中国から、台湾を武力解放するという勇ましい発言が後を絶たない。最新の発言では、「2027年」までに行なうと期限を切ってきた。暴力団が、殴り込み時間を予告するようなものだ。
中国側の言分を聞いていると、武器弾薬で米国を上回っているから、いつでも台湾を武力解放できるというのだ。こういう発言をする者は、戦争の本質を知らない「素人談議」である。中国は、「同盟の戦力」を理解できない単細胞である。「海軍力」と「海洋力」を混同しているのだ。「海軍力」とは、その国の持っている艦船数など。「海洋力」とは、「海軍力」を上回る上位概念であり、同盟国の総合戦力である。
中国が、台湾侵攻に踏み切れば、台湾の軍事力に加え、日米英豪の海軍が結集することは火を見るより明らか。これに、仏海軍も加わるであろう。ドイツ海軍は不明である。中国へ義理立てして当初、様子を見ているかも知れない。勝敗の帰趨がはっきりしたとき、ドイツ海軍は遅れて加わるであろう。もしそうであれば、ドイツの信用はガタ落ちである。
『日本経済新聞 電子版』(1月31日付)は、「『27年までに台湾武力統一も』 中国人民大・金燦栄教授」と題する記事を掲載した。
米中関係を専門とする中国人民大学の金燦栄教授は日本経済新聞の取材で、習近平指導部が2027年までに台湾の武力統一に動くとの見方を示した。台湾有事では中国人民解放軍がすでに米軍を上回る戦力を保持していると指摘した。金氏は習指導部の外交政策に助言する学者の一人とされる。タカ派の論客としても知られ、インターネットを中心に活発に発信している。
(1)「習指導部は台湾統一を目標に掲げるが、時期は示していない。金氏は「22年秋の共産党大会が終われば、武力統一のシナリオが現実味を増す。解放軍の建軍から100年となる27年までに武力統一に動く可能性は非常に高い」と強調した。米インド太平洋軍のデービッドソン前司令官も21年3月、米上院軍事委員会で「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と述べた」
クイズ番組のように、台湾侵攻への「時期」を当てることが流行っている。最も大事なことは、そのときの中国経済の置かれている状況である。中国が、台湾侵攻に踏み切れば短期で終わることはない。西側諸国は、民主主義防衛という大義によって結集するはずだ。香港に見る言論と人権弾圧の暴挙を、再び見過ごしできないからだ。まさに西側の「海洋力」が、中国の「海軍力」を圧倒するまで戦端を閉じることはないであろう。
中国経済が、西側諸国の経済封鎖に耐えられるだろうか。食糧不足、エネルギー不足、国内の失業者群が不穏な動きに出ないだろうか。反習近平派が、好機と見て打倒に動き出す懸念もある。習近平氏が開戦を決意するには、自らの「生命」を賭けた戦争になろう。
(2)「台湾有事では米軍が介入するかどうかが一つの焦点となる。金氏は「中国は1週間以内に台湾を武力統一できる能力をすでに有している」と主張し、「解放軍は海岸線から1000カイリ(約1800キロメートル)以内ならば、相手が米軍であっても打ち負かせる」と説いた。解放軍は中国近海に米軍艦艇を寄せつけない戦略をとっており、中国近海での対米国のミサイル攻撃力を磨いていることなどが念頭にあるとみられる」
ここでは、日米海軍の潜水艦部隊の威力を完全に忘れている。もう一つ、中国は近代戦で勝った経験のない軍隊である。世界一の米海軍と対峙したとき、中国海軍は身体に震えは来ないだろうか。それが、戦勝経験のない軍隊の弱点である。
(3)「日本では「台湾有事は日本有事」(安倍晋三元首相)との声がある。金氏は「台湾有事に日本は絶対に介入すべきではない。この問題で米国はすでに中国に勝つことはできない。日本が介入するなら中国は日本もたたかざるを得ない。新しい変化が起きていることに気づくべきだ」と語った。台湾の和平統一については「民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の下では難しい。24年の総統選で国民党の候補者が勝てば中台関係は改善するが、国民党は支持を得ていない」と非現実的との考えを示した。台湾の対応については「唯一できることは早く中国大陸と話し合うことだ。時間がたつほど台湾に不利になる」と統一に向けた協議を呼びかけた」
下線部分のように、中国の最も恐れているのが自衛隊とされている。旧日本軍の歴史を引継ぎ、日中戦争では中国軍が山中深く追い込まれた戦史を持つからだ。これは、決して褒められたことでなく自慢もできないが、中国軍にとって自衛隊は「苦手意識」を持つ相手である。日清戦争では、中国艦船が戦わずして戦場を離脱したケースがあった。
(4)「金氏は22年の米中関係について「21年より難しい一年になる。中国は秋に党大会があり、米国も11月に中間選挙を控える。極めて重要な政治日程で、対抗意識が鮮明に出やすい」と語った。台湾も11月に統一地方選挙がある。金氏は「選挙中は中国が批判対象となりうる。それが中米関係にも影響する」と分析した。日中は22年、国交正常化から50年を迎える。金氏は「中国政府は50周年の節目の関係安定を望んでいる。だが、台湾問題への安倍元首相の発言を含め、日本の保守化が進みすぎており、難しい局面にある」と話した」
中国は、アジアの地域覇権を握れないとする見方がある。それは、日本の存在が障害になるからだ。日本が、中国と戦って戦前のような「八紘一宇」という神がかった事態を招くという意味でない。中国が、日本を無視して地域覇権国にのし上がれないことだ。日本を屈服させることはあり得ないという前提である。中国は、日本の存在に最大限の注意を払わざるをえない立場である。日本は、米中を繋ぐ貴重なパイプなのだ。


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