a0001_001078_m
   

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議へ招待され初の出席をした。尹氏は、世界の普遍的価値観を守った外交方針を宣言した。要するに、これまでの韓国外交の「二股主義」をもはや踏襲できないことを自覚したものだ。

 

だが、韓国メディアでは保守系ですら、中国の怒りを買うのでないかと恐れている社説が登場している。中国が、経済的制裁を加えるのでないかというもの。韓国が、こういう恐怖心を持っている限り、中国からの威嚇によ外交的餌食にされるのだ。主権国家として、毅然として対応することを忘れている。

 


『中央日報』(7月1日付)は、「韓中関係を徹底管理して国益損傷を防ぐべき」と題する社説を掲載した。

 

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任後初めての多国間外交舞台だった北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を終えた。今回のNATO首脳会議は、国際秩序と安保地形が米国を中心とする自由民主陣営と中国・ロシアなど権威主義勢力の対立に急速に再編されていることを見せる会議だった。

 

(1)「NATOが12年ぶりに採択した「戦略概念2022」は、ロシアの脅威に加えて中国を「構造的挑戦」と表現した。旧ソ連に対抗する軍事同盟として発足してから73年、中国を戦略的牽制対象として明記したのだ。フィンランドとスウェーデンが長い中立路線を捨てて今回NATOの枠に入った事実も、国際秩序の再編を象徴的に見せている」

 

NATOの新戦略概念では、中国に対して10回ほど言及し、「中国の野望と強圧的な政策は、NATOの利益と安全保障、価値に対する挑戦」と明確にしている。さらに、「中国は我々の価値を共有せず、ロシアと同じく国際社会の規則を基盤とする秩序を損なおうとする」と述べている。

 


NATOは、中ロを一体化し「ならず者国家」というイメージで捉えている。韓国は、NATOによるこういう対中国認識を共有するのか。それが今、問われているのだ。韓国は、世界の普遍的価値観を守ると宣言した。これは、NATOと同じ認識なのだ。それなりの覚悟を決めるべきであろう。

 

(2)「グローバル中枢国家を標ぼうする韓国も、国際秩序の変化に能動的に対応していく必要がある。域外パートナーの資格で今回の会議に招待された尹大統領が、「自由と平和は国際社会の連帯によってのみ保障される」と呼応したのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の戦略的あいまい性から抜け出して韓国の戦略的選択をより明確にしたといえる。韓国とNATOの協力強化は実利的にも役立つ

 

下線部では、NATOと協力関係を強めることが利益になると強調している。

 


(3)「韓国政府の計画の通り、NATOとグローバルパートナーシップを締結すれば、直接的には韓国企業が欧州防衛産業市場に進出しやすくなる。半導体・原発など韓国の比較優位分野でも効果を期待できる。これは数日前に崔相穆(チェ・サンモク)大統領経済首席秘書官が述べたように、中国に対する経済的依存度を減らしていくという戦略を実践につながる」

 

下線部では、具体的な事項を上げて韓国の利益を数え上げている。実現する可能性は高いだろう。

 

(4)「すべてのことには光と影がある。NATOとの協力強化は、韓国の外交が新たに試されるということだ。当面の憂慮は、中国との関係だ。中国は尹大統領のNATO出席に対する不満を直接的な言葉で表出している。中国は貿易規模の面で米国・日本・欧州よりも多く、北朝鮮の非核化など安全保障に関する事案でも緊密に協力しなければならない国だ。韓国が、その中国に背を向けて対中包囲網に率先するような姿として映るのは決して望ましくない。韓中関係のリスクをまともに管理できなければ、むしろ国益に損傷を受ける」

 

下線部は一転して、北朝鮮問題で中国の協力を必要とすると怯んでいる。これまで、中国は

北朝鮮に対して影響力を発揮したことはあったか。現実は、「中朝ロ」が一体化している。

 


今回、北欧のフィンランドとスウェーデンが中立の立場を捨てて、NATOへ加盟するのは「安全保障第一」という選択の結果だ。韓国もNATO首脳会議へ出席したのは、「安全保障第一」という政策選択によるものだろう。このように、いったん外交基軸が定まったならば、右顧左眄するのは逆効果になる。それを肝に銘じるべきだ。

 

(5)「米国主導の新しい秩序の構築に引き込まれるのではなく、韓国自らが定めた原則と規範に基づいて事案別に精密に対処する必要がある。中国にもこれを十分に説明し、不必要な敵対関係を形成しないよう努力しなければならず、我々が定めた原則に合わない米国の要求には堂々と立場を説明することが求められる。原則を守りながら実利を得る外交が韓国の進むべき唯一の道となる。決して容易でない挑戦だ。尹錫悦政権が賢明で精巧な戦略を立てて新しい国際秩序に対応していくことを望む

 

韓国は、同盟という意味を取り違えている。文政権が二股外交でフラフラしたのも、同盟解釈が自分勝手である結果である。

 

同盟は、NATOが典型的なように一致結束して行動するものである。自国の都合ばかりを主張して協調しなければ、同盟は成り立たない。NATOが、フィンランドとスウェーデンを加盟国に迎え入れることは一見、それだけ侵攻リスクの高まりを意味する。だが、同じ価値観の国々を守るという連帯感が、共同防衛によって侵攻リスクを低くする。韓国は、こういう同盟国の意味を理解することだ。良いとこ取りはあり得ない。自ら負担する部分も増えるが、それに見合って安全保障の利益が増えるのである。