韓国政治が「面白い」。国会議席の6割を占める前政権与党「共に民主党」が、野党に転落したことの鬱憤も手伝い、首相選出を拒んでいるのだ。前大統領は、「韓国は先進国になった」と自画自賛していたが、今の国会の惨状を眺めると、とても先進国とは言えない状況である。
首相候補の韓氏は、進歩派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で首相を務めた人物である。「共に民主党」にとって、縁が深いはずだが拒否している。その理由は、顧問として勤務した企業から高い給与を得ていたからけしからん、というもの。元首相であれば、その経験や知見に見合った給与になったであろう。これにイチャモンをつけて政治の渋滞を招いているのだ。
『日本経済新聞 電子版』(5月12日付)は、「ねじれ議会で無力な与党 韓国、首相人事のメド立たず」と題する記事を掲載した。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が就任する前日の9日、国会は緊迫していた。尹氏が最も信頼する側近の検事、韓東勲(ハン・ドンフン)法相候補の聴聞会が開かれたからだ。韓氏は革新系の「共に民主党」議員と、検察改革を巡り応酬を繰り広げた。4月末に同党が強行採決した検察改革関連法を「検察捜査権の剝奪法は国民の懸念が大きい」と韓氏が批判すると、同党の議員は「国会を侮辱した。謝罪せよ」と反発した。
(1)「共に民主党は韓氏の就任を阻むため、家族のスキャンダルなどを追及しようと粘った。9日午前10時に始まった聴聞会が終わったのは、翌10日の午前3時半。日付がかわり、与党だった共に民主党は野党になった。与野党が入れ替わっても、国会の主導権は過半の議席を占める同党が持ち続ける。数の力を武器に新政権への非協力的な姿勢を貫く野党に、保守系の少数与党「国民の力」は無力だ。首相候補である韓悳洙(ハン・ドクス)氏の国会同意はめどが立たない」
法務部長官(法務大臣)候補の韓氏は、検事出身であるが、文政権によって6回も左遷させられた「被害者」である。その韓氏が法務部長官になれば、「共に民主党」を弾圧するのでないかと恐れている。そこで、高校生である娘の成績や学業を調べて因縁をつけているもの。日本では考えられないことを行なっている。
(2)「政権発足当初からの激しい衝突の背景には、6月1日に4年ぶりの統一地方選の投開票が控えていることがある。2018年は、当時野党だった保守系の「自由韓国党」が大敗した。17の広域自治体の首長選で、保守系候補は2人しか当選しなかった。政権を奪還したとはいえ保守系に余裕はない。大統領選は0.73ポイントの僅差で競り勝ったにすぎず、尹大統領の支持率は発足当初から低迷している」
6月1日の統一地方選の結果が出れば、国会状況に変化がでるであろう。首相問題は、与党勝利となれば野党が妥協する。逆の結果になれば、与党が折れて首相候補を変えることになろう。それまでは、現在の混迷状況がつづくものと見られる。
(3)「焦点は首都圏の与野党対決だ。ソウル市長選は21年の補欠選挙を制した国民の力の現職、呉世勲(オ・セフン)氏と、共に民主党前代表の宋永吉(ソン・ヨンギル)氏が争う。近郊の京畿道知事選でも両党の候補がぶつかる。同じ日に投開票される国会議員の補欠選挙には、与野党で存在感を示した2人が出馬する。大統領選で共に民主党の候補だった李在明(イ・ジェミョン)氏や、尹氏との候補一本化に応じた安哲秀(アン・チョルス)氏が別々の選挙区で名乗りを上げた」
ソウル市長選は、現職(与党出身)と前「共に民主党」代表の一騎打ちである。今回の大統領選では、現大統領が圧勝している。それだけに、現職有利と見られるがどうなるか。
(4)「与党は初陣を飾り、新政権の運営に勢いをつけたいところだ。もし負ければ野党が反政権の姿勢を強め、人事や政策にことごとく反対し続ける可能性が高い。「多数の力で相手の意見を抑圧する反知性主義が民主主義を危機に陥れている」。尹氏は10日の就任式での演説で、野党へのけん制を込めた。少なくとも24年4月の国会議員総選挙までは、尹氏は政府と議会の「ねじれ」に悩まされることになる」
国会の「ねじれ現象」は、24年4月の総選挙まで続く。尹政権は、野党との妥協を強いられる国会運営となる。野党が、これに協力しなければ、韓国は深刻な対立を孕んだまま、衰退過程を歩むほかない。今、その岐路に立っているのだ。


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