a0005_000022_m
   


文在寅政権による経済政策の後遺症が、これからの韓国経済に重くのしかかってくる。ソウルのマンション価格は、不動産対策の失敗によって8割も高騰したが、これによるマイナスの波及効果で家計債務が急増。さらに、国家財政も放漫政策が祟って債務が急増している。こうして、韓国経済のファンダメンタルズ(基礎体力)は大きく脆弱化している。2008年の経済危機時を上回る状態へと落込んでいるのだ。

 

『中央日報』(7月4日付)は、「韓国経済、金融危機の2008年の再来? 経済規模は拡大したが耐える体力は弱まった」と題する記事を掲載した。

 

「高物価が続く中で世界的な景気下方リスクが韓国に広がる可能性まで懸念すべき複合危機状況に直面している」。秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官は3日の非常経済閣僚会議でこのように警告した。

 


(1)「誇張ではない。経済の流れが金融危機の発生した2007~2008年とさまざまな面で似た状況だ。当時は次のような状況であった。

1)危機を克服するとして展開した金利引き下げと金融緩和へ踏み切る。

2)これが石油・ガスなど原材料需給難と合わさり高物価を触発。

3)金融・実体経済ともに沈滞する危険が拡大した。

発端になった危機が2007年はサブプライムローン問題、2020年は新型コロナウイルス大流行という点が異なるだけだ。2000年代に中国、インド、ブラジルなど新興市場が浮上して原材料価格を上昇したとすれば今年はロシアとウクライナの戦争がエネルギー・穀物大乱の信号弾の役割をした」

 

韓国は、インフレ抵抗力が弱い経済である。それは、家計債務が多いということの裏返しだ。朝鮮時代から、貯蓄よりも消費を優先させるという非堅実的家計パターンが成立している。日本の家計のように、「貯蓄優先」と相容れないのだ。国民性の違いがはっきりと読み取れる。

 

(2)「問題は、14~15年前と比べ国内総生産(GDP)や貿易額、株式市場・外国為替市場に代表される韓国の経済規模は大きくなったが、経済のファンダメンタルズ(基礎体力)は外部衝撃にさらに敏感な「虚弱体質」に変わった点だ。主要マクロ経済指標を見ると、まず企画財政部は今年の経済成長率(実質GDP基準)を2.6%と予想する。金融危機が起きた2008年の3.0%より低い数値だ。先月、秋副首相は「6月または、7~8月に6%台の物価上昇率を見ることになるだろう」と話したが、2008年7月に記録した5.9%を上回る。通貨危機があった1998年以降で初めて6%台の物価上昇率に直面する状況だ」

 

今年の消費者物価上昇率は、ウクライナ侵攻によるエネルギー価格と食糧価格の上昇に直撃されている。今年の物価上昇率は、6%台へと跳ね上がりそうだ。これが、韓国経済を押し下げる要因になる。

 


(3)「2008年に13.6%だった輸出額増加率は、今年1桁(産業研究院見通し9.2%)に落ちる危機だ。輸出額から輸入額を差し引いた貿易赤字はすでに過去最大規模に膨らんだ。上半期だけで103億ドルの赤字を記録した。対中貿易で1994年8月からの28年で初めて赤字を出すほどだ」

 

今年上半期の貿易赤字は、103億ドルと過去最大に膨らんでいる。これまで黒字を計上してきた対中貿易は、5月に初めての赤字に陥った。その品目に、何と半導体が含まれていたのだ。中国国内の半導体不況を反映したものと見られる。かつてない動きである。

 

(4)「何より危機のきた時に耐える体力が、以前におよばないことだ。家計と政府の財務健全性指標が2008年に比べ大きく悪化した。韓国銀行によると2008年末に723兆5000億ウォンだった家計負債(信用)は今年1~3月期に1859兆4000億ウォンと2.6倍に増えた。この期間に可処分所得比の家計負債比率も125.4%から168.9%に悪化した」

 

2008年末と今年1~3月期を比較し、現在の家計負債は可処分所得に対して約1.7倍にも膨らでいる。これは、インフレ高騰に伴う利上げに耐えられる能力が、大幅に減退していることを物語るのだ。利上げに伴う家計破綻の激増は、避けられないであろう。これが、景気減速を加速する。

 


(5)「国の債務状況はもっと深刻だ。2008年の297兆9000億ウォンから今年は1068兆8000億ウォン(企画財政部見通し)と3倍以上規模が拡大した。GDP比の国の債務比率は25.8%から49.7%に上昇した。家計や政府とも14~15年前より多くの借金をしており、金利上昇の衝撃にはるかに弱いという意味だ」

 

国家債務の対GDP比は現在、49.7%である。一見、堅実財政に見えるがそうではない。IMF(国際通貨基金)の推計では、2027年に67%へ上昇することが見込まれている。韓国経済では、このラインが限界線とされている。韓国通貨ウォンが、国際的に流通していないことが理由だ。国際投機筋が、ウォン投機に関心を持ち始めるレッドラインに迫るとみられている。韓国には、どうしても国家財政を堅実にしなければならない理由があるのだ。

 


(6)「これに加えて、対外環境は悪化の一途だ。景気に対する専門家の診断は上半期より下半期がさらに悪いという側に集まっている。SK証券のアン・ヨンジン研究員は「戦争、原油価格、原材料の供給不安が続き対外需要が鈍化するという多数の見通しが有効な以上、貿易赤字は当分続くとみなければならないだろう。為替相場も1ドル=1300ウォン台での攻防が予想される」と明らかにした。ハンファ投資証券のイム・ヘユン研究員も「(経済)心理の明確な改善が現れにくいならば実体景気鈍化圧力として作用する可能性が大きい」と評価した」

 

韓国の専門家は、下半期の経済がさらに悪化すると予測している。これを反映して、ウォン相場は、1ドル=1300ウォン台の攻防戦が展開すると見る。韓国の消費者は、外部環境の変化に対して敏感に反応するタイプだ。それだけに、下半期の波乱が予想される。