米国・フランス・オーストラリアが日本と共同で中国を仮想敵国とする訓練を始めた。日本は今後こうした共同訓練を定例化することにしている。5月16日の産経新聞によると、防衛省はフランスの艦隊が日本に寄港するたびに共同訓練を実施する方針だ。共同訓練は、強襲揚陸艦「トネール」(2万1000トン級)などで構成されたフランスの艦隊が、5月6日に佐世保国連軍司令部の後方基地に入港する前、あらかじめ準備されていた。フランスの艦隊は2017年、19年に続いて3回目の日本寄港となる。
産経新聞は、日本が尖閣諸島を含む南西諸島を守るために米国・フランスとの連携を強化し、中国を牽制する目的で共同訓練を定期的に行う方針だと説明した。これに対して、中国が敏感に反応している。
『レコードチャイナ』(5月23日付)は、「日米仏豪の合同軍事演習『インド太平洋のNATO化』と中国メディア」と題する記事を掲載した。
日本、米国、フランス、オーストラリア4カ国が5月11日から17日にかけて東シナ海で行った合同軍事演習を中国メディアが取り上げ、「インド太平洋のNATO(北大西洋条約機構)化」と報じた。記事は同時に「中国をけん制しようと騒ぎ立てているが、一部の国によるけん制戦略はおのずと瓦解する」と自信をのぞかせた。
(1)「『中国網』は合同軍事演習について、項昊宇・中国国際問題研究院アジア太平洋研究所客員研究員が執筆した記事を掲載。3点が異例だったとして、まず「ハイグレードの装備」を挙げた。この中では「4カ国海軍は11隻の軍艦、1隻の潜水艦、数十機の輸送機と哨戒機を出動させた」と説明。「特に日仏米が派遣した主力艦『いせ』『トネール』『ニューオリンズ』は、いずれもヘリコプターの発着艦が可能な1万トン級准空母だ。また日米仏はさらに計220人の精鋭海軍陸戦部隊を出動させた」と述べた」
中国海軍は、実戦経験がゼロである。兵士が、戦場での超緊張状態を乗り切れるか注目されている。日清戦争における清国海軍の大敗が、トラウマになっていると指摘する専門家もいる。中国の潜水艦が潜航中に、自衛隊哨戒機から浮上するように通告され、国旗を上げて浮上した実例も報告されている。中国兵が、「日本軍強し」のイメージにどこまで打ち勝てるか注目されている。
(2)「続いて、「顕著な狙い」に言及。「今回の演習場は日本の九州および付近の東シナ海の海域で、日本の本州から中国大陸および台湾島まで直線距離で最も近い地域で、尖閣諸島から1000キロしか離れていない。演習は『離島奪還』のテーマをめぐり、主に上陸作戦訓練を行った。陸海空多兵種共同作戦を強調し、ヘリによる強襲、市街戦、上陸作戦の訓練を重点的に行った」と解説した」
訓練は仮想敵国が離島を占領すれば連合軍戦力が奪還するというシナリオで構成された。日本の水陸機動団など100人、米国の海兵隊60人、フランスの海兵歩兵隊約220人余が重火器と共に動員された。日本の尖閣諸島奪回軍事作戦であることがひと目で分かる内容であった。仮想敵国は中国である。
(3)「3点目は、「欧州の大国の加入」。「仏艦隊が遠路はるばる訪れ、初めて日本の本州と東シナ海における軍事演習に参加した。仏軍事省の報道官は今回の合同軍事演習は『フランスのインド太平洋地域への関心の程度、日本との協力関係掘り下げの機会を確認した』と述べた」と紹介した」
フランスは、ベトナムやカンボジアなどの旧宗主国で歴史的な関係が残る。アジアと欧州を結ぶ海洋交通路(シーレーン)が、中国の活動で自由に航行できなければ自国にも影響が及ぶ。香港や新疆ウイグル自治区での人権問題もフランスの背中を押す。今回の異例の共同訓練はフランス側から持ちかけたという。中国の抑止に積極的になったフランスの強い意志が表れている。
今年後半にはフランスだけでなく、英国やオランダ、ドイツも軍の艦艇を日本周辺に派遣する。かつての欧州は、中国との経済的なつながりを重視して、東アジアの安全保障の問題と距離を置く場合が多かった。いま欧州主要国は、対中国で日米に足並みをそろえようとしている。中国にとって、自国の海洋進出がこういう事態を招いていることを認識すべきだろう。
(4)「米日などの国は『インド太平洋版NATO』を構築するつもりはないと称しているが、その一方では実際の行動により、価値観を基準とし地域で食い違い・対立を極力引き起こし、地域諸国を中国対抗に抱き込んでいる」と批判。「地域諸国を抱き込み、対中競争・けん制を展開する米日の戦略は人心を納得させないだろう」
中国の誤った領土拡張政策が、こういう日米豪仏の4ヶ国合同演習を招いている。中国がなぜ海洋進出をするのか。国内の矛楯を海外へ向けさせるという典型的な「帝国主義戦争」への準備と見るほかない。中国は、近代戦争の経験がなく先進国全てを敵に回して勝てるはずもない。こういう限界を認識せず、軍備拡張に進んでいる姿は自殺行為に見えるのだ。将来、NATOアジア版が生まれる可能性が極めて大きい。中国は、海洋進出を強めれば強めるほど、抵抗を受けて頓挫の運命を辿るはずだ。
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