米国は、インド太平洋戦略として、二種類を主宰している。クアッド(日米豪印)とAUKUS(米英豪)である。ネーミングが異なる以上、役割も違うはず。その違いはどうなっているのか。改めて考えたい。
『大紀元』(9月29日付)は、「台湾専門家『中国対抗でクアッドとオーカスにぞれぞれの役割』」と題する記事を掲載した。
台湾民間シンクタンク、国策研究院文教基金会は27日、「クアッド4カ国首脳会議と中国脅威に関する座談会」を開催した。参加した専門家は、日米豪印4カ国の枠組み「クアッド(QUAD)」と新設された米英豪3カ国の枠組み「オーカス(AUKUS)」は、覇権的な動きを続ける中国共産党に対抗する取り組みで、それぞれの役割を分担しているとの見方を示した。
(1)「27日の座談会に出席したシンクタンク「台湾智庫」の頼悦忠執行委員は、「米英豪3カ国の共同声明をみると、オーカスは軍事同盟であることがわかる。英国も今後、インド太平洋地域で軍事的な役割を担う。同時に、(原子力潜水艦の取得で)この地域における豪州の軍事防衛力がさらに強まる」と述べた。
オーカスは軍事同盟であるとしている。英米が、攻撃型原潜技術を豪州へ供与するのだから、軍事同盟と見るべきであろう。英国も、軍事的な役割を担うことになった。これは、従来にないことである。
中国が、英国との間で結んだ香港の「一国二制度」を破棄した恨みもあって、英国は、米豪と共に中国と戦うと宣言した。
(2)「今月15日、米英豪の首脳は共同で会見を開き、3カ国による「インド太平洋地域の平和と安定の維持」に向けた新たな安全保障枠組み「オーカス」を創設すると発表した。首脳らは、今後人工知能(AI)、サイバー空間、水中防衛力などの分野で技術を共有していくとした。米英両国は、豪海軍の原子力潜水艦の取得を支援すると表明した。台湾中山大学の中国およびアジア太平洋地域研究所の郭育仁教授は、クアッドが軍事同盟ではないため、軍事・安全保障に焦点を当てたオーカスが設立されたと分析した」
クアッドが軍事同盟ではないために別途、軍事・安全保障に焦点を当てたオーカスが設立されたということだ。となると、クアッドで残された形の二国である、日本とインドは、AUKUSに比べて軽い役割ということになろう。ただ、米英豪が、日本の軍事力を高く評価しているだけに、いつまで「別クラス」として「そっと」しておくかだ。時間を見て、日本をAUKUSへ誘い込むことは明らかであろう。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月28日付)は、次のように指摘している。
「インド太平洋諸国は多くの欧州諸国に比べ、主権の共有や、規則中心で官僚的な機構を構築することへの関心が薄い。東南アジア諸国連合(ASEAN)は欧州連合(EU)よりも緩く、日米豪印で構成されるクアッドは北大西洋条約機構(NATO)よりも緩い。中国の(脅迫)行為が、近隣諸国・地域を米国との一層緊密なパートナーシップに向かわせ続けるならば、日本や台湾が、よりAUKUSに近い取り決め、そしておそらくはAUKUSそのものに加わる可能性がある」
ここでは、米国がさらに軍事侵攻作戦を拡大する姿勢を見せれば、日本もAUKUSという軍事同盟へ参加するだろうと見ている。中国は、日本という「強敵」を迎えるのかどうか岐路にあるという分析である。中国の「戦狼外交」次第ということか。
(3)「頼氏は、米国と豪州との原子力潜水艦技術の共有について注目した。「米英豪の首脳は創設声明を通して、豪州が今後、対中で軍事行動を起こす可能性があると暗に警告したのだ」。また、頼氏は、「どの国とも軍事同盟を結ばないというインドの一貫した外交姿勢」が、クアッドが軍事枠組みになれない理由だとした」。「インドはクアッドの主導国ではない。インド側はこれ以上クアッドにコミットすると、将来自分らがコントロールできない展開に巻き込まれるのではないかと心配しているだろう。オーカスの設立によって、クアッドが軍事同盟に発展する可能性はさらに低くなった」と指摘する」
ここでは、クアッドが軍事同盟にならず、その役割はAUKUSに移っていると指摘している。アジアの軍事情勢が悪化すれば、日本もAUKUSへ参加するという含みに読める。非情に微妙な段階に来ている。中国の自重が、中国の寿命を延ばすことになるのだ。


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