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台湾防衛で旗幟鮮明の日本

米EUが対中国で共同歩調

台湾開戦の時期巡り複数説

中国は食糧など備蓄が前兆

 

安倍元首相は12月1日、台湾のシンクタンクの会合においてオンラインで講演した。この中で、安倍氏は「中国に自制ある行動を促すにはどうすべきか」「台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事だ」などと述べ、中国を牽制した。

 

中国外交部は、これに強く反応し駐中国日本大使を深夜にも関わらず呼び出し抗議した。これに対して、日本大使は、「こういう意見が日本にあることを知って欲しい」と逆襲。日本の毅然たる外交姿勢を見せた。日本も従来にない強硬姿勢である。中国もこれによって、日本の決意を覚ったであろう。

 


講演で安倍氏は、「中国にどう自制を求めるべきか。台湾有事は日本有事すなわち、日米同盟の有事でもある。この点の認識を、北京の人々は、とりわけ習近平主席は断じて見誤るべきではない」と語った。さらに「日本と台湾、そして民主主義を奉じる全ての人々は、繰り返し『誤った道に踏み込むな』と、訴えつづける必要がある」と強調、中国を強く牽制したもの。中国にとっては、痛いところを突かれた思いであろう。

 

日本は5年前、他国に対する武力侵攻であっても、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」と判断されれば、自衛隊が武力を行使できるよう安全保障関連法を改正した。麻生副総理(当時)は今年7月、「台湾で大きな問題が起きれば、存立危機事態に関係すると言ってもおかしくない。日米で台湾を防衛しなければならない」と発言した。安倍元首相が、「台湾有事は日米有事」と発言した背景には、こういう法的な裏付けがある。

 


台湾防衛で旗幟鮮明の日本

中国が、これまで台湾侵攻にとって気懸りであった点は、日本の対応である。自衛隊が、米軍と一体作戦を始めれば、海上自衛隊の潜水艦部隊が中国海軍封じ込め作戦に加わるからだ。日本の潜水艦部隊は、米潜水艦以上の「静謐性」を保持するといわれる。それだけに、海の忍者として活躍することは確実だ。近代戦争では、大艦巨砲よりも潜水艦の優劣が戦闘に大きな影響力を持つと指摘されている。中国は、日本の自衛力を侮れないのだ。

 

日本の防衛費は、対GDP比1%の枠を守ってきた。軍事大国でないが、日本の高度工業技術を生かした最先端武器を備えている。潜水艦部隊が、その象徴である。また、射程1000キロのミサイルを開発している。北京まで届くという。日本が、中国の威嚇に屈しないという姿勢を見せているのだ。

 

台湾海峡は、日本にとって命綱である。日本は、中東の石油や天然ガスに大きく依存している。この石油と天然ガス輸入経路が、まさに台湾南部のルソン海峡だ。また、この経路を通じて日本の自動車・電子製品などが海外に輸出される。日本企業は、東南アジア諸国で部品のサプライチェーンを設けている。こうした部品もルソン海峡を通っている現実を忘れてはならない。

 


この要害の地である台湾が、中国に占領されて運輸交通を妨害される事態になれば、日本の損失は大きくなる。さらに、尖閣諸島防衛も危険に曝される、ダブル損失に見舞われるのである。中国は、違法にも南シナ海へ軍事進出している。こういう中国が台湾侵攻後、日本に何を要求してくるか。十分に想像できるであろう。

 

米EUが対中国で共同歩調

ブリンケン米国務長官は12月3日、中国が台湾を侵攻するシナリオについて「それは潜在的に悲惨な決断だ」と語った。中国が武力による中台統一を目指さないよう警告する発言だ。ブリンケン氏は11月10日にも、台湾に対し中国が武力行使すれば、同盟諸国が「行動を取る」用意があると述べている。

 

シャーマン米国務副長官は12月3日、欧州連合(EU)のサンニーノ対外行動庁事務総長と会談後、中国に対する米国と欧州の対応は「ますます一点に集約している」と述べた。米国とEUは前日、南シナ海・東シナ海や台湾海峡における中国の「一方的で問題ある行動」に強い懸念を表明した。このように、米EUが、対中国戦略をめぐって意見の摺り合わせを行なっていることは、「台湾有事」が現実問題になりつつあることを浮き彫りしてきた。

 

中国が、北朝鮮と同じく瀬戸際政策をとって、中国国内の引締め策に利用していることは十分に予測できる。安易な開戦が、中国に重大な経済危機をもたらすからだ。安倍元首相が、中国の台湾侵攻は「経済的自殺行為」とまで言い切っている理由でもある。

 

中国が、グローバル経済に組み込まれている以上、相互依存関係が深まっている結果だ。この状態で台湾へ侵攻すれば、中国が先進国から経済封鎖されて、輸出も輸入も杜絶する。そうなれば、中国国内の不満分子が一斉に起ちあがるリスクも生まれるのだ。

 

習氏にとって、台湾侵攻が極めて大きな博打になることは間違いない。そこまでの危険性を冒して台湾侵攻へ「ゴー・サイン」を出すだろうか。一か八かの戦争を始めて負けたのが東条英機である。習近平が、第二の東条になるのか。日米は、油断して隙を突かれる愚を冒してはならないが、もし中国が台湾侵攻に踏み切れば、「正気の沙汰」とは思えないのだ。(つづく)

 

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