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尹大統領は6月30日(以下、日本時間)、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議への招待を契機に外交舵を西側諸国へと明確に切った。文政権では、絶えず中国の鼻息を覗って様子見に徹してきたが、尹政権では「右顧左眄」から脱して、「右側通行」を宣言した形である。

 

今回のNATO首脳会議では、オブザーバーとして、日本、韓国、豪州、NZ(ニュージーランド)の4首脳が招待された。日豪は、対中姿勢ではこれまで旗幟を鮮明にしてきたが、韓国、NZは曖昧であった。ただ、NZは中国が南太平洋島嶼国へ勢力圏を広げる動きをしたことから、「反中姿勢」に転じた。韓国も新政権によって、その立ち位置が明確になった。

 


『中央日報』(7月1日付)は、「韓日米共助も復元『グローバル中枢国家』尹外交の方向性を決めた」と題する記事を掲載した。

 

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議に参加するためにスペイン・マドリードを訪問し、16件の外交日程をこなした。そのたびに、「国際安保秩序において、ある地域の問題はその地域の問題だけにとどまらない。他の地域に広がってグローバル社会の共通課題となり、共同で対処してこそ解決することができる。韓国の国際的な寄与と協力を強化する」と強調した。要するに、「グローバル中枢国家」というビジョンを掲げたものだ。価値と規範の連帯を基に、国際社会で韓国の役割を拡大していくと公言した。

(1)「尹大統領は4年9カ月ぶりの韓日米首脳会談を通じて3角共助の枠組みも復元した。尹大統領と岸田文雄首相、米国のジョー・バイデン米国大統領は「地域およびグローバル問題の解決のために3国協力が重要だ」と同じ声を出し、北朝鮮の核・ミサイルに対する厳しい対応も再確認した」

 

文政権時代は、日米韓三ヶ国による防衛協議に消極的であった。中国へ「三ヶ国の軍事同盟を結ばない」と約束する文書まで出した結果だ。こういう国家主権を中国へ売り渡すような非常識な政権であった。尹政権は、そういうくびきを取り払って、国際情勢急変にあわせた動きを見せている。

 


(2)「これに関連し、米国が北朝鮮の核・ミサイルの資金源を遮断するために北朝鮮の個人と機関に対する制裁拡大を準備している中で、韓国ともこの法案について協議中だ。大統領室関係者は、「韓米日首脳会談では制裁方案について話し合うことはなかったが、『北朝鮮の個人と機関に対する制裁を拡大する』というプランが準備されているようだ」とし「残りの追加制裁は軍事事項も多く、さまざまな保安事項なので、韓米間で協議はしたものの、今は申し上げられない」と伝えた」

 

米韓の間で、具体的な北朝鮮対策が用意されている模様。経済制裁強化である。

(3)「大統領室関係者は「今回の会談の最も大きな意味は、韓米日安保協力が復元されたこと」としながら、「米ホワイトハウスでも『歴史的で、非常に成功的だった会談』という評価を伝えてきた」と話した」

 

米韓は、三ヶ国首脳会談を共に非常な成功としている。約5年ぶりの会談であるから、米国が一番ホットしたであろう。



(4)「尹大統領は特に、岸田首相との3回の対話を通じて複雑に絡み合っている韓日関係のもつれをほぐす契機を用意した。岸田首相について「両国関係を発展させるパートナーになれると確信した」と述べた尹大統領の認識通り、両国は今月10日の日本参議院選挙が終わり次第、関係復元に向けた実務作業に着手する予定だ」

 

日韓は会談でなく「対話」形式になった。それでも3回の対話というから、互いにフランクに意見を出し合ったに違いない。参院選終了後に日韓の実務作業開始で合意した。

 

(5)「大統領室関係者は「日本の首相に直接会ったが、かなり開放的で韓国に対する期待が大きく、うまくやっていこうとする熱意が感じられた」とし「ボトムアップではなくトップダウンの雰囲気が形成され、首脳間で関係を改善しようとする準備ができているようだ」と述べた」

 

韓国大統領室関係者は、岸田首相が開放的であったという。拒絶姿勢でなかったことに安堵した様子である。この辺りに、韓国の日韓関係に賭ける期待の大きさが窺える。中ロ朝が、一体化しているだけに、韓国は日本へ期待を寄せているのであろう。

 


(6)「尹大統領は、今回の外交活動を通じて少なくない成果を上げたが、韓日米共助の回復と西側との密着により、反対給付として中国との関係再設定という難題も抱え込むことになった。中国は、韓国のNATO首脳会議出席について不快な表情を露骨ににじませた。尹大統領はNATO同盟国・パートナー国全体会議で「新しい競争と葛藤構図が形成されつつある中で、我々が守ってきた普遍的価値が否定される動きも確認されている」と演説の中で述べた。これはウクライナ戦争の状況に言及したものだと分析されているが、自由・民主主義・人権・法治に基づいた価値連帯を強調したのは権威主義国家である中国を不快にさせかねない」

 

韓国にとって厄介な問題は、中国の反応である。文政権が中国へ傾斜していただけに、余計にその反動が気になっているのだ。だが、もはや「二股外交」は不可能な国際環境だけに、割り切るほかない。

 

(7)「大統領室関係者は、「韓米日首脳会談を含めてNATO同盟国のすべての演説には『国際社会の普遍妥当な価値と規範、合意を尊重する中で国際関係が構築されるべき』という言葉が含まれている」とし「反中路線というよりは、すべての国がルールと法治に逆らわないでこそ、基本的な協力関係が作られるという共感がある」と述べた」

 

韓国は、「普遍妥当な価値と規範、合意の尊重」を旗印に掲げた。中国が、いくら文句を付けても、この外交路線で押し切る意向のようだ。