あじさいのたまご
   

中国政府は、国内企業の保護政策を露骨に行なっており、現地進出した韓国企業は弾き飛ばされている。韓国企業と中国企業の技術格差が、縮小していることも影響しているであろう。韓国政府は、二股外交を行なって中国のご機嫌取りに夢中である。一方、現地の韓国企業は規制を受けて四苦八苦しており、撤退が増えている。文大統領は、こういうときこそ中国政府へ抗議しなければならないのだ。

 

『朝鮮日報』(1月16日付)は、「中国の思い通りに規制、現代自の販売7割減 アモーレは店舗半数閉鎖」と題する記事を掲載した。

 

韓国化粧品大手アモーレパシフィックは今年、中国国内の「イニスフリー」の店舗280カ所のうち140カ所を閉店する計画だ。昨年は「エチュード」の店舗610カ所を閉鎖。「ヘラ(HERA)」「アイオペ(IOPE)」などのブランドも実店舗を全て閉じ、大規模な事業再編を進めている。

 


(1)「アモーレパシフィックは2016年、中国で「Kビューティー」ブームをリードし、創業以降初めて営業利益1兆ウォンを達成した。しかし、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題で限韓令(韓流禁止令)が本格化すると、海外販売の70~80%を占めていた中国事業の業績が急落した。LG生活健康も中国事業の業績で一喜一憂する状況に変わりはない。金の卵を産むはずだった中国市場は今や諸刃の剣だ」

 

化粧品や生活用品は、中国の品質が向上すれば韓国製品へ追いついてくる。それに加えて、限韓令という中国政府の「韓国品排除」ムードが重なれば、韓国製品はシェアを落とすであろう。

 

韓国は、中国から限韓令という差別を受けながら、日本製品に「No Japan」で不買運動を行なっている。韓国は、中国で痛みを知って、日本に対して同じことをやっている。その矛楯を気付かないのだ。

 


(2)「最近数年で、韓国企業は中国から相次いで撤退している。ちょっとしたことで爆発する限韓令のような嫌韓リスク、ますます強まる中国当局の規制、外国企業に対する差別で正常な経営は不可能との判断があるためだ。現代自動車グループは16年、179万台を販売し、中国市場でのシェアが10%に迫った。しかし、THAAD問題で中国の消費者による不買運動が広がり、昨年の販売台数は約50万台に減少した。現代自は昨年、海外初の生産拠点だった北京第1工場を売却し、北京第2工場の売却も検討している」

 

中国は、THAAD問題で「実損」のないことを十分に知りながら、これを武器に使って韓国から多くの利益を得ようとしている。文政権は、その「悪辣外交」に気付かず、次々と譲歩しているのが現実だ。民族主義者の文在寅が、中国の前では借りてきた猫のような振る舞いである。こういう時こそ、民族主義の本領を発揮すべきだ。

 

(3)「SKグループは崔泰源(チェ・テウォン)会長自ら、中国を第2の内需市場にしようという「チャイナ・インサイダー」戦略を推進してきた。しかし、10年間経営してきたレンタカー事業を昨年整理するなど、中国企業の大規模な再編を進めている。サムスン電子は18年に天津市のスマートフォン工場の稼働を中断し、19年10月には広東省恵州市のスマートフォン素材工場も閉鎖した。天津市のテレビ工場、江蘇省蘇州市のパソコン工場、液晶ディスプレー工場も閉鎖した」

 

サムスンは、さすが目先が利く。中国市場を撤退してアジアや米国へ生産拠点を移している。いつまでも、中国にしがみついていると、大きなしっぺ返しを受ける。早く、見切りを付けるべきだが、中国へ言うべきことをはっきり言う勇気が必要だ。これでは、自ら中国の属国扱いに甘んじているようなものであろう。

 


(4)「
国際標準とはかけ離れた中国当局の規制も、韓国企業にとっては致命的なリスク要素だ。代表的な業種はゲームだ。4~5年前から中国が許可証の発給を全面的に中断し、ゲーム業界全体が「中国発リスク」に陥っている。年平均200種類の中国製ゲームが韓国市場で発売され、巨額の収益を上げる一方、過去4年間に中国市場で配信が認められた韓国製ゲームは1つにとどまっている」

 

中国は、身勝手な国である。「戦狼外交」を見れば、それが一目瞭然だ。中国よりも弱いと見た相手には徹底的に高姿勢で臨む。それが、中国流である。これに対抗するには一国では無理。同盟の力しかない。韓国には米韓同盟がありながら、ここから抜け出てチョロチョロやっている。ますます、中国から舐められるのだ。

 

(5)「中国で痛い目に遭う企業が増え、ここ数年で「中国市場撤退」の相談に専門で応じる業者まで登場した。ある中国専門コンサルティング業者は「中国人社員が技術だけ学んだ後、別会社を設立し、取引先ごと持っていくケースが目立つ」と指摘した。企業の脱中国ラッシュには中国の産業環境の変化も大きな影響を与えた。ただでさえ韓国ブランドの影響力が低下している状況で、習近平国家主席が掲げる「共同富裕」政策の影響で、賃金上昇が続き、生産拠点としても魅力は大きく低下した。中国人労働者の最低賃金は16年当時の時給18.7元(約341円)から今年は25.3元へと35%も上昇した」

 

中国には、始皇帝時代から経済倫理が存在しない。商工業を弾圧した結果、商工業のルールは無用であったからだ。現代に至るまで、「暴利謀略」が中国商法のトレードマークである。歴史を見れば、中国を交渉の相手とするときは、同盟の力による対抗手段を備えるしかない。哀しいかな、これが歴史の教える現実である。一国で素手のまま立ち向かえば、返り血を浴びる。韓国は、まさにそのケースである。