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世界は今、環境保護が大きな流れだ。異常気象を食止めるためにも、「環境保護」がキーワードである。この流れを上手く利用して、中国の国有企業がインドネシアで希少なオランウータン生息地に、必要でもない「電力発電所」計画を秘かに進めていたことが発覚した。この国有企業は、ロンドン証券取引所上場していたので、さらに驚きの声が広がっている。

 

英紙『フィナンシャル・タイムズ』(6月19日付)は、「中国企業、希少オランウータン生息地に発電所計画」と題する記事を掲載した。

 

ロンドン証券取引所(LSE)に上場する際、環境保護に取り組んでいると宣伝していた中国国有企業が、世界で最も希少な類人猿を絶滅させる恐れがあると科学者が警告しているインドネシアでの開発事業の権益を人知れず取得していたことがわかった。国投電力控股(SDICパワー・ホールディングス)は、欧米の金融大手の支援を受けLSEも強く支持した2020年の上場から2カ月も経たないうちに、2億7700万ドル(約375億円)規模のバタントル水力発電所に投資する計画に署名していた。

 


(1)「環境活動家は、発電所の必要がなく、この事業が中国の広域経済圏構想「一帯一路」を支持するという政治的理由から推し進められたのではないかと疑っている。また極めて希少なタパヌリ・オランウータンが絶滅する恐れがあると主張している。国投電力控股が発電所の権益の70%を取得したことは、これまで同社の情報開示以外では明らかになっていなかった。今回の件は責任投資関連の市場が拡大するなか、企業が環境保護への貢献を誇張しているとの懸念も高めている」

 

いかにも、中国的な「噓八百」を並び立てて、水力発電所の開発権益を狙った事業計画が暴露された。環境保護を売り物にして、ロンドン証券取引所へ上場までした企業の「社会的責任」を100%裏切る行為である。最後まで、誤魔化し通せると考えていたとすれば、余りにも短慮というほかない。この幼稚さも中国的と言えるのだ。

 


(2)「(環境)活動家は、22年に国連生物多様性条約締約国会議の開催国となる中国に、インドネシア西部スマトラ島の事業から撤退するよう求めている。「中国が世界規模で責任ある資金の拠出者になると大きな期待を抱いていた」と環境保護団体マイティ・アースのディレクター、アマンダ・フロウィッツ氏は話した。しかし、今では「中国の国有企業が一つの種を絶滅させかねない事業に参加していることを、深く悲しんでいる」という」

 

中国は22年、国連生物多様性条約締約国会議の開催国となる。この国際的な役割に泥を塗るのが、今回の国投電力控股のウソである。

 


(3)「中国国家開発投資公司(SDIC)傘下の国投電力控股は、19年にロンドンと上海の金融面での関係強化を目指して設立された証券の相互取引(ストックコネクト)制度を通じ、20年10月に英国で上場した。欧米金融大手HSBC、ゴールドマン・サックスとUBSが事務幹事となった。当時のLSEのデンジル・ジェンキンス最高経営責任者(CEO)代行は上場を「(国投電力控股の)事業にとって画期的な出来事となる」と称賛した。同社は上場で調達する資金の約70%を海外での再生可能エネルギー事業に使うと話していた」

 

国投電力控股は、中国国家開発投資公司の系列である。欧米金融大手によってロンドン証券取引所へ上場したほどだ。国投電力控股の水力発電所建設計画は、中国政府の「密命」を帯びていたといえる。ここで発電した電力を、中国本土へ送電する計画もあったはずだ。

 


(4)「中国の「一帯一路」は、インフラ建設を通じて世界各地で中国の政治的影響力向上を目指す習近平国家主席肝煎りの外交政策で、バタントル発電所もその一環と考えられている。建設反対派は事業の効果に懐疑的だ。マイティ・アースが委託し米スタンフォード大学の研究者が共同執筆者となった20年の報告書によると、同発電所が電力を供給する予定のスマトラ島北部ではエネルギーは不足していないが、今後10年間で80の発電所の建設が予定されている」

 

バタントル発電所計画は今後10年間に、同地域で80もの発電所計画がされている。それゆえ、オランウータン生息地で発電所を建設する必要性はゼロ。中国は、ここへ割込んで権益を狙ったのだろう。

 


(5)「ある活動家は、この権益獲得が「地政学的」な理由である可能性を指摘する。「国投電力控股が事業に関与しているのは中国政府の希望ではないかと疑問に思っている」。建設に批判的な人々は、15年に事業が始まった当初から謎が多いと話す。中国の支援を受けた地元企業「ノース・スマトラ・ハイドロ・エナジー」が事業を行うが、21年10月に国投電力控股が同社の株式の過半数を取得した。17年にスマトラ島北部で最大800頭のタパヌリ・オランウータンが確認されたことを受け、活動家は発電所建設に反対するようになっていた。19年に建設に反対していた環境派弁護士が「非常に疑わしい」状況で死亡したことから緊張が高まった。活動家によると、ゴルフリッド・シレガール氏は、暴行を受けた状態で発見され3日後に死亡した」

 

血なまぐさい犠牲者まで出している。この裏には、中国の陰謀が働いていたと見るのが妥当だ。新疆ウイグル族に対して、あれだけ残酷な弾圧をする中国政府である。利益のためには、手段を選ばずで人間の生命など吹けば飛ぶような存在なのだ。