ロシアは、欧米日から中央銀行資産を凍結された結果、極度のドル資金不足に見舞われている。外貨準備高6400億ドルのうち、半分以上が凍結されている計算だ。ロシア中銀は、すでに国債の利払いについて、外国人への支払いを止めたほか、ドル資金の対外送金もストップしている。
こうした中で、ロシアが可能なドル資金調達はIMF(国際通貨基金)から配分されているSDR(特別引出権)240億ドルを利用するか。また、中国との間で結ばれた通貨スワップ協定237億ドルの利用も話題に上がっている。金額的には、両方を足しても480億足らず。焼け石に水、程度であろう。
『ブルームバーグ』(3月3日付)は、「ロシアに残る戦費調達ルートは中国、IMFのSDRを人民元に換金も」と題する記事を掲載した。
ロシアは国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)240億ドル(約2兆800億円)相当を持つが、これを現金化する狭い道は中国当局にかかっている。ロシアはルーブルの下支えと戦費の資金源を模索する中でさらなる制約に直面する可能性がある。
(1)「IMFの全加盟国は国の経済規模にほぼ比例するSDRの配分を受け、こうした資産をIMFが「自由利用可能」だと見なす5通貨と交換できる。ドルとユーロ、ポンド、円、そして2016年に加わった中国人民元だ。最初の4通貨との交換の道は米国と英国、欧州連合(EU)、日本による厳しい対ロ制裁で事実上閉ざされた。このため、ロシアにとってハードカレンシー獲得で残るのは、制裁に加わっていない中国を介するルートだ」
ロシアのSDRは、ドル・ユーロ・ポンド・円が凍結されているので転換不可能である。よって、中国の人民元しか利用できない。
(2)「ただ中国でさえ、ロシアが主要国による制裁を迂回(うかい)するのを手助けすることに難色を示す可能性はあるとIMF元幹部のデービッド・アンドルーズ氏は指摘。現在ワシントンのシンクタンク、センター・フォー・グローバル・デベロップメント(CGD)のコンサルタントを務める同氏は、「中国が関与する用意がない限り、ロシアはSDRを基本的に抱えたままだ。中国がそうするインセンティブは見当たらない。制裁に参加しないことと、制裁にあからさまに違反することは別だ」と述べた」
中国は、米国の姿勢を最も気にしている。通常の発言では、強気を通しているが裏では全く別である。米国は、中国に対して「二次制裁」という言葉をちらつかせているのだ。
(3)「IMFの元職員で現在はコーネル大学教授(国際貿易政策)を務める中国アナリストのエスワール・プラサド氏は、中国人民銀行(中央銀行)がロシアからSDRの元への交換要請に応じたとしても、世界市場でのルーブル相場の防衛にはそうした取引の「効果は限られる」と予想。元はIMFが「自由利用可能」だと見なす先進国通貨ほど容易に売買できず、貿易での利便性は低いと指摘した。
ロシアへ配分されているSDRは、240億ドルである。この程度の金額が、ルーブル相場防衛にどれだけ役立つか疑問である。
『ブルームバーグ』(3月1日付)は、「ロシア、元建て資産やスワップ協定で制裁逃れも-中国の対応焦点」と題する記事を掲載した。
(4)「中国人民銀とロシア中銀は1500億元(約237億ドル)規模の通貨スワップ協定を結んでいるため、中ロ両国は企業の取引継続のため流動性を供給することができる。ロシアの銀行はまた、中国独自の国際決済システム「CIPS」に参加しており、これが国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークの代替にもなり得る。米欧はロシアの一部銀行をSWIFTのネットワークから排除することで合意した」
ロシアが、対中通貨スワップ協定を利用する可能性はあろう。ただ、この枠をさらに拡大するとなれば、米国から「二次制裁」で思い止まるような圧力は掛かる。
(5)「中国の大手国有銀行2行はロシアからの商品購入関連のファイナンスを制限し始めており、中国は今のところ慎重に対応している。ただ、中国企業によるロシアからのエネルギー製品などの輸入を支援するため、スワップ協定が利用されることはあり得る。深圳にある政府系のシンクタンク、綜合開発研究院の金融・現代産業研究所副所長を務める余凌曲氏は「ロシアの外貨準備における中国資産と人民元は、ロシアが米欧の制裁の影響をかわす有効な手段になり得る」と述べた。中国はそれらの制裁実施に参加しておらず、米欧はロシアが持つ中国系の準備資産へのアクセスを止めることはできない」


コメント
コメントする