低能ワクチンが首締める
コロナ・バブルが命取り
「新発展段階」論で煙幕
暴走経済に最後の断下る
中国武漢が、新型コロナウイルスの発症地であることは動かせない事実である。中国は、この事実を覆そうとして、WHO(世界保健機関)調査団へも非協力姿勢を貫いている。習近平氏の独裁政権にとって、中国が発祥地であることは認めがたいことなのだろう。
この見栄が、中国を窮地に追い込んでいる。中国が、ワクチンを開発したとして国威の発揚を狙ったものの「効かないワクチン」の異名を取る始末である。習氏は、中国製ワクチンが世界最高と喧伝したので、国内で中国製ワクチンに代わって欧米製ワクチンを接種できないジレンマに陥っている。
低能ワクチンが首締める
習氏は窮余の一策として、昨年のG20で提案をした。中国製ワクチンと欧米製ワクチンの相互承認を呼びかけたのだ。これが実現すれば、中国で欧米製ワクチンを接種できる名目がたつ。だが、英米はこの提案を黙殺した。英米が、中国製ワクチンを承認しないからだ。
中国製ワクチンは、品質がバラバラである。最終治験結果を公表することもなかった。断片的に伝わる治験効果は50%台とされている。英米ワクチンの95%から見れば雲泥の差である。英米が、中国製ワクチンを歯牙にも掛けないのは当然なのだ。
中国は、「効かないワクチン」を抱えて無防備状態である。そこで、コロナ対策として編み出されたのが「ゼロコロナ」である。つまり、少数者でも感染者が出たならば、その地域一帯を封鎖する「ロックダウン」方式に打って出た。武漢市で効果を上げたとして以後、このロックダウンが中国の専売特許になっている。
「ロックダウン」された住民には、死活問題である。一切の外出が禁じられるので、経済活動が厳禁となるのだ。これに伴う損失は、個人レベルの負担とされている。同時にこれが、個人消費の落込みとなって現れる。中国は、不動産バブル崩壊で経済に大きな負担が掛かかるのだ。そのうえに、この消費減退という二重の負担によって、中国経済は曲がり角に立たされている。こうして、今年のGDP成長率は4%台前半への落込みが、予想されるに至った。中国経済の敗北である。もっとはっきり言えば、習近平氏の独断が負けたのだ。
中国の天津市は1月12日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大抑制策として、1400万人の市民を対象に新たな大規模検査を開始した。2月4日から北京冬季五輪が開催される。天津から北京まで、高速鉄道で30分の距離である。天津のコロナが、北京へ飛び火するのは時間の問題であろう。天津でも、防疫に失敗すれば責任者の懲戒処分が待っている。コロナ防疫には、責任者の「首が懸かっている」のだ。
当局のデータによると、天津市(人口1400万人)は11日に確認された有症状の新型コロナ国内感染者が33人だった。前日の10人から増加した。同市は12日、2回目の大規模検査に応じるため、企業やその他機関の従業員に半日休暇を命じ、自宅待機を要請した。住民の市内での移動が制限されているほか、町外へ出ることも困難になっている。事実上の、ロックダウン開始の「予鈴」である。すでに、西安市(人口1300万人)がロックダウンになっている。
仮に、天津市も同様の措置を取られれば、コロナのオミクロン株の感染力が並外れて大きいことから判断して今後、中国全土がロックダウンされる懸念が強まる。中国経済が全面的に麻痺する危険性を持ち始めた。
中国東部の港湾都市である天津。中部の西安、南部のテクノロジー拠点・深圳といった複数の都市は昨年12月下旬以降、厳しいコロナ対策が導入されている。コンテナ取扱量で世界第三位の寧波・舟山港では、周辺地域で二十数件の新規感染が確認された結果、トラック輸送や倉庫作業に制限が課されており、目詰まりがさらに悪化する恐れがあると指摘されている。
コロナとバブルが命取り
中国当局は昨年、武漢市でコロナ封じ込めに成功したと見ている。この「成功物語」に酔って、一段と厳格なロックダウンへ踏み出す公算が大きい。今回は、昨年以上の供給困難に陥るかもしれないと指摘が出ている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月12日付)は、次のような厳しい見方を報じている。
「複数のエコノミストは、中国が封じ込め対策を一段と強化するとの見方を示しており、中には2020年4月以来となる全国的なロックダウンの実施を予想する声すらある。ゴールドマン・サックスは11日、足元のコロナ感染動向を踏まえ、中国の2022年経済成長率見通しを従来の4.8%から4.3%に下方修正した」
同様の厳しい予測が投資銀行「ノムラ」からも出ている。野村證券は2008年、倒産したリーマンの大部分を引継ぎ、今や世界の「ノムラ」として著名な存在だ。厳しい経済予測で評価を高めており、昨年12月に今年の中国経済が4.3%成長と予測した。ノムラはまた、米国の成長率見通しで、中国よりも0.3%ポイント高い4.6%を予測した。(つづく)
コメント
コメントする