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韓国の文前政権は、検察制度をヤリ玉に上げて骨抜きにしてしまった。検察が、政治家の犯罪を捜査しにくい状況に持込んだのである。韓国検察が、捜査と起訴の両権力を持つことを恐れたのだ。実は、韓国の検察制度は日本から導入したもの。さらに遡れば、明治新政府がフランス検察制度を採用したという歴史である。韓国検察制度の淵源は、フランスまで行き着き、韓国の政治家だけに特別厳しいものでない。文氏は、自らが捜査対象になることを回避すべく、検察制度をメチャクチャにした。

 

韓国新大統領、尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は検察育ちである。それだけに、日本へ親しみを持っていると言われる。これが、どのように日韓関係打開に役立つのか関心が集まる。

 


『日本経済新聞 電子版』(6月25日付)は、「『検事・尹錫悦』の日韓関係」と題する記事を掲載した。

 

韓国の尹錫悦大統領の執務机には〝The buck stops here!(責任は私が取る)〟と書かれた木製のプレートが置かれている。米国のトルーマン元大統領が好んだ言葉だ。5月に訪韓したバイデン大統領が尹氏に贈った。

 

(1)「5月の就任から1カ月半がたち、尹氏はプレートの言葉通りに強力なリーダーシップを意識している。反対を気にせず、わずか2カ月で大統領府を青瓦台から国防省庁舎に移転させたのは最たる例だ。国防省は混乱に包まれながらも、命令通り突貫工事で期日に間に合わせた。政権の人事では野党やメディアから「検察共和国」と皮肉られるほど、自分がよく知る検事や官僚を多く起用した。信頼できる人物を要の場所に据え、自らの指示を各組織に行き渡らせる狙いのようだ」

 

進歩派メディア『ハンギョレ新聞』は連日、尹政権批判を繰り広げている。大統領夫人まで批判が及んでいるのだ。夫人が私人資格で、大統領経験者の夫人を訪問の際、友人を同伴したと取り上げ騒ぎ立てるぐ始末だ。私人の資格で訪問している以上、許されると思うのだが、夫人も「公人」として批判する。保守派が大統領になって、「癪だ」ということらしい。韓国政治の後進性を如実に示している。

 


(2)「強力なトップダウンの統治スタイルは、「長年身を置いた韓国検察の特捜部で培われた」との見方がある。浮上した疑惑から事件の構図を描き、時には強引にも映る捜査手法もいとわないのが特捜部だ。検察総長の時は、検察改革に踏み入った文在寅(ムン・ジェイン)政権の疑惑捜査を指揮し、真っ向から対峙した。「韓日関係はうまくいく」と断言する尹氏の日本観も、特捜検事という経歴と無縁ではない。日韓の検察当局が深めてきた交流の歴史が背景にある。尹氏は5月10日の就任式に、日本から一人の検事を招待した。青森地検で三席検事を務めている小池忠太氏だ。ソウルの日本大使館で1等書記官として勤務していた頃、検察幹部だった尹氏と何度も焼酎の杯を交わした」

 

検察総長を務めた人物である。リーダーシップは申し分ないであろう。性格的には、田中角栄に似ているようだ。友情を大事にするタイプだ。青森地検の検事は、韓国大使館へ出向中に意気投合して、「兄弟」のような付き合いだったと韓国メディアが紹介している。

 

(3)「韓国の元検事によると、「韓国の特捜部は東京地検特捜部をベンチマークにしてきた」のだという。東京地検が政界の疑獄に切り込んだロッキード事件やリクルート事件は、韓国の検事にも刺激を与えた。別の元特捜検事は「検察内と韓国社会一般の対日観はやや異なる。検事が『日本通』であることは、決して否定的な意味を持っていない」と話す」

 

日韓の検察制度が同じ系譜である以上、交流は盛んであるに違いない。韓国検察は、日本に対して先入観を持っていない。文在寅氏とは、大きな違いだ。

 


(4)「尹氏が、検事出身ながら外交と安全保障への理解と関心が深いという点で、周囲の評は一致する。外国首脳との会談に陪席した政府高官は、自然体で誰とでも打ち解ける尹氏を見て「大統領の社交的で明るい性格は、周辺国外交に大きく寄与するはずだ」と期待を込める。一方で日本との関係は大統領の意思とトップダウンだけでは突破できないほど複雑にこじれてしまった。韓国の裁判所が日本側の責任を問い、賠償命令を下した元徴用工や慰安婦の問題を解決するには、法律が必要だ」

 

文氏は、根っからの「反日」であった。尹氏がそうでないとすれば、話の理解度は早いはずである。日韓関係は、これ以上の悪化はないのだから、時間をかけて行けば、日本の納得する回答を持ってくるであろう。

 

(5)「韓国側は民間交流の再開を先行し、(日韓関係の)改善の雰囲気を醸成したいと考えている。岸田文雄首相と尹氏は、スペインで今月末に開く北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加する。日韓首脳会談の開催を巡っては双方に温度差がある。韓国側は意欲的だが、参院選の投開票を控えた日本は、懸案の解決策が見えないため慎重だ」

 

文氏によって、日本の韓国嫌いは激増した。この状況が改善されるには、どれだけの時間がかかるのか。予測は難しい。