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中国の急所を突いたG7

歴史的な転換点が来た!

世界GDPの半分が結束

日本がNATOへ参加も

 

G7首脳会議が、6月11~13日の日程で終わった。翌14日は、NATO(北大西洋条約機構)の首脳会議が開かれた。これら両会議によって、中国は安全保障上で危険な存在として位置づけられることになった。

 

軍事組織であるNATOは来年、12年ぶりに主要任務を定めた「戦略概念」を改訂する。「NATOの集団防衛、繁栄、価値観へ中国の脅威も含むことになる」(米ホワイトハウス)という事態にまで発展している。中国問題は、自由世界が共通で対処せざるを得ない問題となってきたのである。

 

日本が、もっとも中国の軍事脅威を肌で感じている国である。尖閣諸島の日本領海を恒常的に侵害され、次第にエスカレートしている。中国が海警船に武器を持込む事態になって、侵略危機が一層の高まりを見せている。中国は、これまで漁船に小火器を積み込んで相手国の島嶼へ奇襲をかけ成功してきた。それが、海警船という巡視船に格上げしてきたもので、危険性はさらに高まっている。

 

日本は、こういう事態の現実化を最も危惧している。今回のG7では、菅首相が会期中の3日間、中国の危険性を出席国に力説して認識を深めさせることに成功した。米国バイデン大統領が、これを側面から支援してG7全体の共通認識にまで高めることができた。

 

中国の急所を突いたG7

G7共同宣言は、日米が主導して台湾海峡安定の重要性を明記したほか、中国の人権問題にも触れ、新疆ウイグル自治区や香港に関連して「中国に人権と基本的自由の尊重を求めていく」とした。G7として、従来よりも対中国で強いメッセージを出した。いずれも、中国が「核心的利益」と規定してきた問題である。中国にとっての「核心的利益」とは、武力を用いても防衛するという意味だ。

 

G7が、この「地雷原」へ足を踏み入れてきたのは、主導する日米に「開戦」という最悪事態を想定させてまでも解決へ取り組む意思を示したもの。米国は、その準備作業としてインド洋・南シナ海・東シナ海を結ぶ「インド太平戦略」が、クアッド(日米豪印)4ヶ国で支える体制を整えた。この延長でNATOを動員し、世界防衛という視点で中国へ軍事対抗する動きを強めている。

 


これに対して中国は、次のような反応である。

 

中国外務省は6月15日の会見で、「わざと中国に泥を塗り内政に干渉した」としたうえで、「強烈な不満を示し断固反対する」と述べた。さらに、「中国が主権や安全を守る決意は揺るぎない」と強調した。G7を主導した米国に対して「米国は病んでいる。しかも軽くない。G7はアメリカに処方箋(せん)を出した方がいい」とまで非難した。

 

この発言で注目すべきは、G7の中で米国だけを非難して他国に触れていない点である。これは、中国特有の「合従連衡」策である。「合従」(同盟)を分解させて「連衡」(一対一の関係に持込み、相手を征服する)に持込むというのだ。秦の始皇帝が、この「合従連衡」策によって、中国を初めて統一国家にさせた故事来歴に倣おうとしている。

 

中国のような専制国家に対抗するには、民主国の同盟が不可欠である。韓国は、この原則(米韓同盟)の利益を忘れて、「連衡」を意図するような動きを見せている。中国からすれば、願ってもない「分派行動」に映るはずだ。それだけに、韓国へ手を変え、品を変えての接近を続けている。韓国は、この中国の意図が分からないのだ。外交感覚が、麻痺していると言うべきである。

 


世界史的な転換点が来た

今回のG7とNATOの「連帯」は、歴史的にどのような意味を持つのか。「G7の説教は中国に通じない」という見方もある。だが、NATOが中国を「安保リスク」として規定したことは、「説教」では済まないことを見せつけるはずだ。私は、これまで「クアッド」がNATOと結びついて、対中国へ世界的な軍事包囲網の形成を予測してきた。それが、いよいよ現実問題として動き出すほど、中国の軍事挑戦が限界点を超えて来たということである。

 

今回のG7共同声明が、世界史的な転換点になるという主張が出ている。『フィナンシャル・タイムズ』(6月11日付)の「G7提言、思想の変化映す」と題する主張である。筆者は、同紙の米国版エディター アット・ラージ ジリアン・テット氏である。その主張は、次のような点だ。

 

1)旧ソ連崩壊後に始まったグローバル経済と自由主義経済を修正させる。

2)中国の異なる価値観が、世界秩序への挑戦を目指す危機観を共有させた。

3)国家と企業の関係は、完全に区分けされていたが、今後はパートナーに変わる。

 

以上の3点について、私のコメントを付したい。

先ず、総括的に指摘したいことは、旧ソ連崩壊で地球上に軍事的紛争は起るまいと楽観視して30年間過ぎ、その幻想が打ち砕かれたことである。中国という「古代国家」がさまよい出てきて、世界秩序を中国共産党方式に変えたいという妄想患者が現れたことである。こうなると、西側諸国は安全保障に全力を挙げざるを得なくなった。緊急事態の到来である。

(つづく)

 

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