a0960_004876_m
   

韓国が、新政権になった途端に氷が少しずつ溶ける前兆を見せ始めた。旧徴用工賠償問題は、韓国国内で処理する案が有力になってきた、と次期日本大使候補の朴氏が発言した。

 

これは、韓国の前国会議長の文氏が提案し、超党派による法案であった。だが、文前大統領が乗り気でなく結局、実現しないで終わった。韓国側は、事前に日本とも打合せし、内々で了解したものであった。文氏は、またとない解決チャンスを自ら捨てたのだ。理由は、「日本は加害者、韓国が被害者」という原則論から一歩も出られなかったことにある。「書生」文在寅の限界である。

 


旧徴用工賠償問題は、日韓基本条約で解決済みである。無償供与3億ドルに徴用工賠償が含まれていった。ただ、「賠償金」名目でなく、「経済協力金」であったことで、韓国大法院(最高裁)は賠償金と認めず、新たな賠償命令を出すという「三百代言」的な判決である。文氏が圧力をかけた疑いの濃厚な判決であった。

 

『中央日報』(5月27日付)は、「駐日韓国大使に内定の尹徳敏氏『強制徴用、韓国政府が代わりに弁済するのも方法』」と題する記事を掲載した。

 

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権初の駐日大使に内定している元国立外交院長の尹徳敏(ユン・ドクミン)氏(63)は、韓国政府が日本と長い間対立してきた強制動員問題に関連して、被害者に「代位弁済」をする方案を解決策として言及した。

 

尹氏は26日、東京帝国ホテルで開かれた国際交流会議「アジアの未来」にテレビ画像を通じて出席し、約30分にわたって講演した。今年で27回目を迎える「アジアの未来」は、日本経済新聞が主催し、中央日報などがメディアパートナーとして参加している行事だ。

 


(1)「講演後の質疑応答の時間に、尹氏は「強制徴用現金化問題に対して、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は現金化を望まないとの発言をしたが、尹錫悦政府はどのように見ているか」という質問を受けた。尹氏は「残念に考えている」としながら「文前大統領がもう少し早くそうおっしゃって、両国関係の悪化を放置していなければという気持ちがある」と述べた。続いて「尹錫悦政府は韓日関係のこれ以上の悪化を放置しない」としながら「最近数年間、さまざまな解決案が出てきたが、実行しなかっただけ」と説明した」

 

文前大統領は、旧徴用工賠償問題で日本政府が話合いたいと申入れても、すべて無視するという外交的欠礼をした。その高い代償として、日本が韓国を「ホワイト国」(一括した輸出手続き)から外して、輸出1件ごとに申請させる制度に切換えた。誠意のない韓国へ「ホワイト国」として礼遇する必要がなくなったからだ。韓国は、これに激怒して「反日不買運動」という実力行使に出てきたのである。

 


こうして、日韓が感情的に激昂した旧徴用工賠償問題は結局、韓国が国内で賠償金を払うしか道がなくなった。韓国では、まだ「謝罪」が第一と言う関係者もいるほど。だが、「謝罪」の「謝」の字でも出れば、そこで日韓の話合いはストップするはずだ。米つきバッタのように、謝罪の繰り返しはあり得ない。国家の謝罪は一度だけ。これですら、外交的には珍しいケースである。日本は、その珍しい謝罪を何度もしてきたのだ。

 

(2)「尹氏が個人意見であることを前提に、解決方案の一つとして言及したのが韓国政府の代位弁済だ。裁判所の判決により日本企業が強制動員被害者に賠償するようになっているが、これを韓国政府が代わりに返済する案だ。尹氏はまた、1965年韓日請求権協定に関連した企業が自律的に参加する財団を作り、賠償を支援する方法も紹介した。該当の財団に日本企業が参加するアイデアも付け加えたが、尹氏は「問題解決のためには日本との協力が必要で、相当な時間がかかるだろう」と述べた」

 

惜しむらくは、韓国大法院が国際法に則った判決をしなかったことである。国際間では、条約が先行しており、司法が介入できないルールになっている。つまり、韓国司法は、日韓基本条約についての判断をしてはならなかったのだ。そのタブーにはまり込んで現在、四苦八苦している。韓国下級裁判所では、大法院と異なる判決を続出させている。このことが、旧徴用工判決がいかに国際的に間違っていたかを示している。

 


(3)「日本と葛藤しているもう一つの歴史問題、慰安婦問題に対しても遺憾を表した。2015年慰安婦合意に関連して「問題に対する責任がある日本側で、その後『お金ですべての問題が終わった』というような発言が出てきたことから世論が大きく悪化して状況が変わった」と説明した。補償と謝罪は被害者の名誉回復と治癒のための過程の一環にすぎないのに、日本側が補償ですべてのことが終わったと考えることが問題だったという解釈だ」

このパラグラフは、事実と間違ったことを主張している。文前大統領が、日韓慰安婦合意を破棄したのは、外交部(外務省)が、被害者や関係者の意向を聞かずに独断で日本と合意したから無効という理屈である。だが、26日に外交部文書の一部が公開されて、これが全くの噓であったことが判明した。「問題に対する責任がある日本側で、その後『お金(注:賠償金)ですべての問題が終わった』というような発言が出た」ことが原因とすり替えている。

 

文前大統領は、選挙公約で日韓慰安婦合意の破棄を主張していた。事実を曲げて、日本に責任があるような論法には、とうてい承服できないのだ。外交部の文書が、雄弁に韓国側の悪意を証明している。