中国は、習近平氏の「永久政権論」に合せて、台湾侵攻を必要条件とする見方が多い。習氏の永久政権が認められるには、台湾を侵攻して中国へとり戻す能力がなければ、「終身皇帝」になれないだろうという推測である。
この議論は一般論として成り立つとしても、いざ開戦となれば中国が反撃されると同時に、経済封鎖されて食糧やエネルギー輸入を杜絶されるリスクと隣り合わせになる重大なブーメランを忘れた議論である。
もう一つ、中国人民解放軍内部にくすぶる「反習近平派」が動き出す危険性である。出動命令が出れば、空軍は自由自在となる。台湾を空爆せず、北京を空爆するという「危険な想定」も出ているほど。
以上のような二つの「アクシデント」を考えれば、台湾侵攻は言われるほど簡単に起こる事態ではないが、開戦への備えをしておくことは絶対に必要である。備えがなければ、容易に突き崩されるからだ。
韓国紙『東亞日報』(12月29日付)は、「日米、台湾で戦争が起きれば在日米軍投入へ」と題する記事を掲載した。
(1)「日本の自衛隊と米軍が、台湾で戦争など緊急事態が発生する場合、在日米軍を投じる内容を含めた日米共同作戦計画を作成しているという。12月28日(現地時間)、ロイター通信などによると、日米両国は、このような内容を1月7日に開かれる日米安全保障協議委員会(2プラス2)で議論する予定だ。韓米が、国防相会談の共同声明に初めて台湾海峡問題を明示した中、日米の作戦計画の変化が在韓米軍にも影響を及ぼすか注目される。ロイター通信は、「米政府関係者らは、台湾の有事の際、近い日本に駐留する数万人規模の米軍が重要な役割を果たす可能性が大きいと、これまで言及してきた」と伝えた」
中国が台湾侵攻の際、台湾本島を狙うのか。あるいは、中国沿岸に近い金門・馬祖という小島を狙うのか。見方は分かれている。だが、台湾が実効支配している金門・馬祖を攻撃することは台湾本島への攻撃と性格か変わらない。
これまでの想定では、まず台湾軍が応戦し、かなりの時間を置いて米軍が支援するというシナリオが描かれていた。これでは、中国軍の思う壺であり、台湾軍が劣勢に立たされることは間違いない。そこで、中国軍の不穏な動きを察知すれば同時に、日米軍の出動態勢になるのであろう。
この際、日米潜水艦部隊が縦横無尽の動きをする。これに、豪州の最新鋭原潜が加わるとなれば、中国は迂闊に手が出ないであろう。大火傷を負うのは必至である。その際、習近平氏は敗北責任を負って辞任せざる得まい。こういう危険を冒してまで、習氏は台湾侵攻を決意するだろうか。常人であればまず、台湾侵攻を諦めるはずだ。
(2)「これに先立ち、共同通信は12月23日、複数の日本政府内の匿名の関係者を引用して、日米共同作戦計画の原案に、在日米軍の海兵隊が、九州南部の南西諸島に臨時攻撃拠点を設置する内容が含まれたと報じた。有事の際には、自衛隊が弾薬や燃料など物資輸送と後方支援任務を遂行する。特に、自衛隊は2014年7月、憲法解釈で、「集団的自衛権」(同盟・友好国が攻撃を受ける場合、反撃する権利)を行使でき、中国と台湾間の武力衝突の発生時、米軍と共に自衛隊が介入する余地を開いたとみられている」
自衛隊は、南西諸島に武器弾薬を貯蔵する計画を発表している。ミサイル基地も設けている。自慢してはならないが、自衛隊は旧日本軍の歴史があるから、米軍と一体化した戦略を展開するのであろう。
(3)「米国防総省は最近、海外駐留米軍の配置見直し作業を終え、中国の潜在的・軍事的攻撃を抑止するために、インド太平洋域内の同盟協力を強化すると明らかにした。韓米両国は12月2日、定例安保協議会議(SCM)の共同声明に台湾海峡問題を明示しただけでなく、韓米連合作戦計画を最新化することを決めた。政府内外では、新たな韓米作戦計画に中国に対する牽制、対応が含まれる可能性があるという観測が流れている」
韓国軍も米韓同盟として、台湾海峡問題をとり上げている。ただ、韓国進歩派が政権を握っている限り、台湾海峡への出動命令に賛成するとは思えない。邪魔をするであろう。
中国軍の台湾侵攻は、絶対に阻止しなければならないが、台湾自体も「独立論」を掲げてはならない。これは、自ら「侵攻してください」と言うに等しいことだ。戦争を起させてはならないが、口先だけの「平和論」では防げない。防衛をしっかり固めなければならない。安保体制の構築が、戦争を防ぐ近道である。戦争を防がなければならないのだ。
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