3月9日の大統領選を目前にして、保守系最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長と、中道系野党「国民の党」候補の安哲秀(アン・チョルス)党代表が3日午前、両党の候補を尹氏に一本化することで合意したと発表した。
これまでの世論調査では、尹氏が与党「共に民主党」候補の李在明(イ・ジェミョン)を僅かにリードして首位に立つケースが多かった。安氏が今回、立候補を取り止めて尹氏へ合流することで、尹氏は優位な立場になる見通しとなった。政権交代へ一歩、近づいている。
『聯合ニュース』(3月3日付)は、「韓国大統領選、尹氏と安氏が候補一本化ー両党の合併推進も」と題する記事を掲載した。
期日前投票の開始日が翌日に迫る中、一本化が大統領選の構図に与える影響が注目される。尹氏は各世論調査で李氏と支持率トップを争っており、安氏は3位となっている。
(1)「両氏は、「より良い韓国をつくるスタートとしての政権交代、『より良い政権交代』のため力を合わせる」として、「きょうの一本化宣言で完璧な政権交代が実現することを信じる」と表明。「必ず政権交代を実現し、韓国の変化と革新のための大転換の時代を準備していく」とし、「われわれ二人はワンチーム」と述べた」
もともと、安氏が尹氏との候補一本化を提案していた。その条件として、世論調査を行なうというものだったが、尹氏側が拒否したので「破談」となっていた。最後に、政権交代実現という大義で、安氏が立候補を取り止めた。
(2)「両氏は共同宣言文で、「二人がつくろうとする政府は未来志向で改革的な国民統合政府」と表明。国民統合政府のキーワードとして未来・改革・実用・防疫・統合を提示した。また、「国民統合政府は大統領一人が国政を運営する政府ではない」とし、尹氏が当選すれば政権引き継ぎ委員会や共同政権の構成も共に協議する方針を示した。安氏は「尹候補を支持することにした」とし、尹氏は「安候補の意思を受けて必ず勝利し、一緒に国民統合政府を必ずつくって成功させる」と強調した。両氏は大統領選後、両党の合併を進めることでも合意した」
尹氏が大統領に当選すれば、下線のように大統領一人の意思で政治を行なうという従来の弊害を改革して、「統合政府」を目指すという。文政権には耳の痛い話であろう。
(3)「安氏は、選挙戦を最後まで戦い続ける意思を示していたが、最終盤で一本化に合意したことに関しては、「個人的な損害があっても(政権交代という)大義に従うことが正しいと思った」と説明した。両氏の一本化が政権交代を求める世論の結集につながれば、選挙戦は李氏と尹氏の大接戦の構図から尹氏が優勢になる可能性が高い。ただ、安氏の支持層の票が分散され、一本化の効果は少ないとの見方もある」
世論調査では、「政権交代」が必ず過半を占めてきた。国民の潜在的な願いを実現するには、安氏が立候補を取り止めるしか道はない、と決意を固めたと見られる。
『朝鮮日報』(3月3日付)は、「韓国大統領選 尹錫悦・安哲秀 未明の会談で候補者一本化に合意」と題する記事を掲載した。この記事は、尹氏と安氏の候補一本化の正式発表前に報じられた記事である。
韓国大統領選で国民の力の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補と国民の党の安哲秀(アン・チョルス)候補が3日未明に急きょ会談し、野党候補の一本化で合意した。安候補が無条件で出馬を辞退し、尹候補支持を宣言する内容になるもようだ。
(4)「両候補は2日夜に行われた選管主催のテレビ討論の開始直前に短時間会い、会談を調整したという。安候補側の関係者は「候補のブレーンらが1日、安候補に尹候補との会談を通じ、一本化問題を協議することを真剣に求め、安候補が受け入れる意向を示した」と説明した。その後、安候補側から尹候補側に会談を提案したということだ」
両候補のブレーンが、水面下で交渉していたことが実った。安氏は一時、尹氏側が候補の一本化を真剣に議論していないとして、決裂宣言するほどであった。
(5)「これに先立ち、尹候補側の張済元議員と安候補側の李泰珪議員は2月26、27日に非公開で交渉を行った。その交渉で両議員は尹候補に一本化した場合、政権交代に成功すれば、大統領職引き継ぎ委員会を尹・安両候補で運営。組閣で国民の党関係者が人事権を共同で行使し、大統領後の両党合併を目指すことで歩み寄った。双方は「安候補が考える政治・社会改革の意思と科学・経済大国の慧眼(けいがん)を盛り込む」とする合意文を発表することでも一致した。一本化以上に安候補のビジョンを共有する「価値観の連帯」を目指す格好だ」
下線部は、「国民の力」と「国民の友」の両党合併を前提にしている。大統領選で尹氏が当選の場合、両党が政策づくりや人事を協議するという。この段階で揉めずにスムーズにいくかどうか。その点が懸念される。ただ、「価値観の連帯」という大きな目標を生かせば紛争も解決できるであろう。要は、尹氏と安氏がどこまで信頼感を深めていくか。それがポイントになる。両氏はその経歴から言って、生真面目な性格であり相手を騙す面は少なさそうに見える。これが、唯一の救いである。


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