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ウクライナの首都キエフに向かっていたロシア軍車両の行列が、燃料不足などの理由で進軍が事実上止まった、と英国放送「ITV」が2日(現地時間)、米国国防総省当局者の言葉を引用して報じた。報道によると、この当局者は「多くの事例を見ると、文字どおり燃料がなくなった」とし、「今や兵士に食べさせる食料まで底をつき始めている」と話した。韓国紙『中央日報』(3月4日付)が伝えている。

 

米国NBC放送は2月28日(現地時間)、プーチン大統領が「ウクライナでの戦闘状況を聞いて閣僚に対して激怒した」と、米情報当局者の言葉を引用して報じた。プーチン氏が激怒するほど、ウクライナ侵攻の作戦計画の遂行は遅れている。その原因は、燃料不足による物資輸送の遅れにあるという。

 

『中央日報』(3月4日付)は、「キエフに向かっていたロシア軍64キロメートルの列、燃料不足に進軍止まる」と題する記事を掲載した。


米国メディアは民間衛星写真分析に基づいて全長64キロメートルに達する車両の行列がキエフ都心まで27キロメートル手前まで接近したと先月28日、報じた。「装甲車・タンク・大砲・支援車両などで構成された行列は、キエフ包囲作戦と無差別砲撃に動員される可能性があると懸念されていた。

 

(1)「当局者は、「ここ24時間、ロシア軍がキエフに向かってほとんど前進することができなかった」とし、「長引く補給問題の結果ではないか」と話した。戦場で軍用車両の行列がこのように長々と並んでいるのは相手から空襲を受ける危険性が高くなる。英国もロシア軍のキエフ進軍が停滞したとし、同じような診断を下した。ベン・ウォレス英国防相はスカイニュースとのインタビューで「ロシアの侵攻が計画よりかなり遅れている状態」と話した。ウォレス氏はロシア軍に補給問題が持ち上がっている可能性が高く、ウクライナ軍の抵抗のため状況が悪化したと分析した」

 


ロシア軍の車列が止まっているのは、先頭車列がウクライナ軍の攻撃によるものだろう。故障したロシア軍のトラックを、ウクライナの農民がトラクターで引っ張る情景がSNSに投稿されている。また、高速道路上でウクライナ国民がデモをして、ロシア軍の車列を止めている光景も見られる。ここでは、「牧歌的」な戦場の姿が、映し出されている。大義のない戦争で、ロシア軍の士気が低下している結果と見られる。

一方、渋滞しているロシア軍の車列は、ウクライナ軍にとって空爆できる絶好のチャンスである。現実には、攻撃されていないのだ。

 

『中央日報』(3月4日付)は、「身動きできない64キロの露軍…ウクライナは攻撃しないのでなくできなかった」と題する記事を掲載した。

 

2月28日、ベラルーシから出発してキエフに向かっていたロシア軍の長い護送隊の行列が西側の人工衛星で確認され、1日にはこの行列が64キロメートルに達した。西側の分析家は数百のタンク・装甲車と1個師団(約1万5000人)の兵力がこの中に含まれていると予想した。

(2)「疑問なのは、ウクライナ軍が身動きできないロシア軍を攻撃せず、静かに見守っている点だ。米シンクタンク「外交政策研究所(FPRI)」の軍事専門家ロブ・リー氏は、「巨大な規模の護送隊は航空機による攻撃目標物だが、今回はそのようなことが起きなかった」とした。『フィナンシャル・タイムズ』(FT)は軍事専門家の言葉を引用して「ウクライナ軍は攻撃をしないのではなく、できないのだ」と3月2日、報じた」

 

ウクライナ軍が、渋滞する車列を攻撃しないのは、攻撃能力の問題で見送らざるを得ないと判断されている。首都防衛に備えて、貴重な武器を温存しているのであろうか。

 


(3)「ウクライナの軍事力は、全般的にロシアと著しい開きがある。特に空軍力が不足している。このためウクライナが残りの戦力を考慮して護送隊の打撃に出なかった可能性が提起される。ウクライナはトルコから輸入した偵察・攻撃用無人機「バイラクタル TB2」を運用中だ。TB2はこれまでロシア軍の地対空ミサイルを撃破して猛活躍した。だが、保有台数が非常に少ないため中途半端に投じることはできないという見解だ。FTによると、ウクライナはこの無人機を20機余り保有している」

 

ウクライナ軍は、トルコ製の偵察・攻撃用無人機「バイラクタル TB2」を保有している。トルコとの協定でウクライナでの製造も可能になった。トルコは最近、ロシア艦艇の海峡通過を停止すると発表し、ウクライナ寄り姿勢を強めている。トルコが、TB2供給を増やせば戦況の「局面転換」も可能となろう。

 

(4)「西側専門家は、「TB2の保有台数が小規模なのでウクライナ軍はTB2を広い範囲に投じようとはしないだろう」と分析した。また他の情報当局関係者は「TB2の場合、長期戦用としては実用性が落ちる」と話した。ウクライナ国防省は2日、「近く追加TB2無人機がトルコから引き渡されるだろう」と発表した」

 

TB2無人機は、これまでいくつかの他の戦線でめざましい戦果を上げている。ロシア製武器を打ち破っているのだ。こういう実績から見て、膠着している戦線を打開するには、TB2無人機の増加がカギを握っている。

 

(5)「軍事専門家は、ロシア空軍も当初の予想よりも力が出せていないと分析した。ロシア軍が2月24日の侵攻以降、現在まで制空権掌握に失敗したことがこれを物語っている。FTによると、ロシア軍がウクライナ国境周辺に300機余りの軍用機を配備したが、特に長距離攻撃機はほとんど投じていない。専門家はウクライナの防空網を確実に制圧できないロシア軍が戦闘機損失を懸念して出撃を遅らせていると伝えた。また、伝統的にロシアは地上軍と空軍の合同作戦がスムーズではなかった点も挙げられている

 

ロシア軍の弱点が、ウクライナ侵攻で露呈している。西側諸国は、ウクライナに強力な武器を供与し、作戦計画面で支援すれば「互角」の戦いが可能になるかも知れない。それに期待したい。