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文政権はまた、大きな傷跡を残した。11月1日から始めた「ウィズコロナ」が大きな犠牲を伴ったことと、新たな変種株「オミクロン」の発生で、ついに緩和継続の中止を決めた。緩和直前の感染者数は、一日約2000人もいたが、日本への対抗もあって早めの「ウィズコロナ」となった。これが、結果的に大きな失敗となったのだ。

 

『ロイター』(11月29日付)は、「韓国、コロナ規制緩和計画停止 医療逼迫と新変異株で」と題する記事を掲載した

 

(1)「韓国政府は11月29日、新型コロナウイルス感染者の入院増加による医療体制逼迫や、新たな変異株「オミクロン」の出現を受け、行動規制緩和計画を停止したと発表した。文在寅大統領は対策会議で、危機は深刻化したとし、オミクロン株の流入阻止に向けた協調した対応を呼び掛けた」

 

韓国政府は、オミクロン株の流入阻止という「絶好」の理由ができたので「ウィズコロナ」の中止に踏み切る。一日も早く中止すべきところ、ぐずぐずして決められずにいた。

 

(2)「韓国は11月、新型コロナウイルスとの共存に向け段階的な規則緩和に着手。来年2月半ばまでに人の集まりに関する規制を全て撤廃する予定だったが、それを棚上げにした。権保健福祉相によると、ソウル首都圏では少なくとも1200人が入院待ちだとし、市民に検査とワクチン追加接種を呼び掛けた」

 

来年2月半ばまでに廃止予定の規制は、今回の一件を受けて見通したつかなくなった。ソウル首都圏だけで、1200人もの入院待ち感染者がいるのだ。今回の決定が遅すぎたのは、医療現場の逼迫下について全く無頓着すぎたことである。新規感染者数は先週、過去最高の4116人を記録。28日は日曜日で3309人だったが、11月初め、レストランやカフェの営業規制が緩和される前は2000人前後であった。

 

『wowKorea』(11月29日付)は、「ウィズコロナ施行後『ソウルの死者は約4倍増加』感染者は『約2倍増加』と題する記事を掲載した。

 

韓国では、今月1日からの「段階的日常回復(ウィズコロナ)」施行以降、ソウル地域の新型コロナウイルス感染症による死者が約4倍も急増していることがわかった。また感染者も約2倍増加している。

 

(3)「きょう(29日)ソウル市によると、10月24~30日に計32人(一日平均4.6人)であった週間新型コロナ死者数は、その後32人から48人、さらには76人と増加し、先週(22~27日)には120人(一日平均17.1人)に急増した。ウィズコロナ施行の直前と比較すると、3.7倍増加したことになる」

 

大変な数の犠牲者を出してしまった。いずれも高齢者である。早くワクチン接種したことで、有効性が落ちたところへ、「ウィズコロナ」が重なって感染したと見られている。毎週、死者が「倍々」で増えたことに文政権は心の痛みを覚えなかったのだろうか。それよりも、来年の大統領選挙を考えて、「ウィズコロナ」の早期中止を決断しなかったのであろう。冷たい政権である。

 


(4)「一方、ソウル市の一日平均の感染者数は、11月第1週(10月31日~11月6日)の848.3人から896.6人→1237.4人→1605.7人と3週連続で過去最多記録を更新してきた。 また、先週の重症患者数は一日平均222.4人で、2週間前(199.2人)より23.2人増加した」

 

感染者数が増えれば当然、重症患者は増えるはずだ。すでに、重症者用ベッドの医療的限界とされる75%を大幅に上まわっている。素人は75%稼働ならば後、25%の余裕があると考えがち。だが、これは誤りであるという。病床が空いたからと言ってすぐに、次の患者を入れる訳にいかない。消毒や次の受入れ準備に時間がかかるという。こういう医療側の事情を無視して、文政権は強引に「ウィズコロナ」を続けて、打切りを決断しなかった。大きな、誤りを犯したと言うべきだろう。