米国は、昨年12月の消費者物価指数が前年同月比7.0%と約40年ぶりの上昇となった。これを受けて、FRB(連邦準備制度理事会)の政策金利引上げ回数が、3回以上になるとする見方が増えている。一体、どの程度のペースで引き上げられるのか、ウォールス街の予測はまちまちだ。
『ブルームバーグ』(2月1日付)は、「米経済に急ブレーキかけず、利上げを前に金融当局者が相次ぎ慎重論」と題する記事を掲載した。
米金融当局者らは利上げ開始を準備するに当たり、米経済を不必要に混乱させたくないと述べ、3月に0.5ポイントの積極的利上げを行う意向はほとんどないことを示した。
(1)「パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、約40年ぶりの高インフレを抑制するため3月の次回連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げに踏み切る用意を表明した。しかし、政策の道筋に関し具体的なガイダンスを示すことは控え、景気支援策は徐々に取り除くべきで、今後の経済指標に対応し機敏な政策運営が必要だと述べるにとどめていた」
昨年12月の消費者物価指数が、約40年ぶりの高騰となれば、政策金利引き上幅が大きくなると見るのは常識であろう。今秋には、中間選挙が控えている。失業率と消費者物価上昇率は、選挙結果と密接に絡む。支持率が低空であるバイデン政権にとって、高い物価上昇率は鬼門だ。FRBとしては、物価を早急に押さえ込みに掛かりたいとしても、景気悪化をもたらしたら元も子もない。
(2)「パウエル議長が踏み込んだ発言を行わなかったことにより、今年は必要に応じ毎会合利上げする可能性が残されたが、議長は今後の政策の道筋について当局者らは心を決めていないとも強調。他の当局者も1月31日にこうした慎重論を示した」
(3)「カンザスシティー連銀のジョージ総裁はエコノミック・クラブ・オブ・インディアナが主催したイベントで、「経済では常に、徐々に進めることが望まれる。予想外の調整で経済を混乱させようとしても誰の利益にもならない」と指摘。「当局は緩和策の解除開始の判断において慎重に行動する必要があると思う」と述べた。同総裁はタカ派色の強い当局者の一人で、今年のFOMCで投票権を持つ。昨年12月のFOMC予測では今年の利上げ回数は3回との見通しが示されたが、パウエル議長の今回の発言以来、投資家の間では年内5回程度となるとの見方が広がっている」
昨年12月のFOMC予測では、今年の利上げ回数を3回と予想したが、先のパウエル議長発言で3回以上になりそうだという見通しが強まっている。
『ブルームバーグ』(2月1日付)は、「3回から7回まで、ウォール街の22年米利上げ予想に大きな開き」と題する記事を掲載した。
米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げのペースや引き上げ幅を巡り、ウォール街の大手金融機関の間では見方に大きな開きがある。各社の2022年以降の予想を以下にまとめた。この予測データを参考にしていただきたい。
バンク・オブ・アメリカ(BofA):
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今年は0.25ポイントの利上げを7回実施し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が年末には1.75-2%になると予想
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23年には四半期ごとに1回の利上げを実施し、同2.75-3%でピークに達すると予想
野村ホールディングス:
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今年3月に0.5ポイントの利上げ実施後、5月と6月、7月、12月にそれぞれ0.25ポイントの利上げを行うと予想。年末時点のFF金利は1.5-1.75%へ
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23年は6月と12月に0.25ポイントの利上げ実施を見込む
BNPパリバ:
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今年は計6回、11月以外の連邦公開市場委員会(FOMC)全会合で0.25ポイントの利上げを実施し、FF金利1.5-1.75%で年末を迎えると予想
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23年に追加利上げを実施、同年末のFF金利は2.25-2.5%となる見通し
ゴールドマン・サックス・グループ:
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今年は計5回(3月、5月、7月、9月、12月)に0.25ポイントの利上げを行う
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23年は0.25ポイントの利上げを3回実施と予想。24年の追加利上げを経て、FF金利が2.5-2.75%となる見通し
シティグループ:
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今年は計5回の利上げを実施(3月、5月、6月の3回と、年後半は四半期に1回ずつ)。年末時点のFF金利は1.25-1.5%と予想
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23年は四半期に1回利上げ-年末のFF金利は2.25-2.5%
モルガン・スタンレー:
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今年は3月、6月、9月、12月の利上げを予想-ただ「利上げの一部が2会合連続で行われる高いリスクがある」
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23年は2回利上げ-FF金利は1.5-1.75%に
バークレイズ:
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今年3月、6月、9月の利上げ実施を引き続き予想。年末FF金利水準は0.75-1%
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23年は3回の追加利上げがあり、1.5-1.75%に達する見通し
JPモルガン・チェース:
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今年は0.25ポイントの利上げを5回(3月、5月、7月、11月、12月)実施と予想。年末時点のFF金利は1.25-1.5%へ
これだけの利上げ回数予想が出ているのは、根強い需要が控えている証拠であろう。失業率は完全雇用線に収まっているからだ。改めて、米国経済の回復力の強さを示している。


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