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日本では、コロナ患者が激減して一息入れている。だが、南アで発見された新変異株「オミクロン」の感染力が強いことから、水際作戦と称して空港では厳重警戒である。

 

『ロイター』(12月3日付)は、「WHO、オミクロン株パニックの必要なし『ワクチンは改良より公平な配布を』」と題する記事を掲載した。

 

世界保健機関(WHO)幹部は12月3日、新型コロナウイルス新変異株「オミクロン」の出現を受けパニックにならぬよう呼び掛け、ワクチン改良が必要かどうかの判断は時期尚早という認識を示した。

 



(1)「オミクロン株の感染はこれまでにアジアやアフリカ、米州、中東、欧州で確認され、南アフリカでは9州のうち7州で検出されている。WHOの主任科学者ソミヤ・スワミナサン氏は、ロイターネクストのインタビューで、南アのデータを踏まえると、オミクロン株の「感染性は極めて高い」としつつも、「現在の状況は1年前と異なる。準備と注意が必要だが、パニックに陥る必要はない」と強調した」

 

オミクロン株は感染力が強いもののパニックに陥る必要はないという。つまり、重症化するリスクが少ないということだ。

 

(2)「現時点でデルタ株が世界の感染の99%を占めているとした上で、オミクロン株が「感染の主流になるかを予測することは不可能」と述べた。また、WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は、既存ワクチンをオミクロン株に対応できるよう改良することを裏付けるデータはないと指摘。「現時点でワクチンは効果を発揮している。より公平なワクチン配布に焦点を充てる必要がある」と述べた」

 

世界のコロナは99%がデルタ株である。現状では、オミクロン株に対して既存ワクチンで効果を発揮しているという。新たなワクチン開発の必要性を示唆するデータはない。

 


(3)「独ビオンテックのサヒン最高経営責任者(CEO)はロイターネクストの会合で、ウイルスの変異にかかわらず、既存ワクチンが引き続き重症化リスクの予防に有効と強調。その上で「いずれかの時点で、オミクロン株に対する新たなワクチンが必要となると確信している」とし、ビオンテックが比較的速いペースでオミクロン株に対応するワクチンを準備することが可能という見通しを示した」

 

ワクチンをファイザーと共同開発しているビオンテックCEOは、既存ワクチンが引き続き重症化リスクの予防に有効としている。その上で、オミクロン株対応のワクチンを準備することは可能という。

 

このように、米英製ワクチンでオミロン株対応が有効という結果が出ている。これで、一安心だが、感染力が強くても重症化しないとはどういうメカニズムなのか。

 

『ハンギョレ新聞』(12月5日付)は、「」オミクロン、感染力の“謎”解けるか…『風邪と混種』の可能性提起」と題する記事を掲載した。

 

オミクロン変異株が風邪のウイルスと一部の遺伝子を共有していて、その他の新型コロナ変異株より伝播力が強いという研究結果が出た。そのため、人体には致命的でないかもしれないとの見解があるが、専門家たちは「正確な結果が出るまで注意を怠ってはならない」と明らかにした。

 

(4)「米国の生体医学情報分析業者「Nference」の研究陣が最近、オミクロン変異株の遺伝子を分析した結果、風邪を惹き起こすウイルスの遺伝子コードの一部が入っていることを発見したとワシントンタイムズが4日報道した。この変異株が、新型コロナを起こす「ウイルスSARS-CoV-2」と風邪を誘発する「ウイルスHCoV-229E」に同時に感染した人から初めて発生した可能性があると見ている。既存の新型コロナや別の変異株からはHCoV-229Eのような遺伝子コードは発見されなかった」

 

オミクロン株には、風邪を引き起す遺伝子コードの一部が入っているという。別の変異株からは発見されなかった。

 


(5)「この研究結果は、公式の発表手続きを踏んでいるところであり、まだ同僚の審査を受けていない状態なので、さらなる綿密な検証が必要な状況だ。とはいえ、オミクロンが強力な伝播力を備えた理由について興味深い示唆を提供しているという点で注目されている。残る関心事は、このウイルスが人体にどんな影響を及ぼすのかだ。ウイルスはさらに伝播力が強い側に進化すれば、深刻な症状を起こす特性を失う傾向がある。だが、オミクロン変異株でもこうしたことが起きているかはさらに今後を見なければならないというのが専門家たちの大勢の見解だ」

 

オミクロンが強力な伝播力を備えた理由について、風邪の遺伝子の一部を持っていることである程度説明が付きそうであるが、詳細はさらなる研究を必要という。