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ロシア軍は、世界注視の下でウクライナ戦争を仕掛けたが、その戦法や装備について軍事専門家に「丸裸」にされて嘲笑の対象だ。余りにも、旧式の装備と拙い戦い方だという批判である。開戦当初の電撃作戦で、簡単に首都キエフを陥落させられるという前提に立ち、補給問題が二の次になっていたと指摘されている。

米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月4日付)は、「ロシア軍の急所、ウクライナで補給なぜ後手に」と題する記事を掲載した。

 

ロシア軍はこれまでウクライナの強力な抵抗に遭い、深刻な打撃を受けている。前線の裏では、後方支援の不備という目立たない失敗がロシアの侵攻計画を決定的に狂わせた。西側の情報当局はこれまでの戦況をこう分析している。後方支援とは部隊の生命維持や行動、通信、戦闘を可能にするもので、2月24日の侵攻開始からわずか数日で、ロシアがここに弱みを抱えていることが露呈した。西側の当局者や軍事専門家らは、侵攻から数週間たっても、ロシアはぜい弱さを克服できていないと話している。

 


(1)「専門家らは現場の戦況は正確に把握できていないとしながらも、検証されたソーシャルメディアの投稿動画や民間の衛星画像などから、ロシアの後方支援のまずさは明白だと話している。こうしたソーシャルメディア投稿では、立ち往生する車列や破壊された戦車が映っている。ロシア軍は燃料や弾薬に加え、前線で戦う兵士の食料や衣類の確保にも苦戦している。米国防総省のジョン・カービー報道官は3月下旬、「ロシアが今も補給や維持をきちんと計画できていない兆候が見受けられる」とし、「ロシア軍がなお部隊全般で燃料に問題を抱え、食料確保に苦戦していることが分かっている」と述べた。

 

戦争は、兵站(物資の補給)が勝負とされている。ロシア軍は、ウクライナで完全に失敗した。長期戦になる想定をしないで開戦した結果だ。

 

(2)「ロシアは陸・空・海軍を総動員し、多方面から複雑な攻撃を仕掛けることでウクライナへの侵攻を開始。ところが、ロシア軍はすぐに失速した。国際戦略研究所(IISS)のベン・バリー上級研究員(地上戦専門)は、今回のウクライナ侵攻では、推定17万人余りのロシア兵が約130の大隊戦術群(BTG)に編成されて配備された。米国や同盟国がイラクに侵攻した2003年、同程度の米兵が派遣されたが、大隊戦術群の数は50足らずだった。米国は燃料や弾薬、水、食料の輸送や補給に兵力の大部分を割いているため、こうした差が生じるという」

 

ロシア軍は今回、推定17万人余りのロシア兵を派遣。約130の大隊戦術群(BTG)に編成された。米軍では同規模の派遣であれば、約50のBTGになるという。燃料や弾薬、水、食料の輸送や補給に兵力の大部分を割くためだ。太平洋戦争で、米軍の最前線ではコーヒーやガムを兵士に配っていた。日本兵の場合とは、全く状況が異なるのを知って目を丸くした。ロシア軍も、旧日本軍と同じ前近代的なところがある。

 


(3)「ロシアの軍事作戦の複雑さがさらに後方支援の問題を増幅させた。ロシアは当初、空挺(くうてい)部隊がキエフに電光石火の攻撃を仕掛け、何ら抵抗を受けることなく素早くゼレンスキー政権を崩壊させるとのシナリオを想定していた。外部専門家の間でも、こうした当初の計画に入念な補給線は必要ないとの声が多かった。ランド研究所の防衛アナリスト、スコット・ボストン氏は「持続的な軍事作戦にほぼ全く備えがない状態」でロシア軍は侵攻したと話す。開戦から3日目で燃料切れに見舞われる部隊も出ていた」

 

ロシア軍の頭では、隣国を攻めるのだから「補給問題」を重要視しなかったのだろう。これが、大きな躓きの原因になっている。

 


(4)「ウクライナに投入されているロシア製戦車は総じて西側の戦車よりも重量は軽いが、燃費が悪く、戦闘可能な状況に維持しておくことは難易度が格段に上がる。速度や地形にもよるが、戦車は大量の燃料を消費する。ボストン氏のおおまかな試算によると、ウクライナでの戦闘で主要な役割を果たしているT72B戦車は待機状態で1時間当たり5.8ガロン(約22リットル)のガソリンを消費し、走行中は1ガロン当たりの航続距離が1マイル(約1.6キロ)かそれを大きく下回る水準だ」

 

ロシア製戦車は燃費が悪いという。走行中は1ガロン(3.78リットル)当たりの航続距離が1マイル(約1.6キロ)かそれを大きく下回るという。ガソリンのガブ飲みである。

 

(5)「ロシアは短期決戦の目算が狂ったことで、大砲の導入という旧来の手法に切り替えた。ロシア軍の砲撃は大半が無誘導兵器を使っており、都市部の攻撃で用いれば、必ずしも有益な戦略目標を達成することなく、多くの犠牲者を出すことになる。ボストン氏は、ロシアが無誘導兵器に依存することはコスト的には安いが、後方支援には多大な圧力がかかると指摘する。「同じ効果を得るのに(精密誘導型では)1発で済むところが、無誘導では60発必要な可能性がある。これは持続の観点から、困難を極めることは明らかだ」また「非常に危険でもあり、弾薬を満載したロシア軍の車両を攻撃すれば、爆発を起こす」という」

 

ロシアは、戦車での戦いに失敗したので、昔流の大砲での攻撃に切り変えた。だが、その砲弾は無誘導弾であることから、目標物に当らず被害を拡大している。精密誘導型では1発で済むところが、無誘導弾では60発も必要になる。ロシア軍は、高価な精密誘導弾を撃ち込んで、プーチン氏に叱られたという報道があった。コスト面で、無誘導弾を撃ち込んでいるのであれば、ウクライナ軍は米国からの誘導弾供与で、一挙に勝機が高まるであろう。