中国は、共産主義で貧しい者が生きられる社会と思われがちである。実態は、大きく異なっていた。2020年の合計特殊出生率が「1.3」と初めて公表されたが、それまでは「1.6」とウソの数字が公然と発表されてきた。ウソを重ねざる得ないほど、出生率が落込んでいたのである。
この数字さえ眉唾であることが分かる。出産費用が表向きは無料だが、それは限られたケースであり、ほとんどは民間施設で出産するという。その費用が何と10万元(約172万円)である。日本では信じられない高額費用だ。こういう中で、子どもを生みたいという家庭がどれだけあるか。合計特殊出生率「1.3」も極めて怪しいことが分かる。中国という守銭奴社会は、こうして人民から金を巻き上げるシステムを作り上げている。
私は、人民元を円に換算するたびに「計算を間違っていないか」と自問自答した。子どもの出産から教育費にまで、高額な費用が掛かることに驚いたのだ。これが、「貧者に優しい」と宣伝する中国共産主義社会の実態である。この「まやかし」が、中国経済の芯を腐らせていくことは必至だろう。
『ロイター』(6月1日付)は、「少子化進行の中国、子育てにかかる費用とは」と題する記事を掲載した。
中国政府は5月31日、1組の夫婦が最大3人までの子どもを持つことを認めることを発表した。最近のデータにより、世界で最も人口の多い中国で出生数が劇的に減少していることが示されたことを受け、子どもを2人までに制限していた政策を大きく変更する。
(1)「中国の都市部では育児のための費用が上昇しており、夫婦の多くが子どもを持つことをちゅうちょしている。2016年に中国政府が「1人っ子政策」を撤廃したが、それにもかかわらず、出生率は女性1人当たりわずか1.3人に低下した。では、中国の大都市で子どもを育てようと思ったら、どれくらい費用がかかるのだろうか。中国の公立病院で出産する場合は、妊娠期の検査や分娩時を含め、費用は国の保険でカバーされるのが普通だ。だが、公立病院のリソースがひっ迫しているため、民間のクリニックを頼りにする女性が増えており、こちらでは10万元(約172万円)以上の料金を請求される」
私の知人は数年前、酒を飲み過ぎ気分が悪くなり北京の病院へ行ったら、6万円請求されたという。何と「ボッタクリ」でないかと笑ったが、出産となるとボッタクリも並みの金額でない。民間病院では、172万円も掛かるというのだ。信じられない金額である。
(2)「裕福な家庭では、出産後1カ月間、母親と新生児の世話をするために「月嫂」と呼ばれる専門のベビーシッターを雇うのが通例であり、その費用が約1万5000元(約25万8000円)かかる。中国では所得水準の向上に伴い、産後まもない母親が専門的な診療やサービスを提供する分娩後診療センターに集まるようになっているが、これも費用は高い。北京市内の王府井地区にある施設の場合、月15万元(258万円)~35万元(602万円)だ」
ベビーシッターになるには、一流大学卒が条件であると聞いたことがある。大学卒業後、適当な職場がなく、「女中さん」や「ベビーシッター」になるという話は、こういう好条件を見るとウソではないことが分かる。つまるところ、高学歴社会になっても、それに見合った雇用がないことを意味している。それは、所得分配の不平等ゆえに均質なサービスが普及せず、金持ちだけが利用する歪な社会を生み出しているのだ。こういうアンバランスな中国に持続的発展を望むべくもない。一部で「王侯貴族」を生みだしているに過ぎない。
(3)「裕福な親たちは、子どもを幼児教育施設に送り出すようになると、北京市内の海淀地区など名門校のある地域でマンションを探す。このあたりの住宅コストは1平方メートル当たり平均9万元(約155万円)以上で、米マンハッタンの価格の中央値に匹敵する」
(4)「『戸口』と呼ばれる居住許可がなく、公立学校への入学資格が得られない子どもは、私立学校へ 入学する。年間4万(68万8000円)~25万元(約430万円)の学費がかかる。子煩悩な親の大半は、1人しかいない子どもにお金を惜しみなく使い、個別指導の学習塾や、ピアノやテニスなどといった習い事に通わせる。家庭が負担する教育費を抑えることにより、子どもへのプレッシャーを緩和し出生率を引き上げるため、中国は活気を帯びる学習塾産業への締め付けを開始している」
私立学校の授業料が、年間68万~430万円も掛かるとは卒倒するほどの高額費用である。そのほか、芸事やスポーツにも金をかけているとは、日本でも余り聞いたこともない話だ。守銭奴社会ゆえに、金のありそうな者にはいくらでも払わせる、昔からの「たかり精神」が中国には息づいているのであろう。「公正な取引」という概念が欠落している社会になっている。
(4)「上海社会科学院による2019年の調査報告書では、上海の高級地区である静安区で生活する平均的な家庭では、誕生から中学校卒業(通常15歳)までに、子ども1人あたり約84万元(約1444万円)を支出している。そのうち、教育費だけでも51万元(約877万円)だ。この報告書によれば、静安区・閔行区の低所得世帯(年収5万元(約86万円)以下の場合、収入の70%以上を子どもに費やしているという。1人っ子として多くの費用を投じて育てられたことによるプレッシャーだけでなく、いずれは両親の介護を期待されていることもあり、多くの若者は自分では子どもを持つことに腰が引けてしまっている)」
上海の高級地区における平均的な家庭では、誕生から中学校卒業(通常15歳)までに、子ども1人あたり約84万元(約1444万円)を支出しているという。中国のソーシャルメディアでは、政府が子どもを3人まで生んで良いとの許可に冷ややかな反応である。子ども3人どころか、1人を育てる余裕すらないという声が多い。あるユーザーは「500万元(約8600万円)くれるなら、子どもを3人持ってもよい」と微博に投稿した。8600万円で子ども3人とは、一人当たり2866万円である。
前記の上海の高級地区では、誕生から中学校卒業までに平均で1444万円もかかる。これに大学進学までの費用を加えれば、2800万円という金額はまんざらウソでもなさそうである。ともかく、守銭奴社会中国での子育ては「難事業」である。合計特殊出生率は今後、釣瓶落としになって当然である。
次の記事もご参考に。
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2021-06-01 |


コメント
「米国は究極の資本主義で貧しい者は生きられない。」
「ニューヨーク等の米国の都市部では育児のための費用が上昇しており、夫婦の多くが子どもを持つことを躊躇している。」
「米国では高学歴社会になっても、それに見合った雇用が無い。それは、所得分配の不平等ゆえに均質なサービスが普及せず、金持ちだけが利用する歪な社会を生み出している。こういうアンバランスな米国に持続的発展を望むべくもない。一部で「王侯貴族」を生みだしているに過ぎない。」
このブログは米国贔屓の反中・反韓がテーマだから米国の良からぬ箇所は黙殺(スルー)のようですが、これが米国の現状です。
所得格差は、中国が米国を上回っています。資本主義に対抗する社会主義を標榜するならば、中国の所得格差拡大は納得できないでしょう。
冷静な目で米中を比較すれば、政治的な意味での「親米反中」という次元を超えた結論になるでしょう。米中、どちらに住みたいと思いますか。まさか、言論弾圧、24時間監視の中国を選ぶとは思えませんが。
米国は、バイデン民主党政権で6兆ドル予算を組み、民政充実に全力を挙げるようです。軍事費には金をかけません。所得格差の是正に取り組みます。これで、ご批判の点が改善されると思います。
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