a0960_008426_m
   


中国恒大は、資金難にあえぎ営業も停止状態に追い込まれている。地に墜ちた信用を回復することは不可能になった。政府が、このまま放置すれば金融危機へ発展して、中国経済自体を混乱の坩堝へ追い込むのは必至の状況だ。政府による救済策が動きだしたようである。

 

中国政府が、最終的に介入せざるを得まいという見方は、すでに問題発覚直後の9月、次のように報じられていた。

 

恒大と金融規制当局との協議に詳しいある関係者は、「金融引き締め政策のせいで多くの不動産企業がストレスにさらされている」と明かした。「政府が介入して恒大を救済すれば、他の大手不動産企業はそろって同様の要請をしてくるだろう。政府はすべてを救うことはできない」。

 


習氏と経済担当者らが市場や経済の大崩壊を避けるため、政府として恒大に介入せざるを得ないと判断した場合、重要な政治的課題がひとつある。創業者の許氏を必ずしも救わずに、いかに同社を救済するかだ。「恒大は生き残るだろうが、経営陣を追い出すことになる」と政府経済顧問は言う。「海航集団がそうだった。それで会社も株価も債券価格も安定した。当局はこのやり方にかなりの自信を持っている」(英紙『フィナンシャル・タイムズ』9月23付)。

 

『日本経済新聞』(12月5日付)は、恒大、中国政府が全面関与 軟着陸探る」と題する記事を掲載した。

 

巨額の債務を抱えて経営難に陥っている中国恒大集団が広東省政府や中国人民銀行(中央銀行)など政府の全面的な監督・指導のもとで、外貨建て債務の再編を目指すことになった。中国政府は金融システム不安への波及や市場の動揺、取引先の連鎖破綻などを回避すべく、軟着陸(ソフトランディング)を探る。ただ債権者平等の原則を重視する海外債権者との交渉は難航が予想される。

 

(1)「3日夜、広東省政府は恒大に経営指導のための監督チームを派遣すると発表した。「社会の安定を維持し、利害関係者の利益を保護するため、ワーキンググループを派遣する」。海南省の複合企業、海航集団(HNAグループ)が2020年に経営難に陥った際も、地元の海南省政府が同様のチームを設置し、政府系投資会社などが幹部を派遣。同省政府が中心となって経営再建策をまとめた。海航集団は中国の破綻法制である企業破産法の下での経営再建を目指している。一部の少額債権者を除いて債権者間の平等を重視するのが法的整理の特徴だ」

 

前記の『フィナンシャル・タイムズ』でも指摘されているように、中国恒大は海航集団をモデルにして再建策が練られている。ただし、海航集団は中国の破綻法制である企業破産法の下での経営再建を目指していることだ。中国恒大も企業破産法を適用するのであろう。日本でいえば、会社更生法である。最悪の会社整理を免れるということだ。

 


(2)「
今回は人民銀、銀行保険監督管理委員会、証券監督管理委員会、住宅都市農村建設省が広東省政府への支持と協力などを表明。海航集団と比べて中国政府が全面関与する姿勢を鮮明に打ち出した格好だ。政府関与のきっかけは、恒大が米ドル建ての私募債を保有するとみられる投資家から債務(保証)履行を迫られたこと。金額は2億6000万ドル(約300億円)。債権者からの要請に対応できないと実質的な債務不履行(デフォルト)とみなされる可能性がある

 

政府が全面的な関与に追い込まれたのは、米ドル建私募債2億6000万ドルの履行を迫られていることだ。履行できなければ、破産(清算)という最悪事態になる。これを回避しなければ、事態はさらに悪化する。

 

(3)「今後の焦点のひとつが6日(日本時間7日)に迫る米ドル債の利払い(8249万ドル)の猶予期間切れだ。この米ドル債の投資家は、私募債と異なるとみられる。恒大が6日までに8249万ドル分を利払いすると、債務履行を求めている私募債の投資家が不公平だとして反発する可能性が高い。恒大も「公平性と法の原則のもと、外貨建て債務の再編案を策定する」としており、経済紙『第一財経(ネット版)』は、「今後は元利払いを停止する可能性が高い」との見通しを示した

 

6日(日本時間7日)に迫る米ドル債の利払い(8249万ドル)の猶予期間切れ問題がある。これを支払って、前記の私募債の投資家へ支払わなければ反発する。結局、下線のように今後は元利払いを停止して、企業破産法の下での経営再建に移るのであろう。

 

(4)「もう一つの焦点は恒大が策定を目指す外貨建て債務の再編案への海外債権者の対応だ。中国政府は「住宅の引き渡し、住宅購入者の合法的な利益」(住宅都市農村建設省)を最優先で保護する方針を強調している。恒大の提案は、返済期限の延長や返済金額の削減などが予想され、外貨建て債務の再編案は海外債権者のみが不利益を被ることになりかねない。海外債権者が同意するかどうかは不透明だ。恒大の6月末時点の債務合計額は約2兆元(約35兆円)で、中国最大の破綻案件とされる海航グループの債務合計額1.1兆元と比べても巨額。恒大は取引先への支払いなど買掛債務が多く、債務総額の約半分を占める。海外債権者との債務再編協議がまとまらず法的整理に移行した場合、恒大の取引先が大きな影響を受けることは避けられない」

 

最終的には、国内債権者と海外債権者を別々の扱うことになれば、「公平性」で大きな問題になる。そこで、政府が行司役になって内外債権者の公平性を図ることになろう。従来の政府の立場は、国内債権者優先であった。これが修正されるのだ。