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ウクライナは、ロシアの大軍10万の圧力を受け、NATO(北大西洋条約機構)へ必死の支援要請をしている。米英仏は、対ロシア政策で歩調を合せ軍備の増強を急いでいるところだ。その中でドイツが、ロシアへ気配りして中立を装うという予想外の行動を見せ、顰蹙(ひんしゅく)を買っている。

 

ドイツは、ウクライナに対してヘルメット5000個を送ること。万一に備えて野戦病院を建設するというのだ。NATO主力メンバー国のドイツが、ロシア軍を前にして「逃亡姿勢」である。これでは、NATO存立の意味が問われる事態だ。ドイツの理由は、ウクライナへの武器供与がロシアとの対立を煽るとして拒否しているもの。ウクライナは、軽武装でロシアへ立ち向かえと言っているに等しい。

 

ウクライナの首都キエフのビタリー・クリチコ市長は、独日刊紙『ビルト』に対し「言葉を失った」と失望を示した。クリチコ氏は、「われわれが対峙(たいじ)しているのが装備の整ったロシア軍で、いつ侵攻が始まってもおかしくないことを理解していない」とドイツを批判。「ヘルメット5000個なんて冗談もいいところだ」「次は何を送るつもりだ? 枕か?」と皮肉った。以上は、『AFP=時事』(1月27日付)が伝えた。

 


米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月24日付)は、「ドイツは信頼できる米同盟国ではない」と題する寄稿を掲載した。筆者のトム・ローガン氏は、米ニュースサイト・週刊誌『ワシントン・エグザミナー』の国家安全保障担当ライターである。

 

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻に乗り出す気配が濃厚となる中、米同盟諸国の大半はウクライナ政府を支持し、北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国の中で脆弱(ぜいじゃく)な国々を安心させる行動を見せている。しかしドイツは、ロシアの利益を欧米側の利益よりも優先するという、異なった対応を示している。

 

(1)「ドイツ政府の対応からは、厳しい現実が分かる。それは、米国と第2次大戦後の民主的国際秩序が、中国・ロシアという2つの最も重大な安全保障上の脅威に直面する中で、ドイツはもはや信頼できる同盟国ではなくなったということだ。ドイツにとっては、安価なガス、中国向け自動車輸出、そしてプーチン氏を怒らせないことが、民主主義に支えられた同盟諸国の結束よりも重要なように見える。ウクライナの運命は、ドイツが担うべき責任の重さを伝えることになるだろう」

 

ドイツには、米軍が駐留している。トランプ大統領時代、米独が対立してトランプ氏は、米軍をポーランドへ移転させると発表したことがある。これに困惑したドイツは、米軍の移転撤回を求めた経緯がある。このようにドイツは、米軍駐留の恩恵を受けながら、ウクライナへは軍事支援しないという、身勝手な行動を取っている。何か、韓国と似た面がありそうだ。

 

(2)「独政府はウクライナへの武器供与を拒否し、さらにエストニアによるウクライナへの武器供与を阻止しようと活発な動きを見せている。英国はここ何日かの間に対戦車用兵器をウクライナに空輸し、ウクライナ情勢に関連した情報収集のため航空機の飛行を行っている。情報収集の飛行は、英国とウクライナを結ぶ最も直線的ルートであるドイツの領空を通過するルートで行われたが、兵器の空輸はドイツを迂回するルートを利用した」

 

英国防省が、ドイツに領空通過の許可を求めなかったのは、ドイツがそれに応じるか拒否するかの選択を強いられるからだった。オラフ・ショルツ首相が率いるドイツ新政権は、対ロシア紛争から身を退いて、中立を装っている。それは、ロシア産の天然ガスと深い関係がある。ドイツを右顧左眄させている理由は、天然ガス供給である。

 

(3)「ロシアから欧州に天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」に関する独政府の対応も、ドイツの姿勢を明確に示す一例だ。ドイツの規制当局は、同パイプラインについて、関連企業による法令順守基準の達成が確認されるまで、運転開始は認められないと主張している。これは、パイプラインの即時運転開始を望むプーチン氏をいら立たせている。その見返りとして、プーチン氏に操られたロシア国営ガス会社ガスプロムは、既存の「ヤマル・ヨーロッパ」パイプラインでのガス輸送を、4週間超の期間にわたって通常と逆方向の流れに変えている。ロシアはまた、ウクライナ向けの一般炭の供給を3カ月以上にわたって停止している」

 

ドイツが、ロシアに揺さぶられているのは、ロシア産天然ガス供給が大きな理由だ。ドイツは、脱原発でエネルギー事情が不安定である。原発を止めて天然ガスへ切り変えたので、ロシアの思う壺に落込んでしまった。脱原発という理想論へ走ってしまい、ロシアにまんまと裏をかかれる事態になっている。EUは、原子力をクリーンエネルギーに指定したほど。ドイツにおける脱原発の根拠が失われたのである。すでに、ドイツのエネルギーコストが高騰しており、競争力に陰りが出ている。

 


(4)「プーチン氏のメッセージは明白だ。そのメッセージとは、ウクライナはロシア支持へと寝返るのが賢明であり、ドイツはノルドストリーム2の運転開始を承認するのが賢明だというものだ」

 

ロシアは、ドイツとウクライナへ石炭と天然ガスで独占的な供給状態である。これを利用して、意のままに操縦しようとしている。ドイツは、この策略に乗せられている。表面的には、「紛争を好まない」と綺麗事を言っている以上、ドイツ駐留の米軍をウクライナ近辺へ移駐させて、ドイツの目を覚まさせることだ。

 

(5)「ドイツはまた、国防費を国内総生産(GDP)の2%にするというNATO目標の達成を断念し、1.5%しか支出していないほか、国内でロシアの化学兵器に関する研究が行われることを容認している。そうした研究は、ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏や元英国のスパイを標的にした事件のような暗殺計画を下支えする。ショルツ氏はまた、核兵器禁止条約でオブザーバーの立場を追求することを約束しており、NATOの核抑止力を漠然としか支持していない。こうした譲歩は、プーチン氏が長年求めていたものだ」

 

ドイツが、NATO精神に沿わない動きをしているならばこの際、思い切って駐独米軍の完全撤退をして、NATOに貢献する国々の防衛を優先させるべきであろう。ドイツは、NATOに防衛して貰いながら、義務を果たさないのでは、ますます韓国に似てきた感じがする。