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中国は、南太平洋島嶼国へ布石を打つつもりで動いていたが、島嶼国側の拒否で不発に終わった。これに刺激された日米英豪NZ(ニュージーランド)の5ヶ国は、島嶼国側へ共同支援体制を組むことを決定した。米ホワイトハウスが25日発表した。

 

中国はこれまでも「弱小国」への支援名目で過剰融資し、「債務の罠」にかける悪質な例が複数表面化している。南太平洋島嶼国でも、このようなリスクの発生が懸念されることから、日米英豪NZが先手を打って長期安定的な支援体制を組む。

 

米国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル・インド太平洋調整官は23日、閣僚など高官レベルの太平洋島嶼国訪問が増えることに期待を示した。キャンベル氏は、米シンクタンク、戦略国際問題研究所のイベントで講演し、米国はこの地域で外交施設や域内諸国との接触を増やす必要があると指摘した。「閣僚級など、より多くの高官が太平洋地域を訪問することになるだろう」と述べ、当地に足を運ぶ外交上の重要性を強調した。キャンベル氏は、中国には言及せず「われわれは太平洋地域に関して主権が重要と捉えている。主権を損なったり疑問視したりするような構想は懸念される」と述べた。

 

『産経新聞』(6月26日付)は、「太平洋関与へ5カ国連携 日米豪などグループ設立」と題する記事を掲載した。

米国、日本、オーストラリア、ニュージーランドと英国は24日、太平洋地域への関与強化に向けた協力枠組み「青い太平洋におけるパートナー(PBP)」を立ち上げた。米ホワイトハウスが発表した。太平洋の島嶼(とうしょ)国などを民主主義の5カ国が連携して支援。中国への対抗を念頭に、ルールに基づく自由で開かれた地域秩序を後押しする。

 

(1)「5カ国はPBPを通じ、気候変動や海洋安全保障など地域各国が抱える課題の解決に協力し、外交的な関与を強化する。中国が南太平洋のソロモン諸島と協定を結ぶなど、海洋進出を強めており、地域諸国が過度に中国に傾斜するのを防ぐ狙いもある。ホワイトハウスは声明で「太平洋地域の繁栄と強靭(きょうじん)性、安全を支え続ける」と表明し、5カ国の協力強化の重要性を強調した。

 


日米英豪NZの5ヶ国が、「青い太平洋におけるパートナー」を立上げて、太平洋島嶼国への恒常的な支援を行ない、中国の介入する余地をなくす。中国は、南太平洋のソロモン諸島と協定を結んだ。ただ、ソロモン諸島は島嶼国全体との協議に委ねる姿勢を見せている。島嶼国全体が、承認しない限り発効しないという立場を取っているのだ。

 

(2)「米政府によると、5カ国の高官が23、24両日、米ワシントンで太平洋諸国の代表団と会合を開いた。会合にはフランス、欧州連合(EU)もオブザーバー参加した。会合を受けて24日に立ち上げたPBPについて「包摂的で非公式なメカニズム」と位置付けた。 PBPは「地域主義や主権、透明性、説明責任」を重視するとした。会合では運輸や海洋保護、保健衛生、教育分野も議論した

 

南太平洋島嶼国の立場に立った支援体制を組む。運輸や海洋保護、保健衛生、教育分野など身近な問題の悩み解決に当る。

 


(3)「米国の太平洋関与をめぐっては、国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官が23日の講演で、多国間で開放的な「太平洋の地域主義」を支えると表明していた。バイデン米大統領が5月下旬に訪日した際には、日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合が開かれ、違法漁業を取り締まる新たな仕組みの発足で合意した。中国漁船による乱獲が一部で問題視されていた」

 

中国は、支援する側の利益を先行させるのでなく、中国の権益を拡大するという旧式のタイプである。極端な秘密主義で契約内容の公開を厳禁しており、相手国の利益を奪取するという狙いが最初から明白になっている。植民地収奪スタイルだ。いまどき、こういうスタイルが通用すると考えているところが恐ろしい国である。