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韓国銀行(中央銀行)は、自国経済の脆弱性を熟知しているので、パンデミック下では他国よりも一歩も二歩も早く利上げに動いている。これまで二度の通貨危機で、韓国経済は大きく揺さぶられた経験があるからだ。

 

昨年の株価高騰と不動産価格暴騰は、韓国経済の脆弱性を熟知している若者達が、一斉に仕掛けた短期的利益確保の刹那的行動であった。それとも知らず、外部のエコノミストは、韓国経済が日本を抜くと言い出す始末だ。韓国銀行は、こういう「韓国礼賛」を苦々しく思っていたであろう。

 

『ハンギョレ新聞』(1月15日付)は、「韓国銀行、政策金利を1.25%に引き上げ コロナ以前の水準に戻る」と題する記事を掲載した。

 

韓国で政策金利が新型コロナウイルス禍以前の水準である1.25%まで引き上げられた。 

 

(1)「中央銀行の韓国銀行(韓銀)は14日、金融通貨委員会を開き、現行の年1.00%の基準金利を0.25ポイント引き上げた。韓銀は新型コロナの景気ショックの衝撃を補うため、2020年5月に過去最低の0.50%にまで金利を引き下げたが、昨年8月からこれを正常化し始めた。韓銀が同日までに0.25ポイントずつ3回引き上げたことで、政策金利は年1.25%となった。コロナ禍発生前の2019年10月(1.25%)水準に戻ったということだ」

 

韓国は、なぜこれほど早く利上げに踏み切っているか。韓国経済のバブル的体質を警戒している結果である。韓国で唯一、韓国経済の将来を懸念しているのは、この中央銀行しかないのだ。最後のストッパー役である。これまでも、折りに触れて株価と不動産価格の暴騰に警戒感を示してきた。

 

総合株価指数(KOSPI)は、2020年11月1日(安値)から21年6月27日(高値)まで、45.65%もの値上りをした。政策金利が、0.5%にまで引下げられた結果である。だが、その後の金利引上げによって、前記の高値から22年1月14日までに11.7%の下落になった。利上げが、韓国株価を引下げている。これからも、政策金利は引き上げられる見通しである。株価は下落の運命である。

 

不動産価格は、株価以上の値上りとなった。まさに,暴騰である。韓国有数の経済市民団体の一つである経済正義実践市民連合(経実連)によると、朴槿恵政権時(2013年2月~2017年3月)の不動産価格の上昇率は4年間で7.6%、李明博政権時(2008年2月~2013年2月)は5年間で2%だった。  文大統領の就任からの4年間で、ソウルは93%も上昇したと明らかにしている。不動産政策の失敗と低金利の結果によるものだ。上がった物価は、正常化すれば下落するもの。不動産暴落は目前に来ている。

 


(2)「韓銀は、景気、物価、金融不均衡、主要国の通貨政策の転換などを考慮し、追加の政策金利引き上げに踏み切った。韓銀は、韓国経済がオミクロン変異株発生にもかかわらず回復を続けていると判断している。韓銀は昨年11月の経済見通し報告書で、今年の韓国経済は年間3%成長すると予想した。一方、消費者物価上昇率は韓銀の安定目標である2.0%を上回り、高い上昇を続けている。韓銀の立場としては、追加の政策金利引き上げを通じて物価がさらに高騰する可能性を食い止めなければならない」

 

韓銀が、最も恐れているのは資産価格高騰後に襲う急落である。行き過ぎて上昇した資産価格は、必ず急落するだけに、早く利上げしてバブル熱を冷まさせる狙いが込められている。

 

文政権の不動産政策は、供給を制限するという真逆のことを行なった。不動産対策は、実に20回余も行なわれて失敗した。政策の素人集団であったのだ。

 


(3)「韓銀は、家計融資の増加傾向は多少鈍化しているものの、いまも続く負債と資産市場の過熱を沈静化させなければならないとみている。さらに韓銀は、米連邦準備制度(FED)の政策金利引き上げや量的緊縮が速まっていることに対しても備えなければならない。韓国の金利より米国の金利が高くなれば、収益を追って国内に投資された外国人投資家の資金が流出する可能性があり、この過程で急激なウォン安ドル高などの金融市場の混乱が発生する恐れがある」

 

韓国は、過去2回も通貨危機に襲われている。ウォン相場の急落である。現状は、1ドル=1200ウォンを割込んだ後、辛うじて1100ウォン台へ踏みとどまるギリギリの線にある。いつ、レッドラインを大きく割込むか分らないだけに、政策金利の引上げを急いでいる。

 


(4)「従って、韓銀は今後政策金利をさらに引き上げる可能性が高い。ただ、以前より引き上げは減速する見通しだ。韓銀がコロナ以前の水準にまで政策金利を正常化させるという課題を達成したからだ。また、韓銀のイ・ジュヨル総裁の任期も3月31日に終わる。次期大統領選挙とあいまって、後任総裁の任命が遅れる可能性もある。市場では、追加の引き上げが続いて最終的な政策金利が1.50~2.00%に達するとの推測が出ている

 

市場では、政策金利が1.50~2.00%まで引き上げられるとの予想も出ている。2015年当時の水準に戻る計算だ。当時の総合株価指数は、ほぼ2000ポイントで推移していた。現在の2921ポイント(1月14日現在)から見ると、ざっと32%もの下落予想である。韓国企業の収益が好転している訳でないから、相当な株価下落が予想される。

 

韓国は、若者がバブル期待で株式投資に手を染めただけに、大きな損失に見舞われる恐れが出ている。これまでも、この種の警告は出されてきたが、無視されてきたのである。