ASEAN(東南アジア諸国連合)は、中国と貿易関係が密接であるため、これまで中国の横暴に我慢させられてきた。ところが、IPEF(インド太平洋経済枠組)効果で、フィリピンとインドネシアは堂々と自国の国益を主張するようになっている。米国が、後ろ盾になっていることで、勇気を持ち始めたのだろう。横暴な中国へ対抗するには、米国を後ろ盾にして「団結」することだ。その見本のような話が、持ち上がっている。
『日本経済新聞 電子版』(5月30日付)は、「フィリピン次期大統領『南シナ海重視の姿勢』中国けん制」と題する記事を掲載した。
フィリピンのフェルディナンド・マルコス次期大統領が、南シナ海の領有権問題で中国に譲歩しない姿勢をアピールし始めた。経済関係を重視してきたドゥテルテ現政権の対中融和路線を修正する可能性がある。海軍も南シナ海に面する新たな基地の利用を始め、中国へのけん制を強めている。
(1)「6月末に大統領に就くマルコス氏は、26日にフェイスブックで公開したメディア取材の映像の中で、海洋権益について「中国に対して断固として(立場を)伝えていく」と明言した。5月上旬に投開票した大統領選後に外交や安全保障の方針に言及したのは初めてだ。マルコス氏は国家の主権や領有権に「交渉の余地はない」と強調し、中国による一方的な領有権の主張に厳しい姿勢で臨む構えを示した。中国は南シナ海の実効支配を強めている。2021年にはフィリピンが排他的経済水域(EEZ)と主張する海域に自国船を停泊し続けたほか、中国海警局の船がフィリピン船に放水銃を撃つ事案も発生した」
フィリピンは、たびたび中国と摩擦を引き起している。中国からの軍事的圧力が原因だ。米国の同盟国でもあり、今後は密着化の傾向をみせている。日本との関係も強化しており、先に外務・防衛の「2プラス2」会合を持った。自衛隊とフィリピン軍の関連強化も検討課題に挙がっている。フィリピンが、日本に対して積極姿勢である。
(2)「2016年に国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海での中国の領有権主張を否定する判決を下した。マルコス氏は「領有権を主張し続けるために(判決結果を)使用する」と語った。ドゥテルテ大統領は同判決を巡り「本当の意味で仲裁というものはない」と話し、融和的な対中姿勢を維持してきた。マルコス氏は、ドゥテルテ氏の方針を踏襲するとみられてきたが、今回の映像を通じて、現政権より領有権問題を重視する姿勢を打ち出した格好だ」
フィリピンは、中国の南シナ海の不法占拠を常設仲裁裁判所へ訴え勝訴した。ドゥテルテ大統領は、この判決を理由にして中国へ撤退を迫ることはなかった。引き替えに、中国からの経済支援を要請したが、すべて空手形に終っている。中国に騙された格好だ。次期マルコス政権は、「勝訴」を理由に中国へ強気姿勢で臨むのであろう。
(3)「フィリピン海軍も、マルコス政権の発足をまたずに動き始めた。海軍は25日、北部ルソン島サンバレス州のスービック湾で新たな基地の運用を始めたと発表した。同湾は南シナ海に面し、1992年まで域内で最大規模の米軍基地があったことで知られる。新たな基地は約100万平方メートルを有し、中国が実効支配するスカボロー礁(中国名・黄岩島)に近い。南シナ海に自国艦船を出航しやすい新基地で、「海軍の海洋業務を拡大する」としており、中国の軍事活動をけん制する狙いだ」
フィリピン海軍も、スービック湾で新たな基地の運用を始めた。米海軍基地が、1992年まで置かれた場所だ。フィリピン海軍は、ここを起点にして中国の軍事活動をけん制する。
『日本経済新聞』(5月30日付)は、「南シナ海離島を経済特区に、インドネシア政府検討 漁業・観光の投資呼び込み 安保強化 中国反発も」と題する記事を掲載した。
インドネシア政府が南シナ海の自国領であるナトゥナ諸島の経済特区化を検討していることがわかった。漁業や観光関連の投資を呼び込むのと同時に、安全保障態勢を強化する。周辺海域は中国が南シナ海での独自の境界線として主張する「九段線」と重複するだけに、中国が今後反発する可能性がある。
(4)「政府関係者によると、島を所管するナトゥナ県の要請を受け、今年初めに政府内に作業部会を設け、経済特区化に向けた水面下の検討を始めた。ジョコ大統領の任期が終わる2024年10月までの実現をめざす。政府と県はナトゥナ諸島に主に外国企業の投資を呼び込み、漁船や港、物流拠点など基礎インフラを整備し、観光地としての魅力も高める青写真を描く。現時点で、インドネシア政府は18の地域を経済特区に指定し、財政・税制面で優遇している」
ナトゥナ諸島は、漁場や観光地に適した場所のようだ。それだけに、欲深い中国がどのように難癖をつけてくるかである。インドネシア政府は、18の地域を経済特区に指定するほど,開発に力を入れている。
(5)「経済特区化にあわせ、周辺海域の安全保障態勢を強める。ナトゥナ諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)は、中国が主張する「九段線」と重複し、中国漁船が海警局の公船を伴い活発に動く。ベトナムの漁船も周辺海域で活動している。ジョコ氏は3月、ナトゥナ諸島の経済活性化に向け、周辺海域を活動の用途に応じて複数の区画に分ける大統領令に署名した。基地などの拠点も整備する方針だ。大統領府高官は取材に対し、大統領令について「インドネシアが領土の一体性と権利を守る決意の表れだ」と強調した」
中国が主張する「九段線」は、何ら法的な根拠がないと常設仲裁裁判所によって敗訴になった。一説では、酒に酔った台湾軍将校の書いた区画線が、「九段線」の元とされるほど、出鱈目な話である。中国が、この悪ふざけを利用して「自国領海」と決めただけである。
(6)「米軍との連携も強める。インドネシア陸軍は毎年、自国で開催する米軍との合同演習「ガルーダ・シールド」を22年は過去最大規模とする方針で、ナトゥナ諸島での訓練も検討する。3月には米国のソン・キム駐インドネシア大使が同諸島を訪れ、経済と安保両面の協力強化を打ち出した」
インドネシア軍も米軍との連携を深めている。ナトゥナ諸島での訓練も検討するという。中国が、恥知らずにも横車を押してくるかどうかだ。


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