あじさいのたまご
   


ウクライナ侵攻で、ドローンが戦場で活躍している。AI(人工知能)の発達によるものだ。中国人民解放軍は、兵器の近代化でAIを多用する研究を進めているが、肝心なのは高度の半導体を米国に依存していることだ。米国は、すでに中国への輸出を禁止している。中国は巧妙に抜け道を探して、米国製半導体を輸入していることが調査の結果判明した。

 

『大紀元』(7月5日付)は、「中国軍のAI技術発展 米AIチップに依存―報告書」と題する記事を掲載した。

 

中国では近年、国家戦略として人工知能(AI)開発に力が注がれている。しかし、中国人民解放軍はそのAI技術を促進するため、米国企業のAIチップに大きく依存していることが、ジョージタウン大学が発表した報告書で明らかになった。

 


(1)「ジョージタウン大学の研究者らは2020年に中国軍と国有防衛企業が締結した24件の公的契約を分析し、数千件の購入記録を調べたという。その結果、米国内の企業が設計し、台湾と韓国で製造したAIチップを中国軍が発注していることがわかった。報告書によると、97件の購入記録の大半は半導体大手のエヌビディアやザイリンクス(現AMD)、インテル、マイクロセミといった米国企業によって設計されていた。いっぽう、「中国人民解放軍や国有防衛企業が、ハイシリコン(ファーウェイの子会社)、曙光、信維微電子、海光、飛騰などの中国企業が設計した最先端AIチップを発注したという公的記録は見つからなかった」という」

 

中国は、発注元を隠して「迂回注文」を出しているので「身元」がばれずに済んでいる。米国は、こういう抜け穴を許してはならない。徹底的に調査してから受注すべきである。

 


(2)「中国共産党が2017年に発表した「新世代人工知能発展計画」によると、中国はAI開発に関して、2025年までに一部の技術とアプリケーションを世界トップ水準に向上させることを目標としている。「AIが中国の産業高度化と経済変革の主要な原動力になる」という。産業規模は4000億元以上、関連産業の規模は5兆元を超えると記した。また、2030年までに理論、技術、応用の分野で世界トップ水準に達し、中国を世界の「AIイノベーションセンター」にするとしている」

 

中国は、高級半導体製造能力がない。そこで、米国へ発注しているもの。米国は、敵に塩を送るようなことになっている。警戒心が足りなかった。ファーウェイの次世代通信網「5G」も設計から半導体まで、すべて米国メーカーが請け負ってきた。中国にまんまと利用されていたのだ。

 


(3)「計画は、「人工知能 (AI) の急速な発展は、人間社会と生活を大きく変え、世界を変える」 とも述べた。また、計画は中国共産党中央委員会および国務院の要請に基づき、「AI開発の戦略的機会を捉え、AI開発における中国の先行優位を構築し、科学技術における革新的国家およびグローバルパワーの構築を加速するために策定された」という。中国軍のAIの発展は、AIチップの入手能力に大きく依存している。だが、トランプ前政権とバイデン政権は、さまざまな規制や政策を通じて、中国における軍のエンドユーザーへの技術輸出を規制してきた」

 

下線部分を読むと、中国はあたかも自力で開発しているようなイメージである。現実は、米国の褌で相撲を取るようなものだ。米国は、この急所をしっかりと抑えなければならない。

 

(4)「トランプ前米大統領は在任中、国家安全保障上の懸念を理由に、半導体受託メーカーの中国最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)など中国企業数十社を輸出管理対象とする「エンティティー・リスト」に加えるなど、半導体分野での技術移転を厳しく規制した。いっぽう、バイデン大統領は、防衛や監視技術分野に関連する中国企業への米国企業の投資規制を大幅に強化してきた」

 

「蛇の道は蛇」という。その道の専門家を登用して、徹底的に抜け穴を塞がないと後悔することになる。念には念を入れて防ぐべきだ。

 

(6)「ジョージタウン大学の研究者らは、米国政府が現在実施している政策では、中国軍のAIチップへのアクセスを制限するには不十分であると指摘する。「AIやその他の最先端技術における中国軍の進歩を効果的に制限するためには、米国政府が、エンドユーザーに焦点を当てた現在の規制をはるかに超える、新しい輸出規制を採用する必要がある。同時に、オープンソース情報をよりよく活用し、関連する輸出情報を同盟国やパートナー国と共有することによって、自らの状況認識を改善するよう努めるべきだ」と述べた」

 

「査察官」のようなプロを雇って根絶させなければ、安全保障上で齟齬を来たすことは明白だ。中国は、「スパイ」にかけては世界一級である。ゆめゆめ油断してはならない。