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韓国銀行(中央銀行)は6月22日、過去最大にまで膨らんだ韓国の家計債務と不動産価格の高騰により、韓国の金融状況が2008年の世界的な金融危機以降で最も不安な状態にまで悪化したと指摘した。もし危機が起きれば、経済全体に衝撃が広がる危険性が高いと警告した格好である。

 

韓国銀行はこれに続き、24日に年内の政策金利引き上げを予告した。この措置によって不動産価格の高騰に歯止めを掛けようという狙いである。ソウルのマンション平均価格は、日本円で1億0700万円へ暴騰している。「億ション」になったことは異常を通り超えて、いつでも暴落するレベルまで跳ね上がっていることを意味する。文政権が生まれて以来、ソウルのマンションは8割値上がりした。20~30代の若者は、借金して住宅確保に動いている。マイホームを買えない若者は、借金で株式投資を始めるなど一攫千金の夢を追う異常事態になっている。

 


『聯合ニュース』(6月24日付)は、「
韓国中銀総裁、『年内』の政策金利引き上げを予告」と題する記事を掲載した。

 

韓国銀行(中央銀行)の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は24日、物価安定目標運営状況の説明会で、「年内の遅くない時期に通貨(金融)政策について秩序をもって正常化する必要がある」と述べ、「年内」の政策金利引き上げを予告した。

(1)「今月11日の時点では「現在の緩和的な金融政策を適切な時期から正常化していくべきだ」としながらも、具体的な正常化の時期に言及しなかったが、この日は「年内利上げ」のメッセージを市場に明確に伝えた。緩和的な金融政策の正常化、政策金利引き上げの根拠としては、「物価」よりも資産価格の上昇や個人向け融資の急増といった「金融不均衡」のリスクに重きを置いた

 

韓銀が金利引き上げを意図している理由は、資産価格の上昇とそれを背景にした個人向け融資の増大である。もう少し説明すれば、個人が債務を増やして不動産や株式の投資を行なっていることから、資産価格が下落すれば債務返済が不可能になって「金融不均衡」が起るという危険性である。

 


この関係は、次のように説明できる。

 

負債増加速度が、GDP成長率より速くなると資産価格まで上昇する。ここで、借入を通じた資産買い入れるという現象が始まる。その次の段階では、高い負債負担と資産価格下落で負債返済が難しくなり、「負債危機」が発生する。このバブルが崩壊する兆しを見せれば、負債が多い国から資金が海外へ流出し始める。韓国がこれまで2度経験した金融危機の勃発である。韓銀が、年内に政策金利引き上げを予告して理由は、資産バブル崩壊と海外への資金流出による金融危機回避が目的である。

 

(2)「李氏は、株や不動産などの資産市場への資金集中が顕著で、個人債務もなお大幅に増加していると指摘しながら、「金融の不均衡が累積しており、ここに留意して金融政策を調整する必要性が日増しに高まっている」と強調した」

 

このパラグラフは、前のパラグラフで私の付けたコメントの繰り返しであるが、重要な点である。韓国経済の脆弱性を端的に指摘している。

 


(3)「韓銀は先月27日に開いた定例の金融通貨委員会で、政策金利を年0.5%で据え置いた。同行は昨年3月、新型コロナウイルスの感染拡大により景気減速が予想されるとして政策金利を年1.25%から過去最低の0.75%に引き下げ、同5月にはさらに0.25%利下げ。その後は据え置きが続いている。韓銀内外では、同行が10月にまず0.25%利上げし、来年1月または2月に追加で0.25%上げるとの見方も出ている

 

下線を引いたように、10月に0.25%、来年1~2月に0.25%、つごう0.5%引き上げが想定される。現在の政策金利は0.5%であるから、これが、1%へ引き上げられるもの。金融正常化の一環である。

 

中小・零細の企業は、長いコロナ禍で経営的に苦しい局面である。それだけに、金利引上げでさらに苦境に立つのは明らかだ。韓銀は、財政政策でこの分野を救済すべきという立場である。金融政策が、弱者救済に力点をおいて低金利に固執すると、韓国経済全体は資産バブルという「大火」によって焼き尽くされるリスクを抱える。

 


日本経済は、この局面で大きな失敗をした。1980年代後半の急速な円高で、企業経営が危機に立って日銀の超低金利政策を求めていた。これが不動産と株式のバブルを生み出して結局、日本経済沈没の憂き目を見た。中央銀行は、雑音に耳を貸さずセオリー通りの政策発動に徹することだ。それが、日本経済失敗から学ぶ教訓である。

 

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