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韓国外交部長官(外務大臣)が、米国で仰天発言して周囲を驚かせた。中国が戦狼外交をやっていることを弁護して、「経済的に20年前より強くなったから当然」と言い放ったのである。米韓同盟で米国に守られている韓国が、米国と対立する中国の肩を持つ発言に対して、改めて韓国社会の特異性を見る思いがする。これでは、米国も日本に続いて韓国を信用するはずがない。

 

早速、米国からしっぺ返しを受けている。韓国外交部長官が、「北朝鮮への制裁緩和を検討しなければならない」と主張したことに対し、米国務長官はそれに応じる考えがないことを示したのだ。韓国の子どもじみた外交が、頓挫した形である。

 


『朝鮮日報』(9月24日付)は、「
訪米した韓国外相『中国の攻勢的外交は当然』対北制裁の緩和を考慮すべき時期」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領に随行し国連総会が開催される米国を訪問した韓国外交部(省に相当)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官は22日(現地時間)「中国が攻勢的な外交を展開するのは当然だ」「韓国は米中間で選択をすべきとは考えない」と述べた。前日にバイデン大統領は国連総会で「中国の反民主主義的な動き」に対抗するため「同盟国間の協力」を強調したが、鄭外相はこれとは異なる考えを示した形だ

 

下線部のように、米国と同盟国は一致して中国の人権弾圧的な強圧姿勢に対抗している。その米国の同盟国である韓国外相が、中国の肩を持つ発言をしている。駐韓米軍の存在意義が分かっていないとしか言いようのない言動である。韓国進歩派の「親中朝・反日米」姿勢が滲み出た発言である。

 


中国が2017年に在韓米軍の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に強く反発し、韓国に対して行った限韓令(韓流禁止令)など、様々な方面での報復が4年以上にわたり続いている。それにもかかわらず、「韓国外交政策のトップが、現状に対する安易な認識を示した」との指摘が韓国では相次いでいる。

 

(2)「鄭長官はこの日、ニューヨーク所在のシンクタンク「米国外交問題評議会(CFR)」の招待を受けて参加した対談で、「中国は最近、攻勢的な動きを示している」との指摘に対し「中国は経済的に強くなっているので当然だ。20年前の中国ではない」とした上で上記のように述べた。鄭長官はさらに「『中国は攻勢的』という表現そのものに同意しない」「彼らは国際社会に中国の声を伝えたいということだ。われわれは中国が主張したい内容を聞くように努力しなければならない」との考えも示した」

 

国際関係は、国力の大小は区別なく「一国一票」という対等の関係である。この原則論から言えば、中国のGDPが20年前より格段に大きくなったから、やりたい放題をやって言いいことにはならない。国連憲章を守る義務があるのだ。南シナ海や東シナ海での軍事侵攻は許されない。

 


(3)「『韓国は米国と中国の間でどちらかを選択するのか』との質問に、鄭長官は「どこかの国が米中間で選択すべきとは考えない。特に韓国はその必要はない」と答えた。司会者は米国、韓国、日本、オーストラリアなどアジア太平洋の同盟国を「反中ブロック」と表現したが、これに対して鄭長官が「冷戦時代の思考方式だ」と指摘する一幕もあった」

 

下線部発言は、中国の王毅外相の発言と同じである。王氏が「反中ブロックは冷戦思想」を口癖にしているからだ。韓国の鄭長官もこの言葉を聞かされ洗脳されたもの。だから、思わず出てきた言葉であろう。

 

鄭長官は、「中国の代弁人と非難されるのは公正な報道ではない。残念だ」と反論している。司会者が、米国、韓国、オーストラリア、日本を「反中ブロック」と表現し、その前提で質問を受けた。だから、そのままに「ブロックが形成されたというのは冷戦時代の思考方式」と指摘したに過ぎないと弁明している。これは、韓国が「クアッド」へ加盟する意思のないことを明確にしたものでもある。米国は、インド太平洋戦略から韓国を除外して戦術を組むほかない。

 

(4)「鄭長官は、文在寅(ムン・ジェイン)政権が掲げる北朝鮮への支援や終戦宣言構想と関連し、「北朝鮮は実際に核兵器を放棄すると思うか」との問いに「難しい質問だ」とした上で「北朝鮮への補償についての提案に小心になる必要はない。さほどデリケートではない人道分野から支援を始めることができる」との考えを示した。鄭長官はさらに「米国はまだ準備ができていないが、今は制裁の緩和について考慮すべき時期だ」「北朝鮮は4年にわたりモラトリアム(核実験と長距離ミサイル発射の猶予)を維持しているからだ」と主張した」

 

ここでも、下線のように北朝鮮側へ理解のある姿勢を見せている。国連によって、北朝鮮は核実験と長距離ミサイル発射を禁止されているから当然のこと。「褒美」を上げる話ではない。米国が、こうした韓国の主張を退け制裁を継続する決定をした。韓国外交は、「親中朝」姿勢を見せて米国の反感を買っただけに終わったのである。