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中国は、今や「オレ様意識」である。向かうとこと敵なしと錯覚している。中国が、インドネシア政府に対し、南シナ海南端の海域での石油・天然ガス掘削中止を要求する異例の書簡を送っていたことが、分かった。『ロイター』(12月1日付)が以下のように報じた。

 

インドネシアのムハンマド・ファルハン議員によると、書簡は中国の外交官がインドネシア外務省に送付。インドネシアが掘削を行っている海域は中国の領海であり、掘削を中止すべきだと主張しているという。同議員は「掘削は中止しないと断固たる返答をした。わが国の主権だ」と述べた。関係筋によると、中国側は繰り返し掘削の中止を要求している。

 

問題となっているのは、南シナ海南端の海域。インドネシアは「海洋法に関する国際連合条約」の下でインドネシアの排他的経済水域(EEZ)に該当するとして、2017年に「北ナトゥナ海」と命名した。中国はこの命名に反発。同海域は中国が領有権を主張する「九段線」の水域内にあると訴えている。オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は2016年、「九段線」に法的な根拠がないと認定した。

 


中国は、このように法的に領有権のないインドネシアのEEZまで干渉する異常な行動を取っている。国際法を無視して「やりたい放題」の振る舞いである。天誅が加えられても当然という仕儀だが、その適役が現れた。

 

『ロイター』(11月30日付)は、「中国、自信過剰で誤算の恐れー英MI6長官」と題する記事を掲載した。

 

英国の対外情報機関、秘密情報部(MI6)のムーア長官は11月30日、長官として初の演説を行い、中国政府は自信過剰のあまり、国際情勢を見誤る恐れがあると指摘した。

 

(1)「中国政府は、西側諸国のもろさに関する自らのプロパガンダを信じ、米国政府の決意を過小評価している」とし、「中国が自信過剰のあまり誤算をするリスクがあるのは、紛れもない事実だ」と述べた。ムーア氏は「中国の台頭によって影響を受けた世界に適応することが、MI6にとって最大の優先事項だ」と断言。中国が攻撃性を強めている分野の筆頭に台湾問題を挙げ、「必要とあれば武力による解決」を欲しているのは、「世界の安定と平和に対する深刻な挑戦だ」とした。中国は、香港市民から権利を奪い、新疆ウイグル自治区で人権を侵害し、「世界中で公的な言説と政治的意思決定をゆがめようと」しているとも指摘した」

 


中国が、自信過剰のあまり誤算をするリスクのあることは、多くの西側諸国から指摘されている。「米国衰退:中国繁栄」という間違いである。中国経済は、不動産バブルの鎮火で形勢逆転の様相を呈している。不動産開発需要は、GDPの約25%を占めており、これに代わる産業は存在しないのだ。地方政府は、土地売却収入を財源に繰り入れてきただけに、不動産バブルの鎮火は大きな痛手になっている。中国経済は、これから急坂を下る局面である。

 

中国が、自信過剰から目覚めないと「第二のソ連」になるリスクを抱えている。習氏は、こういう事態を認識せずに「押せ押せムード」で領土拡大志向を続ければ、痛い目に会うのは時間の問題であろう。

 

米国は、科学技術でも「覇権国」である。それに同盟国を糾合して中国包囲網を築ける包容性を持っている。あらゆる面で、中国がとうてい及ばない相手が米国である。太平洋戦争開戦前の日本も、米国の国力の大きさを認識していた。中国は、そういう客観的な認識もなしに米国を挑発することは余りにも危険である。

 

『ブルームバーグ』(12月1日付)は、「米英豪の安全保障枠組み中国への「決定的取り組み」ーキャンベル氏」と題する記事を掲載した。

 

米国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官を務めるカート・キャンベル氏は1日、米英豪3カ国の安全保障協力の枠組みである「AUKUS(オーカス)」について、中国の行動に対する「決定的な取り組み」に相当すると説明した。

 

(2)「キャンベル氏はシドニーを本拠とする国際政策シンクタンク、ローウィー研究所主催のイベントで講演し、中国による近隣諸国・地域への挑発的行動や、同国がオーストラリアに仕掛けている「経済戦争」の結果、ほんの7~8年前であれば疎遠になるだろうと予想された同盟関係が緊密になったと指摘した」

 

中国の無謀な行動が、海外で次々と中国への反旗を翻す要因になっている。実に下手な外交であり敵をつくって歩いているのだ。中国国内では通用する「威嚇」「脅迫」が、海外では反感を持たれて逆襲要因になっている。豪州への経済的制裁が、「AUKUS」という軍事同盟を生み出した理由である。

 


(3)「AUKUSについては、「中国の特定の行動や政策を巡り観察されるものへの明確な懸念であると同時に、われわれが自分たちの将来に関して役割を担い、立ち上がる決意」の表れだとし、「私はこの成果を非常に誇りに思い、関係する全ての国々にとって決定的な取り組みだと考える」と語った。豪州による原子力潜水艦配備も支援するAUKUSは、中国がインド太平洋で軍事プレゼンスを拡大する現状にあって、サイバーや人工知能(AI)を含む分野で、地域の主要同盟国間の防衛措置協力の強化に当たる。キャンベル氏はまた、米国が「中国との競争の初期段階」にあり、米国と同盟国が「戦略的環境」にどうアプローチするかにおいて、安定的かつ断固たる姿勢であることが重要だと述べた

 

下線部は、米国の中国に対する断固たる決意を示している。中国は、覇権国米国の決意を甘く見てはいけない。自重すべきである。米国には、多数の同盟国が控えている。中国の「単騎出陣」と事情が異なるのだ。