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韓国とは,不思議な国である。コロナ感染者が一日2000名を超えている中で、11月1日から「ウィズコロナ」へ踏み切るからだ。日本が、10月1日から緩和に踏み切ったことで、「韓国も負けない」という妙な意地を張った結果のように見える。現に、医療側からは、「医療崩壊」を危惧する発言が相次いでいる。今回の決定は、政治主導で行われたのは明らか。ここまで、日本を意識しているとは、気の毒にさえなる。

 

『中央日報』(10月30日付)は、「韓国、医療対策のないウィズコロナ 専門家『感染者急増による医療崩壊も』」と題する記事を掲載した。

 

11月1日から段階的な日常回復(ウィズコロナ)が本格的に始まる。私的な集まりや営業時間の制限が大幅に緩和され、全面登校授業が再開される。2年近く続いた新型コロナとの戦争を終え、コロナと共存する道を進むことになった。専門家らは日常の回復を先延ばしできないと強調しながらも、政府の準備不足を心配している。突然の防疫緩和で感染者が急増する場合の対策がないという指摘が多い。中央災難安全対策本部は29日、「段階的な日常回復履行計画」を発表した。

 


(1)「日常回復は3段階で進められる。政府は生業施設→大規模行事→私的な集まりの順で防疫措置を緩和する計画だ。ひとまず11月末までに第1段階を進行し、予防接種完了率、医療体系余力および重症患者・死亡者発生、流行規模など推移を眺めながら第2段階への転換を検討する計画だ。2週間の評価期間は状況によって調整可能で、日常回復支援委員会への諮問を経て中央災難安全対策本部で次の段階への移行を決める」

 

日常回復は3段階で行う。11月末までに第1段階を進行。その後の様子を見て、第2段階への転換を検討する計画する。

 

(2)「第1段階では遊興施設(24時まで)を除いてカラオケボックス、室内体育、入浴場などすべての施設は時間制限なく営業できる。首都圏では10人、非首都圏では12人まで私的な集まりも可能だ。マスクを外すことになる飲食店では未接種者は最大4人まで含めることができる。ワクチン接種・新型コロナ陰性証明書「防疫パス」は1週ほどの試験期間を置いて適用し、第2次改編からは廃止する。状況が悪化する場合は非常計画(サーキットブレーカー)を発動する。集中治療室の病床稼働率が75%以上または週7日移動平均70%以上である場合に検討する。その前に予備警報も出す」

 

第1段階では遊興施設(24時まで)を除いて、カラオケボックス、室内体育、入浴場などすべての施設は時間制限なく営業できるという。カラオケボックスは、感染率が高いとされているだけに大丈夫なのか。

 


(3)「ウィズコロナで防疫措置を緩和すれば初期感染者が急増する可能性がある。これに対応する準備が不足しているという指摘が出ている。接種率が高まっても初期接種者の防御効果は日々低下する。ウィズコロナの適用を控え、7月から続いてきた第4波が10月に入って落ち着き始めたが、最近また増加している。新型コロナの伝播力が高まる冬季が近づいている点も日常回復の進行に不利な点に挙げられる

 

下線のように現在、一日2000人を超える新規感染者が出ているなかで「ウィズコロナ」だ。季節的にも感染しやすい冬季に近づいている。

(4)「政府は最近の感染者増加について、「18日に私的な集まりの規制などを一部緩和した影響」と分析した。しかしソウル大のキム・ユン医大教授は「防疫緩和が理由なら飲食店やネットカフェのような大衆利用施設で多くの感染者が出るはずだが、そうではない。最近の感染者の大部分は療養型病院・療養院、病院、学校、職場で出ている」とし「現在の感染傾向をみると、接種で得た効果が落ちた高齢者や脆弱階層がいる施設で大規模な突破感染が発生したり、まだ接種していない生徒が集まった学校で出ている」と説明した。実際、この日、昌原(チャンウォン)のある精神科病棟で121人の集団感染が確認された。ほとんどが突破感染と推定される」

 

下線部は、韓国の防疫体制の偏りを示している。コロナの集団発生(クラスター)は、疫学的に最も警戒すべき現象と指摘されている。韓国では、中国と同じで全数調査にこだわっている。そうではなく、疫学的に発生リスクの高いところを「潰して」行くべきである。だから、検査数が多いことだけでは自慢にならないのだ。この点が、日本と決定的に異なっている。日本は、ワクチン接種も職域単位で行ったことがクラスター対策として有効だった。

 


(5)「専門家らが最も憂慮するのは感染者急増による医療崩壊だ。感染者が増えれば重症患者も増え、十分な治療を受けることができなければ死者も増えるしかない。大韓医師協会新型コロナ対策専門委員会のヨム・ホギ委員長は27日のウィズコロナ懇談会で「国内の一日の感染者が2万人まで増える可能性もある」という見方を示した。大韓医師協会は29日、「第5波のシナリオと対策を出して、大規模な患者発生による重症患者診療体系と在宅治療に対する準備を徹底する必要がある」という声明書を出した

 

韓国の医師会は、「ウィズコロナ」に伴う第5波感染対策をすべきという警告の声明を出している。疫学的には、感染者が急増するという認識である。疫学専門家の意見を無視した「ウィズコロナ」である。政治の独走は間違いなく、その裏には、日本が「ウィズコロナ」で上手く進んでいることへの対抗であろう。



(6)「ソウル大のキム教授は、「短期的には医院を含むすべての病院がコロナ患者に対応できるようにすべきだが、その部分の議論は進展せず、従来のように重症患者病床を動員するような接近では限界がある」とし「このためウィズコロナに入ればすぐに基準に到達して一時停止し、再調整の過程に入ることも考えられる。そうなれば国民をどう説得するのか心配だ」と警告した」

 

このパラグラフでは、専門家の危惧が表明されている。11月に入ってから、さらなる感染者急増の場合、国民に対してどう説明するのかと、すでに警告されている始末だ。それほど、先行きが懸念されるにちがいない。