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韓国の国民性は、「感情8割・理性2割」と言われている。頭で考えず、ハートで解釈するパターンである。韓国は新政権に移行し、日韓問題を捉える視点が「理性」のウエイト増大を望みたい。だが、韓国メディアは依然として「感情8割」のままである。

 

『朝鮮日報』(5月28日付)は、「関係改善は日本からのプレゼントなのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の成好哲(ソン・ホチョル)東京特派員である。

 

日本の読売新聞は26日、「韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が日本との関係改善に向け動き出した」「最大の鍵は徴用工問題で日本が納得できる解決策を尹政権が提示できるかにかかっている」と報じた。同じ日に産経新聞は、「岸田文雄首相は米日首脳会談の際、米国のバイデン大統領に徴用工と慰安婦問題について、これまで韓国が両国の合意を無視した経緯を説明した」と報じた。

 


(1)「日本は本音と建前が異なる国だ。岸田首相は1カ月前に「日韓関係改善をこれ以上先送りできない」とメディアの前で語っていたが、これを日本式の話法から解釈すれば「関係改善は何としても必要(建前)だが、韓日関係悪化の責任は韓国にあるので、韓国が徴用工問題や慰安婦問題の解決策を持ってこい(本音)」ということだ」

 

どこの国でも、「本音」と「建前」がある。韓国は、「本音」だけで日韓関係を処理しようとするから、日本と衝突するのだ。外交関係は、「建前」=国際法が原則である。これだけでは、ギスギスするので「本音」を加味して、紛争における「落としどころ」=妥協点を探し出すものだろう。韓国には、こういう外交の微妙な点が理解できずにいる珍しい国である。

 


(2)「岸田首相としてはそう考えるのも当然だ。岸田首相は2015年、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権と慰安婦問題で合意する際の実務担当(外相)だった。次の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が国家間の合意を一方的に無視し、反日感情を政治に悪用したとする日本側の主張には一理がある。徴用工への賠償問題も日本なりの論理がある。1965年の韓日協定で解決したにもかかわらず、韓国の裁判所が突然日本企業に賠償を命じる判決を出したというわけだ。条約当事国の韓国政府が動いてほしいという要請はおかしなものではない」

 

旧徴用工賠償は、国際法に従えば1965年の日韓基本条約で解決済みである。韓国大法院の判決は、司法が行政の取り決めた条約に介入した点で間違いである。「後進国判決」と揶揄されて当然である。国際的慣例に反するのだ。

 


(3)「しかし1週間前に東京で取材した市民活動家のアリミツ氏は首をかしげた。アリミツ氏は、「結局は日本が加害者で、韓国は被害者ではないか」「謝罪し許す過程で問題がややこしくなり、その原因を韓国政府が提供したとしても、突然韓国が加害者になるのか」と反問した。裁判・条約・求償権・合意・反日などの言葉を横に置いて見た場合、日本が韓国に対して「先に解決策を提示せよ」と求めている状況の方が問題という指摘だ」

 

このパラグラフは、韓国人の「感情8割・理性2割」の典型的な内容である。「市民活動家のアリミツ氏」なる人物を登場させて、「感情論100%」を爆発させている。外交関係は、「建前」=国際法のルールに従っている。韓国は、「本音」=反日で対抗してくるから、日本の「建前」に押し返されているのだ。過去の解決済みの問題を蒸返し、「謝罪」と「賠償」を要求するのは、感情論そのものである。韓国政府は、日本が渡した「3億ドル」(1965年)が生み出したその後の利益から払うべき問題である。

 


(4)「北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、中国が軍事力を誇示する今の状況では、民主主義の価値を共有する韓国と日本が関係を正常化すべきである点は正しい。ただし関係改善は両国の双方にとっての利益であり、日本が韓国に与えるプレゼントにはなり得ない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は就任したその日、中国の王岐山・国家副主席よりも先に、就任式に出席した日本の林芳正外相と会った。日本を中国よりも礼遇したのだ。韓国外交部(省に相当)は「来月東京で外相会談を」「両国首脳による会談の早期実現を」と呼びかけているが、日本は腕組みするだけだ」

 

韓国が、新大統領就任式で中国代表より先に日本代表と会談したことは、日本への「プレゼント」と言っている。従来は、米国の次が日本であった。この順番が狂ったのは反日の結果である。これは、帰するところ韓国の安全保障にとって、日本と中国どちらが大切かという問題であろう。中国は、韓国を守るどころか「敵方」に回るリスクを抱えている国である。そういう、潜在的な地政学的リスクを考えるのが、マスコミの仕事の筈である。韓国のマスコミは、もっとしっかりすべきなのだ。

 

(5)「1カ月前に鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会副議長は岸田首相に会い「孤掌難鳴(こしょうなんめい)」という言葉を使った。「片手の掌だけでは拍手ができない」という意味だ。バイデン大統領に韓国の前政権による過ちを告げ口するような情熱を傾ける前に、まず韓国と直接会っても良いのではないのか。それをしないのであれば、7月に予定されている参議院選挙で「反韓感情を政治に悪用するのでは」と疑われるかもしれない

 

日本は一度、韓国を「なきもの」として突き放した。文政権時代の韓国とは、とてもまともな外交ができないと断念したのである。日本にとっての韓国は、安全保障上「必須」の存在でなくなっている。韓国こそ、北朝鮮問題を抱えて日本の支援を仰がなければならない立場である。在韓米軍の後方基地は、すべて日本に存在している。それだけ、日本国民の負担がかかっているのだ。韓国には、そういう日本への配慮がゼロで反日に突き進んできた。日本が怒るのは当然である。

 

下線部は、お門違いの議論である。韓国問題が、参院選の争点でないからだ。「謙韓」が多数派である以上、あえて韓国問題をとり上げる必要性はないであろう。