テイカカズラ
   

経済制裁は、確実に効果を現している。西側企業のロシア撤退で即、失業という事態が起こっているのだ。労働者には,何の罪があるわけでない。すべては、プーチン氏の個人的な怨恨で始まったウクライナ侵略が、ことの始まりである。

 

『ロイター』(4月17日付)は、「『西側制裁で失業』、ロシア労働者の新たな現実」と題する記事を掲載した。

 

(1)「西側のロシア制裁によって同国経済は急降下しており、インフレ率は2桁台、成長率はマイナス2桁台に陥る見通しだ。戦略研究センター(モスクワ)は、ロシアの失業者数が年末までに最大200万人増えると予想している。最悪の場合、失業率は2月水準の2倍の8%に近づく恐れがあるという。「ロシアは国際金融システムから強制的に追い出された。従って経済の構造全体が変わるだろう」と言うのは、オックスフォード・エコノミクスのタチアナ・オルロバ氏だ。「外資系企業と銀行の撤退に伴い、ホワイトカラーの失業が増えていくだろう。だが低賃金労働者を雇っていた小売りなどのセクターからも企業は撤退している」という」

 

ロシアの失業者は、年末までに最大200万人、8%の失業率に近づく危険性がある。外資系企業と銀行の撤退に伴い、ホワイトカラーの失業が増えていく見通しである。

 


(2)「米エール大経営大学院の調べでは、侵攻以降にロシア撤退を発表した企業は600社を超える。もっとも多くの企業は、数カ月間は給与の支払いを続ける方針だ。西側企業によるロシア国内の雇用者数は、米マクドナルドが6万人余り、仏自動車大手ルノーが4万5000人、スウェーデンの家具大手イケアが1万5000人に上っていた。オルロバ氏は、西側企業の撤退により100万人近くの雇用が直接失われると試算している」

 

ロシア撤退を発表した西側企業は、すでに600社を超える。これにより、100万人近い失業者が出そうだ。年末までに最大200万人に失業者が予想されるが、この半分は西側企業の解雇者が占めそうだ。

 


(3)「西側がロシアからの輸入禁止に踏み込んだ場合、鉱業・石油企業は人員解雇を迫られるかもしれないとオルロバ氏は述べた。オンラインの人材採用プラットフォーム、ヘッドハンターを見ると、4月10日までの1週間の求職者数は、2月24日までの1週間に比べて約1割増えている。これに対し、求人件数は25%余り減少した。波紋は大きく広がっている。西側の制裁によって旅行が途絶えたため、モスクワのシェレメチエボ空港は3月、スタッフの2割を一時帰休とした。ロシアのサービスセクターは3月、約2年ぶりの急激な縮小ぶりを示し、就業者数は2020年6月以来最も大幅に減少した。世界銀行は、全体で260万人が今年、ロシアの公式な貧困ラインを下回る可能性があると推計している」

 

サービス部門が、急激な縮小過程に入っている。世界銀行の推計では260万人が貧困ラインを下回りかねないと見ている。一般的な貧困ラインとは、可処分所得の中央値の半分(貧困ライン)に満たない状態をいう。

 


(4)「モスクワ近辺で美容師をしているアレフティナさん(25)は、3月は常連客の1割以上から予約が入らなかったと語る。このため、平均10万ルーブルだった月収が1万5000ルーブル(185ドル、約2万3000円)削られてしまった。「私のお客さんは毎月減っていくのだろう。仕事がなくなったから美容代を節約している、という不満を耳にする」という」

 

美容室へ予約する客が、3月には1割以上減ったという。街の景気悪化のシグナルである。

 

(5)「ロイター調査によると、ロシアの対外(貿易)収支黒字は今年、エネルギー収入を支えに2330億ドルと、前年の約2倍に膨らむ見通しだ。このため当局は失業給付の支払いを維持できるかもしれない。しかし、オックスフォード・エコノミクスのオルロバ氏は、ロシア経済は1998年や2008年よりも深刻なリセッション(景気後退)に陥ると予想。しかも、例えば制裁によってロシア企業が投資に必要な外国の技術や設備にアクセスできなくなるなど、長期的な影響も伴いそうだという」

 

今年の貿易収支の黒字は、エネルギー高騰によって昨年の約2倍になるので、失業給付金を賄える見通しという。だが、今年は深刻な不況突入が不可避で、マイナス10~同15%の落込みが見込まれる。また、制裁によって外国の技術や設備補修が不可能になるので、来年以降の景気もマイナス状況の停滞が続く。

 


(6)「オルロバ氏のモデルでは、ロシアは生産性も貿易相手諸国に比べて低下する見通しとなっている。その一因は、ロシアで有望視されていたITセクターが打撃を被りそうなことだ。ハイヤー・スクール・オブ・エコノミクスによると、ロシアのITセクターは、2019年までの6年間に経済価値が倍増し、同年末時点で国内総生産(GDP)の1.2%を占めていた。しかしウクライナ侵攻以来、10万人を超えるIT専門家がロシアを脱出したとロシア電子通信協会は推計している」

 

ロシア経済を下支えする筈のIT技術者が、相次いで出国している。プーチン氏の侵略戦争に反対している結果だ。肝心のIT人材が減れば、ロシア産業の改革はストップする。

 

(7)「コロナ禍中に西側諸国の失業率が2桁台に上昇する一方で、ロシアの失業率が6.5%を超えなかったのには、同国特有の要因もある。国営企業がしばしば人員解雇よりも賃金カットを選ぶことが、その1つだ。もう1つの要因として、高齢化が進んでいるため、非熟練労働を中心に人手不足の穴埋めを近隣諸国からの出稼ぎ労働者に頼る傾向が強まっているという事情がある。世界銀行によると、ロシアでは65歳以上の人口の割合が世界平均の9%の2倍程度に上る。つまりロシアで雇用が失われると、旧ソ連諸国に影響が広がり始めるだろう。キルギス民族離散会議(モスクワ)の代表、クバニチベク・オスマナリエフ氏は「どこもかしこも人員削減で、ルーブルは下落し、給料を支払われていない人々もいる」と嘆く」

 

ロシアへ出稼ぎに来ている旧ソ連領の人たちには、失業問題が深刻である。帰国しても仕事はなく、帰るに帰れない状況が起こっている。