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中ロに厳戒体制敷く

日本列島周回し威嚇

ロの武器輸出減れば

多極体制は烏合の衆

 

第二次世界大戦が終わってから77年、欧州で再び戦争が始まった。ロシアのウクライナ侵攻は、超短期間で終結するという戦略の下で行なわれた。現実は、全く異なった様相になっている。侵攻で戦死のロシア軍将校が持っていた文書によれば、侵攻開始から12時間以内にウクライナが陥落すると予想していた。ウクライナ国防相が6月17日、CNNインタビューで明らかにしたものだ。

 

ロシアの極めて安易な戦略で始まったウクライナ侵攻は、ロシアとロシアを支援する中国の運命すら変えかねない、大きな歴史の転換点をもたらしそうだ。プーチン氏や習近平氏にそういう認識がないとしても、歴史の歯車は確実にその方向へ向かっている。

 


NATO(北大西洋条約機構)は6月30日、今後10年間を決める「新戦略概念」で、ロシアを「脅威」(敵国)と位置づけた。ロシアを支援する中国に対しては、「体制へ挑戦する」国家と警戒信号を上げた。中ロを世界秩序の破壊国とみており、ロシアはもちろん、中国にとっても容易ならざる局面に立たされたことは疑いない。中ロは、等しく世界の民主主義国を敵に回したのである。

 

第二次世界大戦後、旧ソ連が崩壊する1991年までの世界経済は、米ソがそれぞれの経済圏を形成して互いに没交渉であった。現在は、その後グローバル化経済によって壁は取り払われた。中ロも、その恩恵に浴して高い経済成長を実現できたのである。そのグローバル化経済が、これから本格化する「新冷戦」によって幕を閉じようとしている。

 

中ロと西側諸国にとって、どちらが新冷戦による痛手を多く受けるのか。西側諸国には経済的厚みと技術の蓄積がある。中ロにはそれがないのだ。ロシアは資源国家でモノカルチャー経済である。資源を売って耐久消費財を買う経済だ。中国は、西側諸国の借り物技術と人口世界一という市場規模だけである。西側の新技術導入がなければ、せっかくの労働力も宝の持腐れになる。中ロは、NATOの「新戦略概念」で大きなリスクに直面する。これまでグローバル化経済で潤ってきただけに、その打撃が大きいのだ。

 


中ロに厳戒体制敷く

NATOの「新戦略概念」の重要部分だけを要約する。

1)ロシアは同盟国の安全保障や欧州・大西洋地域の平和と安定に対する最大かつ直接の脅威。ロシアは強制や破壊活動、侵略、併合を通じて(周辺地域で)直接的支配を確立しようとしている。

 

2)中国はわれわれの利益、安全保障、価値に挑み、法に基づく国際秩序を壊そうと努めている。中国とロシアの戦略的協力関係の深化は、われわれの価値と利益に反する。中国と建設的な関係を築くための扉は開かれている。われわれは、中国が欧米の安全保障に突き付ける体制上の挑戦に対応し、同盟国の防衛と安全を保障するNATOの能力を確保すべく、責任を持って取り組む。

 

前記2項目に若干のコメントを付したい。

 


1)ロシアに対して、NATOは妥協の余地がないことを鮮明にした。有事には、6ヶ月以内に50万の兵力を以て対抗することを明らかにした。ポーランドに、米軍司令部を置いてリトアニア三ヶ国の防衛線を守る。

 

2)中国に対しては、「準敵国」扱いにしている。中国の対応次第では、NATOが話合いを可能にすると高姿勢だ。中国が、中ロ枢軸の動きを強めれば、NATOは門を閉じると宣言している形である。

 

NATOが、中国までを巻き込んで警戒範囲を広げた理由は何か。中国が、一帯一路プロジェクトを利用して世界中へ軍事拠点を作ろうと動いていることだ。中国海軍が、すでに北極圏まで活動範囲にしている点は、ロシア海軍と計らって欧州を攻撃する準備をしていると判断されたのだろう。NATOの先制パンチで、中国海軍は動きを止められる公算が出てきた。

 

NATOは、中国を警戒国に挙げた以上、太平洋地域の防衛にも関心を寄せている。今回のNATO首脳会議には、日本・韓国・豪州・NZ(ニュージーランド)の首脳を招待した。日本は今後、NATO理事会へ定期的に出席することになった。中国の動静をNATOの政策に反映させるシステムが出来上がったのだ。自衛隊とNATO軍が、それぞれの演習にオブザーバー参加できる枠組みも整えられた。

 

日本列島周回し威嚇

中国海軍は最近、ロシア海軍と同一行動を取り日本列島を周回する威圧行動を繰返している。日本が、怯むとみた浅はかな行動である。中国は、日清戦争前にも英国から購入した最新鋭艦4隻を長崎まで二度も回航し日本へ圧力を加えた。これに奮起した日本海軍は、日本での建艦による軍艦で対抗。日清海戦は、清国海軍の惨敗に終り、戦場から無断で離脱する戦艦まで現れた。昔も今も、中国海軍は変わらない振る舞いをしているのだ。

 

中国軍には、相手国を意味もなく挑発する無鉄砲さがある。自らの軍備の大きさに酔った結果である。戦争は、軍備の量だけで勝敗が決まるものでない。戦略が極めて重要である。具体的には、多くの同盟国を持つことだ。同盟国のない国の戦いは、敗北するケースが圧倒的である。日露戦争では、同盟国のないロシア軍が、米英に支援された日本軍に敗北したのだ。

(つづく)

 

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