テイカカズラ
   


日本の参院選は、7月10日に終わる。その後に、日韓政府の交渉が始まる気運だ。先のスペインでのNATO首脳会議で、日韓首脳の認識が一致したと報じられている。

 

韓国は、国内経済でウォン投機の波が押し寄せており、安閑としていられない状況にある。海外投機筋に対して、日韓が親しいような雰囲気に見せないと、一段と厳しい「攻撃」を仕掛けられるとの懸念もあろう。韓国は、日本の「鎧」の影に隠れたい心境なのだ。

 

『中央日報』(7月5日付)は、「次期駐日韓国大使、強制動員被害財団『日本から1ウォンも受け取ってはならない』」と題する記事を掲載した。

 

次期駐日大使に内定した尹徳敏(ユン・ドクミン)氏が2019年に強制動員被害者に対する賠償問題解決策について語った内容が注目されている。

 


(1)「尹氏は2019年の「非常国民会議水曜特講」で強制動員被害者に向け、まずは財団を作るべきと話した。尹氏は、「財団を作るのに日本から1ウォンも受け取ってはならないと考える」と話した。韓国政府と韓国企業が基金を出して財団を作り被害者に補償すべきということだ。尹氏は大法院(最高裁)判決を尊重すべきとしながらも、「これを持って、これ以上は裁判で何かをできないように特別法を作らなければならない」と主張した。ただ「財団設立において日本企業が自発的に参加するならばそれは歓迎する」と言及した」

 

韓国大法院の判決自体が、国際法違反である。司法は、どこの国も行政が締結した条約などについての判断をしないことになっている。いわゆる、「司法自制の原則」である。こういう国際法の流れに逆らって、解決済みの問題へ踏み込んで来た異例のケースだ。文在寅氏の要請に答えた判決と見られており、「曰く付き判決」である。日本が、応じるはずがない。



(2)「尹氏は、強制動員解決策で必要な3つの原則を明らかにした。

1)1ウォンも日本から受け取らないという精神

2)対日請求権は1965年に終結

3)大法院判決は尊重すべきだ

韓国放送局JTBCは今後尹氏が駐日韓国大使になればこうした原則の下で強制動員問題に臨むとみられると報道した

 

次期駐日韓国大使の尹氏は、3要件を出して日本へ賠償を科することが不可能としている。だが、韓国民として、「大法院判決は尊重すべき」と妥協案をだしている。つまり、韓国は日本へ迷惑をかけないで解決せよと主張しているのだ。

 


(3)「日本製鉄、三菱重工業、不二越を相手取った強制動員訴訟被害者支援団と被害者代理人は7月4日、ソウルの外交部庁舎前で記者会見を行った。「強制動員問題は被害者と加害企業が訴訟を繰り広げた事案である。大法院判決もやはり日本企業に対するものである。被害者と日本企業が会って議論することが当然の道理」と強調し、尹大使の過去の発言と相反する意見を明らかにした」

韓国で7月4日、強制徴用被害者賠償問題に対応するための政府主催による官民協議会が発足した。この日非公開で行われた第1回目会議で、被害者側は「外交的保護権」の発動を通した日本戦犯企業との直接交渉を求めた。

この日、協議会は外交部の趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官の主宰で、強制徴用被害者支援団体、法律代理人、学界専門家、言論・経済界の要人12人が出席する中で開かれた。趙次官は会議で「強制徴用判決問題に関連した対話と疎通の席が問題解決の重要な動力になるだろう」と述べたと外交部が明らかにした。

 


日本の最高裁判決では、旧朝鮮徴用工に対する個別請求が「日韓請求権協定」に反するものとして賠償を拒否した事情がある。日本は解決済みであり、韓国は別途、賠償せよと迫っていることになる訳で解決は不可能だ。日本側から言えば「賠償の二重取り」に当るもので、とうてい応じられないことは言うまでもない。韓国が、国内問題として処理すべき案件である。

 

文政権には、こういう国際法に則った認識がゼロだ。ただ、「反日」の立場から憎い日本へ一泡吹かせてやれという感情論からのアプローチであった。日本が、応じないことは弁護士出身の文氏に分りきっていたはずである。