中国の住宅不況は、地方政府の土地売却収入減に直結する。昨年、耳目を集めた不動産開発大手、中国恒大の経営危機が不動バブルに水をかけた。こうして、昨年の地価下落は前年比10%になった。格付け会社S&Pの予測によれば、今年はさらに20%下落。来年も同様に5%の値下がりを予告するという深刻な事態だ。
これでは、地方政府の財源難は確実である。土地売却益は、中央政府・地方政府の財源で平均して約5割も占めている。それだけに、急激な土地販売益の落込みは「政府機能」を奪う懸念を強めている。
『日本経済新聞 電子版』(1月13日付)は、「中国地方都市、新築住宅購入へ助成 減税や消費券配布」と題する記事を掲載した。
中国の地方都市が、新築マンションの購入支援に乗りだした。取得税の軽減や家電などの購入補助券の配布で需要を掘り起こす。政府の不動産規制などでマンションの在庫が5年4カ月ぶりの水準に膨らんだため。取引を活性化させ、地方財政が依存するマンション用地の売却収入の落ち込みを抑えたい考えだ。
(1)「住宅購入者だけでなく販売実績が優れた不動産開発会社にも「消費券」を配ります――。南部の広西チワン族自治区桂林市は2021年12月、こんなマンション販売刺激策を発表した。同年12月の新築物件の販売実績が多い上位3社に対し、最大30万元(約540万円)分の消費券を付与。住宅購入者の消費券はマンション取引額の1%分だ。消費券は22年3月末までに、市内で家電や自動車を買う際に使える。不動産開発会社の販売努力を財政で促し、市場を下支えする。浙江省金華市の一部地域でも、22年1月から最大3万元の住宅購入補助券の支給を始めた」
住宅不況で、一番困っているのは地方政府であろう。土地が売却できなければ、財源難に陥る。「土地本位制」経済のカードが、一挙に裏返しになったのである。これまでの数々の無駄な投資を行なえた財源が、地価下落でさっぱりと消え去る。「土地蜃気楼」が終わったのだ。
(2)「不動産シンクタンクの易居不動産研究院によると、主要100都市の新築マンションの在庫面積は21年11月末に5億2000万平方メートルとなり、16年7月以来の高水準に達した。特に、省都クラスより小規模の地方都市は前年同月比7%増えた。北京市や上海市などの1級都市が3%、省都クラスの2級都市が1%それぞれ減ったのと対照的だ。習指導部の方針を受け、地方政府は積極的な販売促進策を打ち出しにくかった。転機となったのは共産党が21年12月に開いた中央政治局会議と中央経済工作会議だ。「マンション市場が合理的な住宅購入の需要を満たすことを支持する」と強調。投機の抑制は続ける一方、居住目的の実需まで抑え込むことがないよう規制を緩める姿勢を示した」
主要100都市の新築マンションの在庫面積は、21年11月末に16年7月以来の高水準に達した。床面積で5億2000万平方メートルというが、1戸100平米とすれば、520万戸となろう。仮に、1戸50平米とすれば1000万戸の在庫となるのか。14億の人口を擁する中国と言えど、簡単に捌ける在庫ではなさそうだ。
(3)「地方政府が不動産市場のてこ入れに動く背景には、販売不振が地方財政に打撃を与えることへの懸念もある。中国の土地は国有制で、地方政府の歳入は、土地の使用権を不動産開発会社に売って得る収入に依存する。20年の売却収入は中央と地方の税収総額の5割以上に相当した。中国財政省によると、21年1~11月の売却収入は前年同期比4%増にとどまり、20年までの2ケタ増から失速した。マンションの販売減少や価格下落で「仕入れ」にあたる土地の価格にも下押し圧力がかかった。米格付け会社S&Pグローバルは売却収入が22年は前年比20%、23年は同5%それぞれ減ると予測する」
S&Pの予測によれば、土地売却収入は今年が20%減、来年はさらに5%減の予想である。これが現実化すれば、地方政府は財源難で運営が著しく制約される。一大事である。
(4)「気がかりなのは、売却収入の実態が統計以上に悪化している恐れもあることだ。規制強化で不動産開発会社が資金不足になり、入札にかけても買い手が付かない土地が目立ち、融資平台と呼ぶ地方政府傘下の投資会社が購入する例が増えているためだ。中国メディアによると、江蘇省無錫市が昨秋に実施した入札では、買い手がついた20区画のうち17区画は融資平台だった。同省南京市でも6割近い土地を融資平台が落札した。融資平台が地方政府の歳入不足を補う、つなぎ資金を提供した形だ」
融資平台は、地方政府の「隠れ蓑」になっている。資金調達機能をもった地方政府の別働隊である。土地が売却できなければ、この融資平台に買い取らせて資金繰りを付けるという最悪ケースが増えている。中央政府は、融資平台を赤字財政の温床として警戒してきた。だが、現実にはこうやって整理もされず生き続けている。新たな負債隠しの手段として悪用されるであろう。この融資平台の債務は、最終的に地方政府が返済負担になる。


コメント
去年の不動産会社に続きどのような形で債務返済問題が顕在化していくのか、非常に興味深いところであります。
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