日本でもワクチン開発が進んでいる。先陣を切るのは塩野義製薬だ。早ければ、年内に「日の丸ワクチ」第1号の接種が実現する状況になってきた。大阪大発ベンチャーのアンジェスも治験第二段階を済ませて、最終治験に向かっている。
海外では、こうした日本の動きを注目している。日本が、国産ワクチン生産の基盤を固める前に、日本で委託生産に踏み切り「シェア確保」へ踏み出す。米バイオ製薬モデルナが、5月21日に日本で承認された同社製の新型コロナウイルスワクチンについて、日本国内での生産を検討していることがわかった。
ステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)が、日本経済新聞の電話インタビューに応じ、「日本を含めたアジアでのワクチン生産について検討しており、協議を進めている」と述べたもの。モデルナは、日本国内での生産について、日本企業と委託契約やライセンス契約をする可能性があるという。バンセル氏は、「まだ初期段階だが、日本の製薬業界の関係者と協議を進めている」と明かした。「アジアでの事業拡大と生産拡大について非常に興味を持っている」とし、「日本の高い労働力と研究力については理解している」と話した。
日本政府はモデルナと9月までに5000万回分の供給を受ける契約を結んでいる。バンセル氏は追加の供給について、「来年に向けて日本政府を含めて協議を進めている」とした。モデルナ製ワクチンの国内供給を担う武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長は今月、追加で5000万回分を供給する協議を進めていると明らかにしている。以上は、『日本経済新聞 電子版』(5月21日付)が報じた。
『時事通信』(5月21日付)は、「国内コロナワクチン『年内供給も』早期承認制度、国と協議 製薬会社」と題する記事を掲載した。
新型コロナウイルスワクチン開発をめぐり、国内でも複数の企業が臨床試験(治験)を進めている。現在は承認に必要な数万人規模の大規模治験が壁となっているが、塩野義製薬の手代木功社長は5月10日に「条件付き早期承認という形で(厚生労働省と)話をしている」と説明。年内に供給を開始できる可能性が出てきた。
(1)「条件付き早期承認は治験が難しい医薬品について、一定の安全性や有効性を確認した上で、発売後に評価を行う条件で承認する制度。製薬業界だけでなく、与党からも適用を求める声が上がっている。国産ワクチンの治験では、大阪大発ベンチャーのアンジェスが既に500人に対し、第2段階の接種を終えている。大規模治験の実施は困難だが、制度が適用できれば早期申請への道が開ける」
条件付き早期承認は、大量の治験が難しい医薬品について科学データを基に先に承認し、発売後に評価を行う条件で承認する制度である。この「便法」によって、「日の丸」ワクチンの早期接種が可能になるという。塩野義製薬とアンジェスが対象である。こういう便法があれば、米国のワクチンも早く承認すべきであった。これで、二ヶ月の時間を空費した。
(2)「武田薬品工業は米バイオ医薬品企業ノババックスが開発したワクチンについて、年内の供給開始を目指している。山口県光市の工場に年2億5000万回分の生産設備を整え、来年は1億5000万回分を供給する方向で政府と協議している。ワクチンの国内治験は、第一三共や明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス(熊本市)が進めているほか、創薬ベンチャーの治験も始まる。製薬業界では「来年になればかなりの供給量がそろうのではないか」といった見通しも出ている」
武田薬品は、米ノババックス・ワクチンの委託生産で年内供給を目指す。これに加えて、前述の通り、米モデルナの生産にも着手する。来年になれば、現状がウソのように潤沢なワクチン生産国になりそうだ。今しばらくの辛抱と言えよう。
国産ワクチンの動きを少し詳しく見ておきたい。
日本勢で開発が先行するアンジェスは、タカラバイオなどの参画を得て生産体制を構築。塩野義は、アピとその子会社であるUNIGENと協力し、21年度末までに年間3500万人分の生産体制を整備することを目指す。23年度の実用化を目指しているKMバイオロジクスも、21年度末までに半年で3500万回分を生産できる体制を整備中。武田薬品は、ノババックスから技術移転を受けて国内生産することになっており、年間2億5000万回分以上の生産能力を構築する計画である。以上は、『AnswersNews』(5月19日付)が報じた。
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コメント
これで、新型コロナウイルス問題も少しは安心できそうですね。
それにしても、諸外国が摂取を開始したのになぜ日本が対処できないのかと、自分も腹立たしく思っていました。
勝又さんの仰るように、条件付き早期承認のような便法を何故対応できなかったのかが悔やまれます。早期にこれを適用していれば、多くの人が救われたであろうし、経済も早期回復に向かっていたことと思います。
これは、政府の責任と言うより、大局的な視点を持たず、自己保身しか考えない公務員の問題です。何時ものことですが、臨機の対応ができない公務員に憤りを感じます。
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