中国深圳市にそびえる75階建ての高層ビルは、地震もないのに突然、大揺れすることで話題を集めてきた。建設過程が明らかになるともに、中国の杜撰な工事管理も批判を浴びている。現状では、大揺れ程度に収まっているが、そのうちに瓦解という最悪事態を迎えないとも限らない。そこで、5月21日からビル全体が閉鎖されたという。
『レコードチャイナ』(5月23日付)は、「深圳の『風もないのに揺れるビル』が閉鎖、建国50周年記念するランドマーク」と題する記事を掲載した。
フランスメディアの『RFI』などによると広東省深圳市内で強風が吹いているのでもなく地震でもないのに振動するとして注目が集まっていた高層ビルが21日、閉鎖された。
(1)「問題のビルは、賽格広場(SEGプラザ)。高さ355.8メートルで地上75階、地下4階、床面積は17万平方メートルだ。1999年に完成したので、中華人民共和国成立50周年を慶祝する建築でもある。また、スピード工事でも評判となり「1日で2.7階分を建築」として、深圳市の発展の速さを象徴する「深圳速度」などとも言われた」
「1日で2.7階分を建築」とは、異常である。こういう非科学的なことを競う妙な風習が残っているのだ。問題となった賽格広場ビルだけでなく、他のビルでも同じようなことが起こる懸念があるだろう。全ビルを一斉に点検する必要があろう。
(2)「振動が発生しはじめたのは5月18日で、専門家を招集して検討した結果「ビルの主体構造に異常はなく安全。内部構造は堅固で各付属施設にも問題はない」として、振動については、風・地下鉄・気温などの相互作用によるとの見方を示し「安心してよい」と結論づけた。しかし振動は19日、20日にも発生した。米国の駐広州領事館は19日、「安全およびリスク情報が不足している」として、自国民に対して同ビル周辺に立ち入らないよう呼びかけた」
下線部のように、米国領事館が前記ビル周辺への立入制限を呼びかけたことで、深圳市当局も閉鎖措置に踏み切ったのであろう。
(3)「RFIによると、「当時の『深セン速度』は科学的だったのか。指導者の鶴の一言で、高層ビルが地面からそびえ立った。速度とコスト削減を追求した結果、リスクを抱え込むことになった」との批判も出ている。さらに、「中国国内でビルを建設すれば2年後には老朽化している。橋もそうだ。数カ月をかけて架設すれば、数年後には事故を起こす。欧州での橋梁架設は、完成までに数年がかかるが、100年以上が経過しても使用可能だ。中国にできるのか」との意見も出ているという」
下線部は、中国の杜撰な建設工事を批判している。これまでに建設されてきたマンションでは、工事ミスが指摘されて係争を起こしている物件も増えている。中国のビルの耐用年数が先進国よりも大幅に短いことが判明したとき、中国経済はパニックとなろう。
(4)「賽格広場の「振動問題」が発生してから、金典キ氏(「キ」は王へんに「奇」)が20年前に華中科技大学に提出した修士論文の「賽格広場建設プロジェクトの批評と分析」も注目されることになった。同論文によれば、ランドマークとして建設された賽格広場ビルは建設中に問題が発生し「施工しながら設計を修正したり、後から設計し直したり、設計図が完成しないうちに施工を始める」といった状況があったという」
揺れるビルとして有名になってから、杜撰な工事を指摘する資料が公開されている。「施工しながら設計を修正したり、後から設計し直したり、設計図が完成しないうちに施工を始める」という考えられない工程管理が行なわれていた。
(5)「同論文は、賽格広場の建設では「設計しながら施工することで最悪の結果を招いた」とも指摘。鉄骨部分の組み立てが終了したのは1999年4月8日だったが、屋上のアンテナ工事が完成したのは9月30日。人々は、翌10月1日の国慶節(建国記念日)を祝賀ムードで過ごしたが、地上からは賽格広場屋上のアンテナが激しく揺れているのが見えたという。同論文は、その日の深圳は微風状態だったと紹介し「アンテナの設計計算のミスが共振を引き起こした」との見方を示している」
建国50周年のランドマークが、とんだ事態を引き起している。何か、中国を象徴するような話になってきた。GDPを嵩上げして成長率の高さを自慢してきた挙げ句、現在は不動産バブルの終息措置で四苦八苦しているのだ。今回は、基礎工事に問題があったとする説が指摘されている。何ごとも、中国の基盤はこのように脆弱である。
次の記事もご参考に。
中国、「お化けビル」深圳市75階ビル、原因不明の大揺れに人々逃げ惑う「設計図なく着工」
2021-05-22


コメント
コメントする