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アフガニスタンの崩壊は、米情報当局の予測よりも半年早かったという。タリバンと戦う意志の弱い政府と政府軍の現状から、起るべくして起ったと言える。ガニ大統領は、夫人と側近を連れ4台の車に現金を積み込み空港へ直行したが、一部現金を放置しままウズベキスタンへ逃亡する始末である。

 

アフガニスタン初の女性教育相のランギナ・ハミディ氏(45)は、ガニ大統領逃亡の知らせを伝え聞き、「衝撃的で信じることはできない。全面的に信頼した大統領が逃げるだろうとは思わなかった。心の一方ではまだ彼が逃亡したのは事実でないと信じたいが、もし事実ならば恥かしいことだ」と明らかにした。『中央日報』(8月17日付)が報じた。

 


『中央日報』(8月17日付)は、「アフガン事態が韓米同盟の重要性を見せた」と題する社説を掲載した。

 

アフガニスタン事態はアフガン政府の無能さや腐敗、政治的分裂が作った悲劇だった。アフガンで20年間精魂を込めてきた米国が手を引くようにアフガンから米軍を撤収したのは冷静な国際社会の一面を見せた。昨日、アフガンの首都カブール国際空港は阿鼻叫喚そのものだった。

 

(1)「ベトナムの崩壊(1975年)が再現したかのようだった。2001年アフガンのタリバン政権は同時多発テロ事件を犯したアルカイダに関連して注目を集めた。また、米国主導の恒久的な自由作戦でタリバン政権を押し倒し、再建の過程に韓国も参加した。韓国の茶山・東医(タサン・トンウィ)部隊、アセナ部隊が10年以上アフガンに駐留しながら医療支援と再建を助けた。韓国は2011年から昨年までアフガン軍隊と警察力を強化するために7億2500万ドル(約792億円)を支援した」

 

アフガン崩壊は、南ベトナム崩壊を思わせる光景を再現している。空港へ殺到する国民の姿は、阿鼻叫喚そのもの。政権の腐敗が弱い軍隊を生み出し、そのツケが国民に回されるという構図は全く同じである。

 


(2)「アフガンからの米軍撤収は不信と失望によることだ。米国は2001年以降アフガン戦争と再建に2兆ドル以上をつぎ込んだ。米国の財政が揺れるほどだった。2014年からはアフガンに自己防衛力を持たせるためにアフガニスタン治安部隊(ANDSF)の育成に国防費(50億~60億ドル)の75%を米国が負担した。米政府はANDSFがタリバンの兵力よりはるかに優勢だと勘違いしていた。ところが、虚像だった。ANDSFの兵力は数字だけのもので、実際はほとんどないことが分かった。米国がアフガンに支援した多くの財源は再建でなく、官僚と軍幹部のポケットに入った

 

下線部のように、米国のアフガニスタン支援は官僚と軍幹部の懐に入った。今回のガニ大統領が逃亡の際に運び出した現金は、米国支援の「ドル札」であろう。

 

(3)「米軍が撤収してからアフガン政府軍は戦闘の意志もなかった。タリバンとまともな戦闘もできず降参した。米国がアフガンに莫大な費用を投じても撤収を決めた背景は、いくら助けても成果がない「底の抜けた瓶に水を注ぐようなこと」という事実に一歩遅れて気付いたからだ。このようなアフガンの状況は1973年ベトナムから米軍が撤収した時と似ている。当時、ベトナムの政府も腐敗し、政治的にも分裂していた

 

アフガニスタン政府の腐敗と無能は、南ベトナム政府の腐敗と無能に通じる。こういう政治状況では、支援しても無駄である。米国が手を引いた事情がこれだ。バイデン米大統領は昨日、国を守る意思のない政府を支援できないと声明した。

 


(4)「アフガン事態は他人事でない。まず、強い軍隊を維持するのが重要だ。最近、空軍と海軍で相次ぎ起きたセクハラ事件や警戒の失敗、韓米合同演習の縮小などをみると懸念せざるを得ない。軍隊の命とされる軍規が崩れれば、アフガンのようになる。しかも、北朝鮮は核兵器とミサイルを継続して増やしている。韓米同盟がどれくらい重要なのかも米軍が撤収したアフガンの運命から如実にあらわれた」

 

翻って、韓国はどうか。アフガニスタンに似た部分もある。韓国軍内部の規律弛緩である。女性兵士へのセクハラ事件で最近、二人の自殺者を出している。文政権は、「主敵」から北朝鮮を外してしまい、韓国軍は防衛目的を失ってしまった。危機感が消えてしまった軍隊である。セクハラなどということに関心を向けるほど規律は緩んでいるのだ。

 

(5)「最近、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長が直接在韓米軍の撤収を求めたではないか。韓米同盟は韓半島(朝鮮半島)の安全保障の柱だ。政府と軍はアフガン事態を他山の石にして韓米同盟の強化と強軍維持に全力を尽くしてほしい。国が分裂して安保が崩れれば、何も役に立たない。アフガンに残っている在アフガン韓国人や外交官らの安全な帰国にも全力を注いでほしい」

 

文政権の北朝鮮への姿勢も迷走している。北朝鮮の言うままに動いているからだ。北朝鮮の放ったスパイが、文氏の大統領選挙時の有力スタッフに紛れ込んでいたほど。韓国与党の北朝鮮「盲信」も危険である。あれこれ考えると、韓国は、今回のアフガニスタン崩壊から学ぶ点が多い。ただ、歴史に学ばない韓国ゆえに、危機感が募るのであろう。