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ロシア軍は、目的を達成するまでウクライナでの「軍事作戦」を続けると表明。夜間にウクライナの主要都市への砲撃を強化している。首都キエフのテレビ塔が被弾した。第2の都市ハリコフでは住宅地が砲撃を受けたと市長が語った。

 

ウクライナでは、国外から若い男性らが祖国に戻り、市民ボランティアも銃を取っている。ウクライナ軍の士気は高い。逆にロシア兵は、詳しい説明も受けないで演習の積もりで銃を取っていたら、そこがウクライナの戦場であった。こういう漫画のような話が、捕虜になったロシア兵から伝わってくる。

 

プーチン氏は、遅れる作戦に苛立っているに違いない。軍幹部は、プーチン氏の怒りを恐れて無差別攻撃に移っているのかも知れない。危険な話だ。

 


『ブルームバーグ』(3月1日付)は、「ウクライナ侵攻、ロシア軍の戦術に変化ー犠牲者が増えてさらに凄惨に」と題する記事を掲載した。

 

ロシアのウクライナ侵攻は新たな段階に入りつつある。ウクライナ軍や民間人の犠牲が増えるのは確実だろうと、西側の国防当局者はみている。この当局者らによると、ロシア軍は当初、ウクライナが本気で都市を防衛することはないと見込み、電撃的に各都市になだれ込めると考えていた。だが、こうした考えをロシア軍首脳が捨てつつある兆しが表れ始めている。

 

(1)「ウクライナ第2の都市ハリコフに進軍しようとしたロシア軍の装甲車「ティーグル」の車列が破壊された画像が2月28日朝に出回るなど、ロシア軍は当初の作戦で複数の失敗を犯した。米国やその同盟国の当局者は、ウクライナの抵抗を力ずくで抑え込もうとロシア軍がより無差別的な攻撃を仕掛けてくると予想する」

 

ロシア軍が、ウクライナ南部の港湾都市ヘルソンを掌握した、とインタファクス通信(IFX)が3月2日伝えた。ウクライナ政府は、この情報を認めていない。IFXによると、ロシア国防省は同国軍がウクライナ首都キエフの通信関連の標的を攻撃したことも明らかにした。

 

(2)「米ワシントンを拠点とする戦争研究所(ISW)のリポートによると、今後数日で新段階に入ったことが行動により示される公算が大きい。ロシア軍は再編成と補給のため進軍を休止した後で、首都キエフを再度攻撃するだろうという。ロシア軍の戦術変更がすでに始まった兆しも見られている。人口180万人のハリコフを包囲したロシア軍は2月28日、住宅地域をロケット砲で攻撃し、数十人の死傷者が発生したと伝えられた。ロシアは軍事インフラのみ標的にしているとの主張を続けている」

 

ウクライナ軍は、欧州各国から兵器の供与を受けている。士気が高いのでロシア軍を圧倒する気迫を見せているのであろう。ロシア軍は、焦っていることは確実だ。開戦後、4~5日でウクライナ軍を蹴散らせると見てきただけに、無差別攻撃によって対抗しようというのだ。

 


(3)「ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は1日、「化けの皮が剥がれた」とツイッターに投稿。「ロシアは都市中心部をあえて砲撃し、住宅地や官公庁の地域をミサイルなどで直接攻撃している。ロシアの目的は明らかで、大混乱と民間人の犠牲を生み、インフラを破壊することだ。ウクライナは尊厳を持って戦っている」と主張した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ロシアが2月25日に学校の付近でクラスター爆弾を使用したとして非難した。クラスター爆弾の民間地域での使用は広く禁じられている」

 

ロシア軍は当初、言っていた軍関係施設の攻撃から範囲を大きく広げた。民間施設まで爆撃している。ロシア軍兵士は、大義のない戦争に駆り出されている。戦意喪失は当然である。このマイナス部分をかき消すために、無差別攻撃に移っているのであろう。

 


(4)「米シンクタンク、CNAでロシアの軍事力を専門とするマイケル・コフマン氏は、「次の展開はどうなるだろうか。ロシア政府首脳は依然として計画が失敗だと認めず、キエフを速やかに奪おうとしている」と指摘。「一方でロシア軍による火力(砲撃)や爆撃、航空力の使用拡大を目の当たりにしている。残念ながら、もっと悲惨な状況が今後訪れる。この戦争ははるかにもっと醜いものになる恐れがある」と述べた」

 

米国の軍事専門家は、ロシア軍の無差別攻撃を予想している。西側諸国による強烈な経済制裁によるロシア経済の大混乱が、ロシア政府の正常な判断を奪っているのであろう。