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中国の急速な軍事力拡張に刺激され、インドも2隻目の空母を建艦した。こうして、一国の軍事力拡大は、周辺国の軍事力を拡大させる「安全保障のジレンマ」をもたらすことを立証している。諸悪の根源は、中国である。自国の思惑通りに、ことが進まないという現実を知るべきだろう。

 

『大紀元』(8月21日付)は、「インド海軍、ミサイル駆逐艦など南シナ海に派遣」と題する記事を掲載した。

 

一触即発の国境紛争の和解を目指して中印の交渉が進む中、提携諸国や近隣諸国との関係深化を図ることで継続的にインド太平洋における防衛態勢の強化に取り組むインドの姿勢には、中国を牽制したい同国の願望が如実に表れている。

 

(1)「ロイター通信の報道では、インド海軍は2021年8月上旬に友好国との安保関係強化を目的として南シナ海に海軍任務部隊を派遣すると発表した。インド海軍が発表した声明によると、誘導ミサイル駆逐艦と誘導ミサイルフリゲートを含む4隻の艦船が東南アジア、南シナ海、西太平洋を2ヵ月間航行する予定である。同海軍は声明を通して、「今回のインド海軍艦船の展開は、海事領域における秩序の確保に向けて作戦範囲、平和的な存在感、友好国との連帯を強調することを目的としている」と述べている。2016年の常設仲裁裁判所の判定を無視した中国が現在も広大な海域の領有権を主張し、環礁や岩礁を軍事化していることで長年にわたり南シナ海は紛争の火種となってきた」

 

下線のように、インド海軍は4隻の艦船で南シナ海を航行する。インドも「航行の自由作戦」に参加したことになる。インド海軍の実力を中国へ見せつける場だ。

 

(2)「インド海軍艦船は南シナ海を航行するだけでなく、2021年8月下旬にはグアム島沖でオーストラリア、日本、米国と合同訓練を実施する予定である。合同海軍演習「マラバール」に参加する諸国は、通称「Quad(クワッド)」として知られる日米豪印戦略対話(4ヵ国戦略対話)に参加している。インドはまた、初の国産空母の試験航行を実施するなど海洋における存在感を強化している。最近、インド南部に位置するケーララ州沖で試験航行が開始された空母「ヴィクラント」が就役すれば、これがインド2隻目の現役空母となる」

 

インド海軍は、実戦訓練をクアッド(日米豪印)海軍と行う。これとは別途に、初の国産空母「ヴィクラント」の試験航行を実施する。この就航によって、インドは2隻の空母を保有することになった。

 


(3)「フランス通信社(AFP)によれば、インドは「空母を国内で設計・製造できる数少ない諸国の仲間入りができる。これはインド政府が推進する「インドでモノづくりを(Make in India)」イニシアチブの推進力を示す真の証となる」と、インド海軍は発表している。多国間の協力体制強化を目的として、インドとその防衛提携諸国は継続的に「航行の自由」作戦を実施している」

 

国産空母「ヴィクラント」は、「インドでモノづくり」をというイニシアチブを実現したことになる。工業力において、インドは中国と同等であることを示した。

 

(4)「2021年7月下旬、インドと英国がベンガル湾で演習を完了した後、満載排水量6万5000トンの新空母「クイーン・エリザベス」を中核として構成された「英国空母打撃群21」が南シナ海の紛争海域に入域した。中国は同空母打撃群を追い返すと脅しをかけていたが、CNNニュースの報道では、同空母打撃群は合法的に海域を航行して公海の最も直接的な航路を取って、演習が予定されているフィリピン海に向かったと、英国国防省が声明を通して発表した」

 

中国は、英国の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」と打撃群の南シナ海航行を拒否する姿勢を見せていたが、「口先」に終わった。英国の原子力空母のほかに米国とオランダ艦船も随行しおり、「後難」を恐れた結果であろう。中国の「脅迫」は、こうして影響力を失っている。

 


(5)「こうした海事紛争が続く一方で、インド軍は中印国境紛争の終結に向けて中国側と交渉を続けており、2021年8月上旬に両国が「迅速に」問題解決することで合意したとの声明を発表した。同声明は12回にわたる和解交渉の末の成果であるが、チベット地域の実効支配線に位置する汽水湖「パンゴン湖」沿いでは、衝突発生以来数千人に上る両国軍隊兵士が対峙している。ロイター通信によると、2020年6月に発生した衝突ではインドと中国の両軍に死者が発生した。長年緊張状態にあった国境において、これは過去40年あまりで初の中印軍隊間の流血乱闘となった事件である」

 

昨年6月、中国軍によるインド軍へのヒマラヤ山中における奇襲攻撃は、真夜中に行われた。インド兵士20名が犠牲になりこれ以降、インドは中国への経済報復を行っている。中国は、何の意味もない奇襲攻撃で信頼を失う結果になった。