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「週休3日制」が、英国で試行する動きがはじまった。「最初は在宅勤務だった。今度は週休3日制だ。新型コロナウイルスの感染拡大前にはほとんど想像できなかった働き方が、現実のものとなりつつある」。英紙『フィナンシャル・タイムズ』(1月24日付)はこう報じた。いよいよ、その「想像もできなかった働き方」テストが始まったのだ。

 

ビジネスマパーソンにとって、良いことかそうでないのか。人によって、受取り方は様々だろう。仕事を持つ「ママさん社員」にとっては、休日が一日増えて助かることは確かだ。その分、日常勤務の密度は上がる。日本でも、週休3日制議論が始まるであろう。

 

英紙『フィナンシャル・タイムズ』(6月8日付)は、「週休3日で生産性は変わるか、英で大規模実証実験」と題する記事を掲載した。

 

英国の多数の企業が給与据え置きのままの週休3日制度を試験導入する。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、経営者が従業員の働き方の見直しを模索しているためだ。

 

(1)「英企業約70社の労働者3300人以上は、週休3日でも生産性が落ちないかどうかを検証する6カ月の実証実験を始めた。ロンドン証券取引所の新興企業向け市場「AIM」に上場するIT企業「ワンディスコ」や新興デジタル銀行「アトムバンク」などは既に似た制度を導入しており、労働日数を減らすことで就業中の生産性を向上させ、従業員の士気向上にもつなげる狙いがある」

 

週休3日制のカギは、生産性が上昇するかどうかであろう。生産性が落ちれば、企業は減益要因をつくるようなことになる。社員の士気を高め、生産性が上がる方法を見つけられれば、週休3日制は定着するであろう。

 


(2)「柔軟な働き方の実験として、過去最大とうたうこのプロジェクトは、非営利組織「4デイ・ウィーク・グローバル」が立ち上げた。英シンクタンクのオートノミーや英ケンブリッジ大、英オックスフォード大、米ボストンカレッジも参画する。実証実験は、一部の経営者からの柔軟な働き方に対する反発に対応するものともなった。ロイター通信によると、米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は5月末、少なくとも週40時間のオフィス勤務を復活させるよう従業員にメールを送った。英官庁街ホワイトホールの公務員も閣僚にオフィス回帰を指示された」

 

週休3日制が柔軟な働き方改革になれば、在宅勤務と組み合わせて、どういう結果が出るだろうか。テスラのイーロン・マスク氏のように、少なくとも週40時間のオフィス勤務が必要という見方もある。週休3日制が定着すれば、マスク氏も逆らえなくなろう。

 


(3)「実験に参画する企業は教育、企業コンサルタントから銀行、IT、小売、人材紹介など幅広い分野に及ぶ。各社とも、研究者が生産性、福利厚生、環境や男女格差に与える影響を調査することに同意している。年内には、スコットランドやスペインでも週休3日の試行が始まる予定だ」

 

実験に参加する業種は、各分野にわたっている。注目すべきは教育である。日本で実施されれば、義務教育に携わる教員の過剰労働は軽減されよう。年内に、英国のほかにスコットランドやスペインでも実施される。

 

(4)「4デイ・ウィーク・グローバルのジョー・オコナーCEOは、英国は「週休3日を目指す世界的な潮流の最先端にいる」と話す。「競うべき新たな領域は生活の質であり、労働時間の短縮と生産性の向上に焦点を当てた働き方こそが競争力を高める手段となる」と認識する企業が増えているという。実験では休日の増加で労働者がどう変わるかを調べる。調査の要素となるのはストレス、仕事・生活への満足度、健康、睡眠、エネルギー消費や通勤などだ」

 

週休3日制の狙いは、「競うべき新たな領域は生活の質であり、労働時間の短縮と生産性の向上に焦点を当てた働き方こそが競争力を高める手段」という認識だ。日本のように少子化が進む社会では、女性の負担を軽減する社会改革と同時に行なわれれば、意外に「日本再生」のカギになる可能性を見出すことになろう。

 


(5)「実験に参加する「チャリティー銀行」のエド・シーゲルCEOは、柔軟な働き方の「ゴールポストをパンデミックが動かしてしまった」と指摘する。「20世紀的な週5日労働は、もはや21世紀の企業に適しているとは言えない。給与や福利厚生を維持した週休3日制は労働者の幸福度を上げ、企業の生産性や顧客体験、企業の社会的使命に等しくプラスの効果を与えるのは間違いない」と指摘」

 

週休2日制は、20世紀の産物である。21世紀は、週休3日制によって人間らしい働き方=生き方を模索する時代である。このパラグラフでは、こう指摘している。皆さんの感想はいかがであろうか。