テイカカズラ
   

文政権は、ウクライナ支援において西側諸国で最後になった。韓国は、G7首脳会議に招待されたことで、自称「G8」と呼ぶほど鼻に掛けてきた。それにも関わらず、ウクライナ支援では最も遅れることになったのはなぜか。「親中ロ」外交路線が、災いしたものである。西側諸国が、こぞってウクライナ支援へ動いているにも関わらず、じっと様子見をしていたのだ。

 

『中央日報』(3月6日付)は、「『堂々としたG8』と自慢した文在寅政権ウクライナには毎回G7より遅かった」と題する記事を掲載した。

 

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、3月3日午後にウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談した。文大統領は「韓国は戦争を体験したため戦争の惨状をだれよりもよくわかる」としながら慰労と支持の意を伝えた。ゼレンスキー大統領は直後にツイッターで電話会談の事実を知らせ韓国に謝意を示した。どうしても遅い感があるのは事実だった。



(1)「文在寅政権は、任期内に先進7カ国(G7)に加え韓国がG8の地位に上がったと自評した。政府が自負した通り「G8」ならば、ウクライナ支援への動きはどうであったか。G7各国と比較してみよう。バイデン米大統領は言うまでもなく、ジョンソン英首相も数日間隔でゼレンスキー大統領と電話して共同対応を協議する。ゼレンスキー大統領は先月25日にはドイツのシュルツ首相、フランスのマクロン大統領、イタリアのドラギ首相と電話会談した。カナダのトルドー首相は先月27日にウクライナ首相と、2日にはゼレンスキー大統領と電話した。日本の岸田文雄首相は2月15日に続き28日にもゼレンスキー大統領と電話会談した」

 

文大統領は3月3日午後、初めてウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談した。G7各国が2月中に何回もゼレンスキー氏と電話会談しているのに、文氏はこれほど遅れたのだ。最初から、ウクライナ侵攻を深刻な事態と見ていなかったと言われても反論できないだろう。岸田首相は、2月中に2度も電話しているのだ。

 


(2)「文大統領とゼレンスキー大統領の電話会談の知らせに、うれしさより「いまごろ?」という反応が先に出てきた理由だ。ところがウクライナ情勢悪化以降の韓国政府の対応はほとんどがこのような形だ。どれも一歩ずつ、数日ずつ遅い。それも当然やるべきことをだ。そうしながらまるですごいことをやったかのように、成果のように発表する。ウクライナの戦況が毎日、いや数時間単位で変わる危急状況だが、こうした局面で一歩ずつ、数日ずつ遅れるのは国際社会が認識する韓国の地位と直結する問題であるためだ」

 

韓国は、西側諸国の動きから見れば明らかに鈍い。日本の植民地にされたと、ことあるごとに怒りをぶちまけ、賠償と謝罪を求める韓国が、ウクライナ侵攻では全く違う動きをした。明らかに、親中ロの外交路線が邪魔したと見られる。韓国の「本籍」は西側か、あるいは中ロ側なのか。韓国の本心が問われる局面である。

 

(3)「経済制裁もそうだ。今年初めから米国が主導する対ロシア制裁の時計は速く回転していた。ロシアがウクライナ東部地域に対する軍派遣命令を出した2月21日から米国が同盟と友邦を糾合して大々的な制裁に乗り出せたのもこのためだ。イランと北朝鮮には数年かかった強力な制裁が、わずか1週間でほとんど体制を整えたほどだ。韓国にも1月中旬ごろにすでに米国の制裁協議要請があった。だが韓国が参加の立場を明らかにしたのは2月24日だった。それも独自制裁はしないと線を引いてだ」

 

米国が、2月21日に同盟国と図り大々的な制裁を発表した。韓国は、これより3日遅れて制裁に参加する意思を示したが、独自制裁しないという「名ばかり」な制裁内容であった。

 

(4)「韓米同盟を外交の主軸とし、世界10位の経済規模を持った韓国としては「3日も」遅れたのだ。後続措置発表にはそれからさらに4日かかった。米国が半導体技術などの対ロシア輸出禁止と関連し、根拠となる海外直接製品規則(FDPR)で「制裁参加パートナー国」の場合には免除を適用するが当初韓国を除いたのもこのためだ。韓国はバイデン大統領が描く対ロシア制裁スクラム、その「信頼の輪」に入っていないのだ。米国は3月3日に免除国リストに韓国を含めることを決めた。「1週間も」遅れた」

韓国は、ウクライナ国民の苦しみへの連帯よりも、ロシアへの貿易を優先させていた。朝鮮戦争で北朝鮮の侵略を受けた韓国は、現在のウクライナと同じ辛酸な経験を強いられたのである。韓国は、この苦悩を共有する立場を捨てて、金儲けを優先させたのだ。

 


(5)「人道的支援はもっと早くやるべきだった。他国に大きな災害が発生したらすぐに決めるのが緊急人道的支援だ。
だがウクライナに対する韓国政府の人道的支援は2月28日に出てきた。規模は1000万ドルだった。もちろん通常の人道的支援規模より大きいのは事実だ。この日の夕方、岸田首相はゼレンスキー大統領と電話で会談し、1億ドル規模の借款提供に加え、さらに1億ドル相当の人道的支援を約束した。これをゼレンスキー大統領がツイッターを通じて直接発表し公式化した。岸田首相の2億ドルのダブル支援の前に韓国の一歩遅れた1000万ドル支援はすぐ関心から埋もれてしまった」

 

日本が、ウクライナへ2億ドルの人道的支援をしたのに対して、韓国は1000万ドルに止まった。この少ない金額こそ、ロシアへの気配りを示している。TPP(環太平洋経済連携協定)加盟では、中国に気遣いして原加盟国になり損なった。ウクライナ支援では、ロシアを気に掛ける。中ロの「衛星国気分」が抜けないのであろう。

 

(6)「最も残念な「失機」は、文大統領の三一節の記念演説だった。いまウクライナでは、農夫が体ひとつでロシアの戦車に駆け寄って進軍を防ぎ、子どもたちがロシア兵に向かって小さな手でこぶしを握りながら1日1日を耐え忍んでいる。こうした抵抗精神は1919年の三一運動で私たちの先祖が見せたまさにそれだ。だが文大統領の三一節記念演説に、ウクライナ国民に対する連帯のメッセージはなかった。三一運動に対し「非暴力の平和的な抵抗が新しい時代を開くことができることを見せた。独立の叫びは鴨緑江を渡って太平洋を越え全世界に鳴り響いた」としながらも、これをウクライナ国民の抵抗と連結できなかった」

 

三一節(日本への抵抗運動)記念演説では、日本への批判を言葉にする。その抵抗精神は当然、ウクライナ国民のロシアへの抵抗精神に繋がる筈である。それが、見られないのだ。韓国の抵抗運動は、日本だけに向けられたものであり、人類普遍でないことを端なくも示している。日本を憎むが、ロシアの蛮行は半ば容認という片手落ちの「抵抗運動論」である。