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中国GDPの3割を稼ぎ出す住宅販売が、ゼロコロナ政策とバブル崩壊の挟撃にあって不振の極にあえいでいる。中国の住宅販売上位企業で構成するCRICリーディング中国本土不動産株価指数は、不動産大手の中国恒大集団が部分的な債務不履行(デフォルト)と認定された昨年12月上旬以降、これまで2割も下落している。

 

5月も24日までで7%下げ、ピークだった2020年初との比較ではほぼ半値になっている。個別銘柄をみても業界最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は25日終値が昨年末比で29%安く、2位の万科企業は同8%下げである。

 

不動産株価指数が、昨年12月上旬以降で2割も下落していることは当然、中国経済の足を大きく引っ張る要因になっている。以上の不動産株の推移は、『日本経済新聞 電子版』(5月25日付)から引用した。

 


ブルームバーグ(5月25日付)がまとめた、中国のエコノミスト予測の予測平均値は、5月に入って「釣瓶落とし」状態である。

1月1日 5.2%

2月1日 5.1%

3月1日 5.0%

4月1日 4.9%

5月1日 4.5%

 

『ブルームバーグ』(5月25日付)は、「今年の中国のGDP成長率目標、未達ほぼ確実-『ゼロコロナ』堅持で」と題する記事を掲載した。

 

中国の「ゼロコロナ」戦略堅持は、2022年の経済成長率が5.5%前後という政府目標を大きく下回ることがほぼ確実であることを意味している。

 


(1)「ブルームバーグの最新エコノミスト調査によれば、中国の国内総生産(GDP)は今年、前年比4.5%増(予想中央値)となる見込み。約30年前に成長率目標を設定し始めた中国政府が目標未達を認めたのは一度だけだ。1998年は目標をわずか0.2ポイント下回った。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった2020年は、成長率目標を定めなかった」

 

中国政府は、これまで目標とする経済成長率達成に大きな努力をはらってきた。これにより、中国共産党の正統性を国民に訴える根拠にしてきたもの。今年については、もはや成長率達成に拘る余裕もなくなっているようだ。ただ、習氏が米国のGDPに負けるなと檄を飛ばしたという話が伝わっているので、完全に「5.5%成長率目標」を忘れているとも思えない。

 


(2)「中国が年央に成長率目標を調整したことはないため、そうした選択肢があるのか、あるとしてもどのようなプロセスで調整されるのかは分からない。エコノミストらは、雇用の維持・創出が優先課題とされ、成長率目標はひっそりと扱われることになる公算が大きいとみている。共産党の習近平総書記(国家主席)は、厳しいロックダウン(都市封鎖)を含め、徹底的にコロナ感染を抑え込む戦略を変えていないが、習総書記の下で党が昨年採択した歴史決議にはGDPはもはや「唯一の成功基準ではない」と記されている」

 

中国が、年央に経済成長率の見直しをする例がないので、今年それを行なうこともないであろう。問題は、今年の大卒が大学院卒や留学生帰国組を含めると、約1100万人が雇用先を探している。この人たちにどのように職場を与えるかが現在、最大の関心事になっている。昨年採択した歴史決議では、GDPがもはや「唯一の成功基準でない」と記されている。それは事実だが、経済発展を図る尺度として必要不可欠なものだ。

 

過去、中国はGDP統計をねつ造してきた。それが、「必要でない」という意味であるならば納得するが、「低成長」を注目点から逸らす意味では賛成しかねる話である。

 


(3)「政府は、今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、22年の成長率目標を発表した。それ以後、ほとんどこの目標には触れていない。その代わり、政府当局者が最近繰り返し強調するのが雇用の安定だ。コロナ関連の規制で人々が働くことができないとしても、政府は企業に補助金を支給することで雇用の維持を働き掛け、失業率を目標の5.5%未満に抑えることは可能だ」

 

同じ「5.5%未満」でも、こちらは失業率目標である。GDPの5.5%未満達成は不可能だが、失業率はこの範囲内に抑えたいとしている。だが、不可能な話である。経済成長率が,目標を達成できないで、失業率だけ目標内に抑えることなど「手品」の世界である。