米国が、中国からの留学生受入れに厳しい制限を付けている。「スパイ」と疑われる者は、全て排除されている。中国は、「小判鮫」で米国の大学など研究機関から知識を窃取してきたが現在、ことごとく不可能になった。そこでやむなく、中国は自前の研究者養成に踏み出すことにした。今まで、こういう研究機関がなかったこと自体、不思議な話である。
『大紀元』(5月31日付)は、「中国、北京大など12大学に『未来技術学院』設置 ハイテク分野強化狙う『全体主義体制がネックになる』」と題する記事を掲載した。
(1)「中国教育部(文部科学省に相当)はこのほど、北京大学や清華大学など12大学に、「未来技術学院」を増設すると発表した。政府系メディアによると、同学院の設置の目的は、人工知能(AI)技術、量子情報科学、データ・サイエンスとビックデータ、海洋技術を含む重要技術分野の研究開発強化に力を入れ、「製造強国」「サイバー強国」などを実現することにある」
12大学とは、中国を代表するような大学がズラリと並んでいる。北京大学、清華大学、北京航空航天大学、天津大学、東北大学、ハルビン大学、上海交通大学、東南大学、中国科学技術大学、華中科技大学、華南理工大学、西安交通大学などだ。
精華大学は、半導体製造部門の子会社を持っているが、経営不振でデフォルト(不渡り)を起している。技術面での未熟さが経営不振を招いている理由だ。研究レベルは低い。
(2)「教育部が公表した通知は、未来技術学院を通して、「科学技術のイノベーションにおいて将来リーダーになる人材を育成するための新しいモデルを模索する。 今後10~15年の間に破壊的な技術を目指し、常規を打破し、制約を打破し、障壁を打破し、先見性を持ち、将来の発展をリードできる技術革新リーダーの育成に注力する」「『中国で製造』を『中国で創造』に転換し、グレードアップすることを推し進めていく」とした」
米中対立の激化で、やむなく中国国内で研究施設をつくるというもの。これまでいかに、米国などから技術窃取してきたかを雄弁に物語っている。
(3)「国営新華社通信27日付によると、北京大学の未来技術学院は、生物医学と分子医学の2つの分野に集中する。同学院は今後、毎年50人の大学生、100人の大学院生と50人の博士を応募し育成していくという。また、同報道によると、中国当局は将来4年間で、国内の未来技術学院の数を20~30校に増やす計画だ」
こういう研究機関は、30年早くつくるべきだった。当時、国内の技術開発重視派と海外からの技術導入派が争い、技術導入派が勝利を収めた。有り体に言えばこれ以降、海外からの技術窃取が主流になったのである。今になって、未来技術学院をつくっても成果の出るのはずっと先の話である。
(4)「浙江省に住む教育専門家の蒋さんは28日、米『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)の取材に対して、中国国内の政治体制では、「中国で創造」は実現できないと指摘した。
蒋さんは、中国の大学の管理層は、学術研究を行う専門家ではなく、専門知識を持たない共産党員に支配されていることを挙げた。「中国の大学では、(専門技術の)素人が研究者の上司になっているだけでなく、言論の自由や情報の自由が全くないことも深刻な問題だ。そのうえ、学術論文のねつ造という道徳観に関わる問題もある」。
下線部のように、研究管理が研究と無縁な共産党員が行なっている。彼らの出張旅費など無駄な経費も、R&D(研究開発費)に含まれており、研究部門が彼らの食い物にされている。
(5)「蒋さんはまた、中国国内の研究者や科学家が、海外の技術発展、トレンドに関する情報を得るのに苦労していることにも言及した。「中国当局は海外情報サイトへのアクセスを禁止し、遮断しているために、中国の研究者らはVPN(仮想プライベートネットワーク)を使わないといけない。このような状況で、どうやってイノベーションできるのか不思議に思う」と語る。蒋さんは、中国当局は近年、VPNの使用を厳しく取り締まっていると批判した。研究者は海外の技術情報の取得がますます難しくなっているという」
研究は、自由な環境で行なわれて初めて成果が出る。だが、中国では余りにも制約条件が多すぎる。VPNの使用を厳しく取り締まっているほか、海外の研究機関が中国と自由な往来を禁止している。こうして、中国の研究者は絶望的な環境に追込まれている。研究成果が、すぐに出るような状況にない。


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