓首脳の思惑が、最初から異なっている。米国は、韓国に対して「クアッド」の一員になることを要請する。韓国は、米朝の直接会談を要請したい、と伝えられている。いずれも、平行線になろう。韓国は、この行き違いのまま会談を終わらせる積もりとすれば、大きな失敗になる。世界のリーダーである米国と違う道を選択すれば、中国は韓国を絶好の餌食にできるチャンスと見るに違いない。
中国は秦の始皇帝以来、「合従連衡」策を取ってきた。合従(同盟)を崩して連衡(一対一)へ持込み、相手を飲み込んできたのだ。この危険な外交術が現在、韓国に向けて始まっている。
(2)「韓米はすでに北朝鮮に対する「完全に調整された」戦略づくりを約束したが、最近の両首脳の発言からは、細部では異なるように読み取れる。文大統領は米国に対して、トランプ政権時代の対北朝鮮政策を継続することを求めている。一方、バイデン氏は北朝鮮に外交の扉を開けながらも、「断固たる抑止」を強調している。近く米国の新しい対北朝鮮政策が発表されれば、これまでの政策共調の水準が露呈するだろうが、首脳会談では声が一つになるよう緊密に調整しなければならない」
韓国は、同盟国の利益とは別に、「韓国」固有の国益を追及できる権利があるしている。つまり同盟の持つ「一心同体」という立場を否定している。二股外交が、米韓同盟の利益に反していないと考えているのだ。これは、「安保は米韓、経済は韓中」とする二頭立てを主張する背景である。しかし、米国は安保も経済も一緒であるとの認識である。安保は、経済利益を包含するとしているのだ。
クアッドは、安保と経済を一体として捉えている。だから、半導体・バッテリー・レアアース・医薬品の生産をクアッド4ヶ国が共同で行なうとしている。韓国は、このうち経済面だけは参加するが、共同防衛はお断りという虫の良さである。
(3)「米国は経済・技術・安全保障など全方向での中国包囲網に韓国が参加することを望んでいる。米国・日本・オーストラリア・インド4ヵ国の枠組み「クアッド」の拡大版である「クアッド・プラス」への参加が議題に上がる可能性がある。韓国は中国の反発を意識して参加を躊躇しているが、米国が主導する半導体などの安定供給網(サプライチェーン)の構築への協力を前向きに検討する考えだ。敏感な安全保障問題ではなく多国的協力分野には参加し、韓国に緊急なワクチン協力といった支援を取り付ける実用的外交を展開しなければならない」
韓国の言分は、安保という共同の汗はかかないが、経済の利益だけは欲しいとしている。それゆえ、ワクチンの優先的な供給を要請しているのだ。いかにも韓国的な「我が儘」を表わしている。日韓関係悪化を作り出した背景と同じである。相手国に要求だけ出して、義務を負わないのだ。
(4)「両首脳が初めての対面会談で友好な関係を築くことも重要な課題だ。バイデン氏は、これまで文大統領が対してきたトランプ前大統領とは全く異なる。外国首脳を呼んでワンマンショーをした前任者とは違って、相手を配慮して傾聴する外交を見せるだろう。だからといって一方的な譲歩を受け入れる米大統領はいない。バイデン氏は28日、初の議会演説で、「米国の反対側に賭けをすることは良い賭けでは決してない」と主張した」
下線部分は、重い示唆である。米国は、韓国防衛のために朝鮮戦争で血を流した同盟国である。今度は、米国がともに同じ陣営に加わって欲しいと要請している。強い同盟が、中国の開戦意欲を削げるからである。韓国はいつまで、そういう同盟結束を拒否できるだろうか。中国経済に異変が起これば、自然に米国へ擦り寄るだろう。そのときでは遅いのだ。


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