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台湾が、欧州からの来客で賑わっている。英下院外交委員会の議員団が、2月下旬に台湾を訪問することになった。英国は、台湾が示す民主主義の価値観を支持し、中国へ毅然とした態度をみせることが狙いだという。

 

フランスは昨年10月、上院議員団が訪台したが、12月には元環境相で前下院議長のドルジ氏ら下院の台湾友好議員メンバーが訪台するなど、台湾への友好姿勢を強めている。西側諸国では、「実益外交」よりも「価値観外交」を重視し始めている。英仏両国が、台湾との関係強化に動いている。

 

欧州の主要国では、英仏が台湾へ積極姿勢を見せている。だが、ドイツの動きははっきりしない。ドイツは、貿易面で中国との関係が深く「実益外交」を「価値観外交」よりも重視しているように見える。ドイツは、ウクライナ問題でも最も動きが鈍く批判を浴びた。台湾問題でも同様かも知れない。となれば、ドイツはますます韓国と同類の国になろう。

 


『日本経済新聞 電子版』(2月11日付)は、「英下院議員団、2月下旬に台湾訪問へ 蔡総統と会談」と題する記事を掲載した。

 

台湾の外交部(外務省)は11日、英下院外交委員会の議員団が、2月下旬に台湾を訪問すると明らかにした。台湾が示す民主主義の価値観を支持し、毅然とした態度をみせることが狙いだという。中国の激しい反発は必至だ。議員団は19日に英国を出発する予定。訪台中は蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談する。

 

(1)「議員団には、外交委員会の委員長で、対中強硬派として知られるトゥーゲントハット氏が含まれる。台湾の中央通信社によると、外交部は「一行の訪問を心から歓迎する」と伝えたという。昨秋以降、欧州からの議員団の訪台が増えている。11月には欧州連合(EU)の欧州議会の代表団や、リトアニアなどバルト3国の国会議員団が訪問したほか、12月にはフランスの下院議員団が訪台し、蔡総統と会談した。いずれも中国対抗を念頭に、台湾の民主主義への支持を、強くアピールしてみせた」

 

フランスは、さすが「フランス革命」の母国だけに、人権・自由という基本的人権擁護に鋭い嗅覚を見せている。英国は、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟が正式に承認される今年、台湾との関係強化に乗出すのであろう。

 


『日本経済新聞 電子版』(21年12月16日付)は、
「台湾・蔡総統、EUとの関係強化訴え 仏議員団と会談」と題する記事を掲載した。

 

台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は16日、訪台中のフランスの議員団と会談した。中国からの圧力を念頭に台湾への強い支持を表明した議員団に対し、蔡氏は「フランスのリーダーシップのもと、台湾とEU(欧州連合)の新しいパートナーシップの幕開けを期待する」と述べ、さらなる関係強化を呼び掛けた。

 

(2)「フランスからは10月にも上院議員団が訪台したばかり。今回の議員団は、元環境相で前下院議長のドルジ氏ら下院の台湾友好議員メンバーで構成された。欧州内には台湾を巡って温度差があるが、フランスでは台湾への支持が強い。5月に上院が世界保健機関(WHO)など国際機関への台湾の参加を支持する決議案を採択したほか、11月末には下院でも同様の決議案を賛成多数で採択した」

 

世界の公用語は、英語とフランス語である。さすがは、フランス外交は見事である。

 

(3)「これらを念頭に、蔡氏は会談で「今年は台湾とフランスの関係が急速に進展した年だった」と指摘。上下両院の台湾支持に感謝の意を示した。「22年はフランスが(14年ぶりに)EU理事会の議長国となり、台湾との投資協定の推進を期待する。権威主義が急速に広がるなか、民主的な国同士の協力が今後はより重要になる」とも述べた。議員団も「自由で透明な選挙、表現の自由など(フランスと台湾は)共通の価値観を持つ。今後も効果的な協力関係に発展させるため、さらに平和への関心から、我々はこうして今、台湾にいる」などと語った」

 

今年は、フランスがEUの議長国である。中国のエストニアへの経済制裁に対して、断固として対抗する姿勢を見せている。ドイツとは全く姿勢が異なる。

 


(4)「台湾への支持を表明するため、台湾と正式な外交関係のない国から議員団の訪台が相次いでいる。米国からは11月、今年3度目となる議員団が訪台した。日本など各国議員の間でも台湾支持の声が増える。一方、EUからの明確な支持はいまだにフランスやリトアニアなどバルト3国、東欧諸国など一部にとどまり、台湾との距離は微妙なままだ。国際政治に詳しい台湾・成功大学の蒙志成副教授は「昔から関係が深い日米と違い、台湾と欧州は以前から距離感があった。最近になって欧州と接近し、突破口が開いてきたことは評価できる」と語った。「欧州にとって経済的にも中国は重要だ。米国が台湾を支持するようには、欧州も台湾を支持すると簡単に言いにくい事情があり、EUの方向性はまだ定まっていない」とも指摘した」

 

まだまだ現状は、「実益外交」が「価値観外交」を上回る状況である。だが、同盟国の結束が固まれば、「価値観外交」が支配的になるだろう。