世界的な半導体不足が続いている。これまで、パンデミック下で半導体需要構造が変化している結果とみられてきた。それも理由の一つであろうが、中国が大量に買い占めていたという調査結果が出てきた。
米国は、中国への半導体の技術と製品輸出に踏み切っている。これを受けて、ファーウェイなどが、買い占めに動いているというもの。米国は、外資企業の中国での半導体増産にも目を光らせている。韓国の半導体大手SKハイニックスが、半導体をより効率的に製造するために中国の設備を改修する計画の先行きが不透明になっている。米政府が、高度な製造機器が中国国内で使われることを望んでいないためという。
米国が、対中半導体政策をきびしくしているが、一方では、中国企業の買い占めを誘発するという新たな事態を生んでいる。さすがは中国だ。抜け穴探しの名人である。
『大紀元』(11月28日付)は、「世界的半導体チップ不足、中国企業の買いだめが主因―独シンクタンク」と題する記事を掲載した。
2020年末から世界的に半導体チップの供給不足が深刻化している。
最近の調査によると、新型コロナ感染症の大流行のほか、米中ハイテク戦争に備えた中国企業が半導体チップを備蓄したことも需給バランスに影響したという。
(1)「独シンクタンクの新責任財団が11月下旬に発表した報告書によると、米国が2019年に中国大手通信機器メーカー・ファーウェイへの輸出禁止措置を発動し、一部の中国企業は先行き不安に駆られてチップの過剰注文を始めた。中国は、半導体チップ製造の分野で輸入に大きく依存している。
世界最大の半導体消費市場である一方、自給率が低く、半導体は原油を上回って中国最大の輸入品目となっている。同報告書によると、ファーウェイのほか、深圳方正微電子(FMIC)、双威集団などの中国企業が、米国の輸出禁止措置の拡大を念頭に半導体チップの確保に走っており、需要を押し上げている」
中国の半導体自給率は、中国企業と外資企業の半導体生産で計算される。昨年は、中国企業生産分が10%、これに外資企業生産分の10%が加わり、合計の自給率は20%になる。残り80%は輸入依存である。中国が「半導体後進国」であるのは、紛う方なき事実である。それだけに、米国からの半導体制裁によって大きな影響を受けている。
(2)「ファーウェイのホームページに公開された動画では、同社の徐志軍・輪番会長は、一部の中国企業が「従来の在庫ゼロから3カ月、6カ月、ひいてはもっと長いサイクルの在庫を用意している」と発言した。米商務省は2019年5月、ファーウェイと関連企業70社を事実上の禁輸リストにあたる「エンティティ・リスト」に追加した。ファーウェイは米政府の承認なしに米企業から半導体チップを含む部品を仕入できなくなった。翌年5月に禁止令が拡大され、ファーウェイと米国以外のサプライヤーとの取引も禁じた」
下線の部分は、中国企業が半導体を買い占めて在庫補充していることを証明している。とんだ所に抜け穴があったわけだ。こうなると、半導体企業は、ユーザーと直接取引しない限り、中国への「横流し」防止が不可能になろう。そういう取引仕組みができるかどうか。対中禁輸制度の「チンコム」(1952~57年)の復活しかない。
(3)「ファーウェイは昨年に備蓄した半導体チップの規模を公表していないが、徐志軍・輪番会長は、今年4月に開催された同社のグローバル・アナリスト会議で、米国の厳しい規制にもかかわらず、ファーウェイがチップニーズに対応できたのは在庫があったからだと発言した。中国税関のデータからも中国企業の半導体チップ買いだめが進んでいることがわかる。中国は2018年に4175億枚の半導体チップを輸入した、2019年には275億枚増の4451億枚となり、昨年はさらに約20%増となり年間で過去最高の5435億枚となり、2021年1〜10月の輸入量は前年同期比でさらに20%増えた」
ファーウェイは、半導体在庫が減れば売上が落ちるとみられていた。それが、逆に輸入を増やしている。こうして、中国全体の半導体輸入量は激増した。今年1~10月で前年比20%増と増加ペースに衰えはない。
(4)「最新のデータによると、世界の半導体売上高および出荷量はここ数カ月間、増加傾向にある。このことから、チップ不足は出荷量の減少によるものではないと報告書は指摘した。米半導体工業会(SIA)の今月初めの発表によると、2021年第3四半期の世界の半導体売上高は1448億ドルで、前年同期比27.6%増、今年の第2四半期に比べて7.4%増だった。2021年第3四半期の半導体出荷量は史上最高だった。半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)のマーク・リュー会長は、米タイム誌に対して、販売された半導体は製品に使用されておらず「明らかに買いだめしている人がいる」と述べた」
TSMCの経営トップが認めているように、納品した半導体が製品に組み込まれていないという。これは、明らかに仮需を生んでいる。だが、中国の在庫手当も無限に続くものでない。一定の在庫ラインに到達したら、発注を止めるはず。そのとき、半導体市況は、ドーンと崩れかねない。危ない橋を渡っているところだ。


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虚偽の行為を働いてまで見返りを求める中国人や韓国人に、達磨大師の「無功徳」という言葉は理解できないでしょうね。
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